修了生からのメッセージ

- ◆ 現在までの主要な経歴について
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- 令和元年12月 東京地方検察庁検察官検事任官
- 令和2年2月 名古屋地方検察庁
- 令和3年4月 鳥取地方検察庁
- 令和5年4月 神戸地方検察庁
- 令和7年4月 神戸地方検察庁姫路支部
- ◆ 今の仕事のやりがいや苦労、どんな仕事をしているかについて教えてください。
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検察官の仕事の内容は大きく分けて捜査、公判に分かれます。今勤務している神戸地方検察庁姫路支部は、捜査担当と公判担当の部署が分かれており、今、私は捜査担当の検察官をしています。
捜査担当では、逮捕・勾留された被疑者の事件処理(起訴、不起訴を決める)をする身柄事件と、被疑者を不拘束のまま事件処理する在宅事件があります。
捜査担当では、特に身柄事件が、勾留期間という法律上の時間制限がある中で問題点を見つけ出し、在宅事件も処理しながら、その問題点を解消するための証拠を収集することが、苦労する点です。
他方で、色々と考えて必要な捜査を尽くし、事件処理のために必要な証拠や視点を見つけ、それによって適切な処理をすることができたときが、やりがいを感じるときです。
- ◆ 検察官という仕事を選んだ理由、きっかけはなんですか?
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検察官に任官することを選んだのは、検察修習がきっかけでした。
そのときに担当した事件で、被疑者はもちろん、被害者、関係者から話を聞いたり、実際に現場に行って証拠を集めたりしたことで、分からないところがどんどん分かるようになっていくことに楽しさを覚えました。
また、その修習で、素晴らしい指導担当検事とお会いできたことがきっかけで、検察官になろうと決めました。
- ◆ 検察官になること、検察官であることの面白さについてお聞かせください。
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捜査においては、自分が主任となって事件全体を見て、処理に必要な証拠を自分で集めて、自分で処理方針を決められるという点に面白さを感じます。
他の法曹三者の視点から見ると、弁護人は被疑者・被告人の利益になるために書証や人証を収集し、裁判官は、検察官や弁護人が提出した書証、人証のみ見るというのが、一般的な刑事事件の主な役割となりますが、検察官はそのような制限はなく、真相解明と適切な処理のために必要と考えた部分を適切な方法でとことん捜査を尽くすことができます。
その上で、法律家として事実認定をし、事件の終局処分を決定できる点が、面白い点だと思います。
公判においても、適切な量刑を得るために立証し、必要に応じて補充の捜査を尽くす点は、魅力的な点だと思います。
また、公判は誰でも自由に見ることのできる場所で、一発勝負で毅然と対応することが求められます。そのヒリヒリした感覚が、なかなか味わえない面白さだと感じます。なお、どちらにも共通するものですが、「どんな捜査をしたら適切な処罰ができるかな・・・」や「被告人質問でどんな質問をしたらいいかな・・・」と職場で考え、うまくまとまらないときに、プライベートの時間にふと、補充捜査事項や、証拠の新たな視点、被疑者等から何を、どのような切り口で聞けばよいか、ということを思い付くことがよくあります。
「プライベートも仕事のことを考えなければいけないのか・・・」と思われるかもしれませんが、決してそうではなく、ある社会的事実の有無を探求することそれ自体が魅力的な仕事であると考えているからこそ、このように考えてしまうのではないかと思います。
- ◆ 差しさわりのない範囲で、今まで扱った事件について印象に残っていることがあればお聞かせください。
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現場に足を運んだ事件や、事件に関わる証拠品を実際に手に持って見た事件ほど、よく印象に残っています。
検察官がふだん目にする事件は、警察官が取りまとめた報告書で、そこには写真や図面で分かりやすく書かれているものが多いのですが、これのみでは事件の本質があまり見えてこないことが多々あります。
五感の作用が人に与える影響は強く、実際に現場に行ったり、証拠品を手に持って見たりすると、書面では気付けなかったことに気付けることがよくあります。
例えば、万引き事件であれば、報告書に載っているわけではない、犯人である客側の目線での防犯カメラの設置状況や、人通りの少ない売り場などが、現場に行くと一瞬で分かることがよくあります。
また、凶器を使った粗暴事件では、証拠品を持ってみると、重さや手に持ったときの感触が分かり、犯人が当時どう思ったのか、逆に被害者からどのように見えてどう感じるのかが分かります。
書面を離れて、自分で体験できた事件ほど、よく印象に残っています。
- ◆ ご自身の将来像について教えてください。
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どのような事件でも適切に処理できるようになることはもちろんのこと、昨今では刑事手続のIT化等の制度が目まぐるしく変化し、今後も変化していくことが予想され、これらの変革に適応して国民に求められる検察権行使の担い手としての役割を全うしていきたいと考えていきます。
- ◆ 同期の方や先輩後輩との職域を超えたつながりが今もありますか?
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司法試験に合格してからも、LSの同窓生と連絡を取ることがあります。
事件や案件の話を直接することはもちろんありませんが、近況報告をするだけでも、苦楽を共にした方達が頑張っていることを聞くと、励みになります。
- ◆ 今の仕事にLSでの学びや同級生とのつながりがどう活かされていますか?
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阪大LSは、教授と学生の距離が近く、講義では学生が積極的に発言することを求められ、講義外でも、学生間でも活発に議論ができる設備(自習室や談話室等)が整っていると感じます。
検察官は、起訴状などの書面を起案をする場面がよくありますが、それ以上に「話す」場面が多くあります。
捜査では、被疑者を取り調べ、被害者等から話を聞き、公判では、起訴状朗読から証人尋問、被告人質問や求刑まで、ほとんど絶え間なく話し続けます。
自ら主体的に考え、話をする機会を多く得ることができた点は、LSでの学びでいかされた事だと感じます。
- ◆ 後輩へのメッセージをお願いします。
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私は、LSでの成績がそこまでよかったものでもなく、検察官という仕事に就くことに強い熱意を持って学習していたわけでもありませんでした。
ただ、そのような私でも、無事なんとか司法試験に合格することができ、無事検察官の仕事を続けられているのは、阪大LSで充実した学習をすることができたことが大きかったと思います。
どのような仕事に就くにせよ、阪大LSで学んだことはその仕事にいかせる機会が多々あると思います。
皆様が阪大LSで実りある学生生活を送り、夢を叶えられる日が来ることを心より願っております。