今年の合格発表日は11月6日でした。昨年は在学中受験者が新たに加わった影響もあって、受験生の総数は前年よりも千人近く多い3,928人でしたが、今年は少し落ち着き3,779人でした(それでも一昨年よりも700人ほど多い)。そのうち短答式試験の合格者数が2,958人(昨年3,149人)、最終合格者数は1,592人(昨年1,781人)でした。合格率は42.13%(昨年45.34%)です。受験者数は昨年よりも150人ほど減少したのですが、合格者数が200人ほど減少したため、合格率も若干下がっています。
ただ、これらの数字には予備試験合格の資格で受験した人が含まれています。予備試験合格者は475人受験しており(受験生全体の12.57%)、その最終合格者数は441人、合格率は92.84%という驚異的な数字です。予備試験合格者には、法科大学院の修了生も在校生も含まれていると推測されるため、一応このグループを除外し、法科大学院修了ないし在校の資格で受験した人だけで見ると、受験生数は3,304人で、最終合格者数は1,151人、合格率は34.84%という結果になります。
また、その動向が注目された在学中受験者ですが、受験者数は1,232人で、最終合格者数は680人、合格率は55.19%です。これは実数として結構大きな数であり、また合格率は5割を超えています。昨年に引き続き、在学中受験者の合格率は高い傾向にあるといえます。しかも、いわゆる上位校の合格者の中に占める在学中受験生の割合が総じて高く、おそらくこの傾向は今後も続くだろうと予測されます。
以上を踏まえて、高等司法研究科の結果を見てみましょう。本研究科の受験者数は177人(昨年182人)、そのうち短答式試験の合格者数が144人(昨年149人)、短答式の合格率が81.36%(昨年81.86%)、最終合格者数は72人(昨年78人)、合格率は40.68%(昨年42.86%)という結果でした。昨年と合格率で比較すると、2%ほど下がっており、漸減傾向といえなくもないのですが、グラフにして見ると横ばいに近い動きです。
他方で在学中受験者の状況を見ると、受験者数は67人(昨年53人)、そのうち短答式試験の合格者数が60人(昨年47人)、短答式試験の合格率が89.55%(昨年88.68%)、最終合格者数は37人(昨年27人)、合格率は55.22%(昨年50.94%)でした。在学中受験をする人の数も増加し、受験資格者の大半が在学中受験に挑んだと思われます。また、本研究科でもその合格率は比較的高く、5割の壁を突破しています。おそらく今後も、最終学年時に受験して合格することを目指すという選択が標準になるものと思われます。これまでは修了1年目(今回は令和5年度)のいわゆる直近修了生の合格率が一番高く、しかも、この合格率がずっと上昇していました。今年も直近修了生は健闘しているものの、前年に在学中受験で合格した人が抜けたこともあり、実数は小さくなりました。この傾向も今後も続くでしょう。
司法試験の結果を合格者数や合格率だけで評価すれば、以上のような分析になるのですが、いうまでもなく受験しているのは、生身の人間であって、個々人は様々な事情を抱えています。合格者の顔ぶれを思い浮かべると、研究科内での成績が比較的良かった人が多いし、よく勉強していた人が多いという印象を受けます。しかし、今年もまた合格できなかったという人の方が多いのも峻厳な事実です。本研究科では、一人一人との対話を重視し、その人にとって一番良い選択ができるよう手助けしたいと考えています。合格できなかった人は、不合格者の総体の中に埋没せず、本研究科を頼ってもらってよいと思います。逆に合格した人は、自分一人で合格したのではなく、多くの人の支えの上に今日があるのだと思って、今後は他者を支える側に回る気概を示してほしいと願っています。
受験者数 | 177人 |
短答合格者数 | 144人 |
最終合格者数 | 72人 |
試験年度 | 最終合格者数(人) | 受験者合格率(%) |
令和6年[2024] | 72 | 40.68 |
令和5年[2023] | 78 | 42.86 |
令和4年[2022] | 51 | 45.95 |
令和3年[2021] | 47 | 40.87 |
令和2年[2020] | 34 | 37.78 |
令和1年[2019] | 46 | 41.07 |
平成30年[2018] | 50 | 37.59 |
平成29年[2017] | 66 | 40.74 |
平成28年[2016] | 42 | 26.75 |
平成27年[2015] | 48 | 29.09 |
平成26年[2014] | 55 | 40.15 |
平成25年[2013] | 51 | 36.43 |
平成24年[2012] | 74 | 41.81 |
平成23年[2011] | 49 | 28.65 |
平成22年[2010] | 70 | 38.89 |
平成21年[2009] | 52 | 33.55 |
平成20年[2008] | 49 | 38.58 |
平成19年[2007] | 32 | 43.84 |
平成18年[2006] | 10 | 47.62 |