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司法試験合格者体験談

2025年 合格者体験談

「2025年 司法試験合格体験談」有木彩実

1 自己紹介
 私は、令和3年(2021年)に大阪大学法学部法学科を卒業後、2年後の令和5年(2023年)に大阪大学大学院高等司法研究科に未修コースで入学しました。司法試験の受験回数は1回で、在学中受験で令和7年(2025年)の司法試験に合格しました。

2 勉強方法について
 私は法学部出身ではありますが、学部時代は単位を取得することに精一杯だったため、成績はあまり良くありませんでした。また、当時は司法試験の受験を考えていなかったことから、司法試験に必要な科目の一部は履修していませんでした。加えて、学部卒業後ロースクール入学までに2年のブランクもあります。そのため、私は司法試験に必要な法律科目の知識がほぼなく、また答案の書き方もわかっていない状態で大阪大学ロースクールに入学することになりました。しかしながらいざ入学してみると、未修コースとはいえ、大半の学生が法学部出身かつ勉強も進んでいる様子でしたので、入学当初は司法試験合格どころか進級もできないのではないかという焦燥感に駆られていました。
 そこで、私は一刻も早く周りの学生に追いつくために、予習復習を丁寧に行い、わからないところは先生方に積極的に質問をしたり、自主的に答案を書いて添削していただいたりしていました。また、周りの学生とゼミを組んで、議論をしつつ答案を見せてもらい答案の型や良いところを真似して、答案の書き方にも慣れていきました。
 司法試験の対策についてですが、授業がある期間は授業の予習・復習に時間を割いていたため、なかなか司法試験の過去問を解くことはできていませんでした。その代わり長期休みには、再チャレンジ勉強会で組んだゼミで司法試験の過去問の答案を書き、書いた答案を弁護士の先生に添削していただいていました。そして、本格的に司法試験に向けた対策を開始したのは、3年生になる春休みからです。司法試験の対策としては、過去問演習と、今までの授業のレジュメの見直しを行っていました。
 勉強時間について、私は自分が周りに遅れをとっていると常に感じていたので、平日は毎日早朝から夜まで自習室にこもり、土日も基本的に自習室に行くようにしていました。けれども、勉強時間がどのくらい必要かというのは本当に個人差があると思うので、自分に合ったスタイルを見つけてもらえればいいかなと思います。

3 司法試験について
 司法試験は、最後は体力と精神力が必要だ、という話を聞いていましたが、私自身も実際に受けてみてその通りだったなと感じました。
 まず、科目が進むにつれて腕も腰も痛くなり、かなり体力の限界を感じた記憶があります。2日目の試験後、泊まっていたホテルに帰って勉強しようとしたら、腰が痛くて椅子に座れなかったときはかなり焦りました。そこで、私は泊まっていたホテルの温泉でゆったり過ごし、体力を回復させていました。
 また、見たことのない問題が出てくると、解きながら、もうだめかもしれないと負けそうになることもたくさんありました。けれども、あれだけ頑張ってきたんだから自分なら大丈夫、ここで諦めたらもったいない、と自分を奮い立たせ、とにかく何か書こうと粘りました。そして、なんとか司法試験を乗り切ることができました。
 このような私の経験からも、司法試験の直前期〜当日は、できる限り身体を労って体力を温存することと、分からない問題が出てきても、今まで頑張ってきた自分を信じ、絶対に諦めないことが大切だと思っています。

4 大阪大学ロースクールに通って
 私は予備校を使わなかったのですが、阪大の先生方の授業やレジュメはとてもわかりやすい内容ですし、どの先生もとても学生のことを考えてくださっているので、阪大の授業に専念して勉強するスタイルが自分には合っていたと感じています。また、勉強で困ったことや悩みがあれば周りの友達に相談できたので、辛いのは自分だけじゃないんだ、と思えることも支えになっていました。そして、個人的には自習室が24時間開放されているのもとてもありがたかったです。
 大阪大学ロースクールでは出会いに恵まれましたし、勉強するにあたって最高の環境だったので、大阪大学ロースクールに来て良かったと思っております。

5 これから司法試験を受験する方へ
 司法試験は科目も多く内容も難しいので、思うように勉強が進まず、勉強を休みたくなる日もあると思います。私はそんな日があっても大丈夫だと思っています。普段から一生懸命勉強していれば1日、2日勉強できなくてもさほど問題はないですし、精神的に辛い状態で無理をしても質の良い勉強ができるとは考えにくいです。私も、勉強のやる気がでない日は思い切って勉強をやめて、自分が元気になれる趣味に没頭したり、仲の良い友達と遊んだりしてリフレッシュしていました。また、私はアルバイトをしていたのですが、誰とも話さず一人で勉強だけをしていると視野が狭くなりがちですし、学生時代にしかできない社会経験を積んでおくことも大切なので、可能であればアルバイトをするのも良いかと思います。
 何より、司法試験の受験は長期戦なので、最後までやり切るためには身体的にも精神的にも健康でいることが一番大切だと思っています。どうか健康には気をつけて、悔いのないように最後まで駆け抜けてください。
 みなさまが司法試験に合格されることを願っております。実務で会いましょう!

6 最後に
 最後になりますが、いつもわかりやすく授業をしてくださり、また、質問や答案添削のお願いも丁寧に応じてくださった先生方、我々学生のロースクール生活を様々な面から支えてくださった教務係の職員の方々、一緒に勉強し、濃い3年間をともに過ごしてくれた大阪大学ロースクールの学生のみんな、会えない期間が続いても変わらず仲良くしてくれて、私をずっと応援してくれた大切な友達、そして、司法試験の最後の最後まで私を信じて私のロースクール生活を支えてくれた家族、みなさま本当にお世話になりました。私ひとりではここまでたどりつけませんでした。心より感謝申し上げます。
 大阪大学ロースクールで過ごした3年間は、私にとっての宝物です。ロースクールで培った知識と経験を糧に、良き法曹となれるよう精進してまいります。

「春は必ず来る。あなたは一人じゃない。」藤定拓海

第1 自己紹介
 私は2023年に既修コースで入学し、2025年に修了しました。受験回数は2回で、在学中受験は不合格となり、修了後1回目の司法試験で合格しました。選択科目は労働法です。
 この合格体験記の中核を成すのは、第2<各属性の方へのメッセージ>、第3<具体的な勉強方法>です。必要だと思う箇所、該当する箇所を中心に読んでいただきたいです。
 合格体験記をご覧になる意欲的な方は、在学中の試験で合格される可能性が高いですが、もし思うような結果が得られなかった場合は、この合格体験記の存在を思い出して、改めて読んで欲しいと思います。

第2 各属性の方へのメッセージ
1 司法試験合格を目指す全ての人へ
(1)周囲を頼った方がよい
 司法試験の勉強は普通の人にとっては過酷なものであり、どこかのタイミングで勉強が辛くなったり手につかなくなったり、休んでしまうようなこともあると思います。そうなったときは自分の怠惰を責めたり、一人で抱え込んだりせずに、周囲の人を頼ってください。特に阪大はコンタクト・ティーチャー制度があります。先生方は日々研究や校務、講義の準備で忙しくされていますが、悩みがあることを伝えれば親身になって相談に乗ってくれると思います。私の周囲を見ている限り、各学期間に1回表面的に話をするのみでこの制度を効果的に活用できている人は多くないように思いますが、非常に勿体無いです。それから講義でお世話になっている先生方も講義の分からない点を尋ねると丁寧に答えてくれると思います。阪大には学生に寄り添ってくれる優しく、熱心な先生が多いです。まずは、担当教員にメールを送る勇気を持って欲しいです。
(2)学習計画を立てた方がよい
 私が在学中受験で失敗した原因の一つに学習計画を十分に立てずに漫然と勉強していたということが挙げられます。ロー入学からほぼ毎日23時まで自習室に残り勉強していましたが、23時まで自習室で勉強をすること自体が目的となっており、時間を無駄に過ごしていたことも多かったと思います。よく言われていることではありますが、月単位、週単位、日単位での目標をそれぞれ立てて、漫然と勉強することがないように気をつけて欲しいです。

2 これから在学中受験を目指す人へ
(1)軽い気持ちで在学中受験を目指すべきではない
 在学中受験を目指す人は運良く合格すれば良いかなという程度の軽い気持ちで受けるべきではないと思います。私の周囲でも在学中受験で合格したのは在学中受験で絶対に受かるという強い気持ちを持って勉強に臨んだ人が多かったです。時間が限られている在学中受験での合格を目指すからには、勉強してみて手が届きそうだったら目指そうかなという軽い気持ちではなく、入学当初から絶対に在学中受験に受かるのだという気概を持って臨んで欲しいと思います。
(2)在学中受験を終えても合格発表まで気を抜くべきではない
在学中受験を終えた人も合格発表の時まで気を抜かずに勉強をするべきです。司法試験から合格発表までの約4ヶ月間と合格発表後に落ち込み勉強が手につかず本調子を取り戻せていない期間に、翌年の司法試験でライバルとなる予備試験合格者、在学中受験を目指す後輩達に差をつけられることになります。在学中受験をすると受験から解放されたような気分になり、気が緩んでしまうと思いますが、ぐっと堪えて引き続き勉強を頑張って欲しいです。
(3)講義の予復習はある程度した方が良い
 在学中は予備校教材を中心に勉強をしていたので、講義の予復習が疎かになり講義で教わったことが全然吸収できていなかったと反省しています。時間は有限ですのでメリハリは必要ですが、先輩方に話を聞いて評判の良い先生の講義や分かりやすいと思った先生の講義は特に予復習をして講義を無駄にせずしっかりと知識を吸収して欲しいです。

3 在学中受験に失敗してしまった人へ
 まずは在学中受験お疲れ様でした。少し前まで同じ司法試験受験生という立場であった友人達が司法試験合格者となり、取り残されたような気分になったり、このまま勉強を続けていて合格することができるのだろうかと不安になっていると思います。今は本当に辛いと思いますが、在学中受験の不合格は来年合格した際の喜びを増すためのスパイスだと思って、できれば勉強を続けてください。合格発表後の11月、12月はなかなか勉強が手につかないと思いますが、翌年の1月から全力で頑張れば大丈夫です。この期間はボーナスタイムだと割り切って、勉強ができないとしても自分を責めずに苦手科目の克服などに時間を割いて欲しいと思います。
 また、在学中受験の経験者は司法試験の会場の雰囲気を知っている、周囲に多くの司法試験合格者がいるというアドバンテージを有しています。周囲の上位合格者にどのようにその科目を勉強していたのかを尋ね、自分に合うと思う勉強法を取り入れて頑張って欲しいです。
 そして、実務に出てから基本書をじっくり読み込んだりする時間はないため、司法試験受験生としての1年間は法律の基本を学ぶとてもよい機会になると思います。在学中受験で失敗したとしても、翌年の合格に向けた勉強は必ず将来実務に出てから役に立ちます。勉強を頑張れば、必ず結果はついてきます。辛く、しんどいと思いますが頑張りましょう。

第3 具体的な勉強法
1 はじめに
 高等司法研究科HPにある充実した合格者体験談(ご覧になっているこのページ)をはじめとしてインターネット上には、様々な合格者体験談があり、その数だけ勉強法があります。今自分がしている勉強法と同じ方法をとっている人や向いていると思うものを中心に見るのが良いと思います。私は学部の頃から司法試験予備校に通っており、論証集を中心に勉強をするタイプでした。

2 短答式試験について
 短答式試験の対策は早ければ早い方が良いと思います。足切りにあえば論文式試験の答案を見てもらうことすらできず、いくら論文式試験の成績が良くとも合格することはできません。在学中受験ではただでさえ時間がたりず、司法試験の直前期は論文に多くの時間を割く必要があります。そのため、可能な限り早いうちから短答パーフェクトを買い、論文対策の息抜きがてら、まずは1周することを目標に勉強を続けて欲しいと思います。短答式試験で上位の成績を取った友人は、通学時間にスマホでTKCの短答を解き、毎日学校についてから20問解くことを続けていたそうです。最初はしんどいと思いますが、続けていれば少しずつ楽になっていくと思うのでコツコツ頑張りましょう。

3 論文式試験について
 予備校の論証集を中心に勉強を進める人は基本的に次のようなサイクルで論文対策をするのが良いと思います。論証集を覚える→過去問を解く→採点実感などを読み復習し、新たに得た知識を論証集に落とし込む→論証集を覚えるというものです。自分が持っている論証で覚えにくいもの、意味が分からないところがあるものは基本書で調べ、基本的には上記サイクルで回すのが良いと思います。
(1)行政法、民訴法、刑訴法について
 基本的には過去問演習で足りると思います。民訴法、刑訴法が苦手な人は基本的な概念が理解できていないことが多いと思いますので、基本を盤石にしてから過去問演習に臨むのが良いと思います。
(2)会社法、刑法について
 この2科目は演習書を回すのが良いと思います。会社法は会社法事例演習教材、刑法は刑法事例演習教材をそれぞれ利用していました。どちらもとても良い演習書ですので、先輩などから解答例を入手してぜひ利用して欲しいと思います。
(3)民法について
 私は民法にとても苦手意識があり、2年の必修科目である民法応用1、2でもCの評価でしたが、合格した年の模試と司法試験ではA評価をいただけました。苦手科目から得意科目にする上で最も役に立ったと思うのは、短答試験対策です。私は在学中受験に失敗した後LECの択一六法を購入し、短パフェを回しながら間違えた箇所を択一六法で確認しマーカーを引いたり付箋を貼ったりして何度も復習しました。論証を中心に勉強を進めている人は論点を覚えなければいけないという意識に囚われていると思いますが、民法に関しては論点ではなく条文の幅広い知識を身につけるという意識を持って勉強を進めた方がよいと思います。

第4 最後に
 私は本当に多くの人に支えられて司法試験に合格することができました。不合格となった後も尊敬する様々な人に会い、心の支えとなる大切な言葉をたくさんいただきました。在学中受験に合格した友人達からも多くのアドバイスをもらいました。それらは、この合格体験記の随所に散りばめられています。この合格体験記が皆様の心に残り一人でも多くの人の糧になれば幸いです。
 これから司法試験合格を目指す皆様の努力が実りますようお祈りしております。

「司法試験合格体験記」椿原世梨奈

1.はじめに
 私は非法学部出身で、大学卒業後に社会人を経験してから法曹を志し、阪大ローに進学しました。法律を学び始めた当初は、条文の意味さえ理解できずに立ち止まることも多く、「本当に自分に務まるのだろうか」と不安ばかり感じていました。しかし、授業で先生方が丁寧に理論を説明してくださり、友人と議論しながら理解を深めるうちに、少しずつ自分の中で“法律で考える筋道”が確立していきました。もっとも、司法試験に至る道のりは順調ではありませんでした。在学中と卒業後の1回ずつ受験に失敗し、自信を失った時期もあります。それでも努力を続けられたのは、阪大ローの仲間や先生方が支えてくれたこと、そして「ここで諦めたら、今までの努力が泣く」と自分に言い聞かせ続けたからでした。今年3回目の挑戦で無事合格できたのは、学習方法や生活リズムを根本から見直し、“積み重ねる努力”を徹底したことが大きかったように思います。

2.不合格後の勉強
 今年の受験で特に意識したのは「基礎を確認し、思考の線をつなぐ」ことです。条文の趣旨、制度の位置づけ、判例の射程と理由付けを丁寧に確認し直すことで、答案構成が安定し、問題文を読んだときの視界が驚くほどクリアになりました。インプット教材を周回したり、判例百選を事案と判旨セットで覚えたりという作業もありましたが、勉強法の中で最も効果があったと感じるのは、答案を書き、他人に添削してもらうことです。自分では気づけない癖や論理の飛躍、読みづらい箇所などは、第三者からの指摘があって初めて自覚できます。私は阪大ローの修了生勉強会を利用したり、友人と答案を交換したり、予備校の添削を活用したりして、常に「他者の目」を意識していました。答案は“書いて終わり”ではなく、書いた後の指摘・改善こそが成長の本体だと思います。また、私はとくに復習の重要性を痛感しています。新しい問題を解くよりも、間違えた問題を徹底的にやり直す方が、短答・論文ともに確実に力が伸びました。間違えた理由を「知識不足・条文の読み落とし・思考の飛躍・問題文の誤読」などに分類し、原因を可視化するようにしたことで、同じミスを減らすことができました。司法試験は「できた問題の量」よりも「できなかった問題をつぶした量」が合否を分ける試験だと思います。
 さらに、今年から徹底したのが“時間ではなくタスクでスケジュールを管理すること”です。「今日は5時間勉強する」と決めると、どうしても集中力が途切れたときに自分に甘くなってしまいます。しかし、「今日はこの科目のインプット教材を一周する」「刑訴の答案構成を10問する」「短答の間違えた問題を400問復習する」とタスクベースで管理すると、達成度が明確になり、学習計画の質が大きく上がりました。結果として、直前期の焦りが減り、毎日の積み重ねが目に見える形で自信につながりました。
 加えて、私は“孤独に勉強しないこと”を大切にしていました。同じ目標を持つ友人と進捗を共有したり、答案を交換したり、予備校の模試の挙動を話し合ったりすることで、学習の方向性がぶれず、精神的にも支えられました。司法試験は長期戦で孤独を感じやすい試験ですが、仲間と切磋琢磨することで、最後まで走り抜くためのエネルギーをもらえました。
 試験直前期には、「1日1科目総仕上げウィーク」 を実施しました。憲法・行政法・民法・会社法・民訴・刑法・刑訴法…という具合に、1日でその科目の山当て講座・模試復習・インプット教材の重要論点の確認・短答の復習を一気にやり切る方法です。また、次の週には、H25年からの過去問を答案構成して、出題趣旨と採点実感を見て確認というセットを科目ごとに行いました。これによって、全科目が一度“最新状態”に整い、頭の中の知識の棚がきれいに並び直りました。本番直前に視界が開けた感覚があり、直前の1週間が最も実力が仕上がっていたと思います。
 私は、決して才能やセンスがあったわけではなく、基礎・添削・復習・タスク管理・仲間との学習・直前期の総仕上げ、この6つを愚直に積み重ねたことが成果につながったのだと感じています。

3.最後に、これから司法試験を目指す皆さんへ
 まず、みなさんは自分が思っているよりえらいです。法科大学院にきて、夢に向かって歩んでいるということ自体、尊く素晴らしいことです。気分が沈んでしまうときもあるかもしれませんが、自分をたくさん褒めてあげてください。そして、「やるべきことを、正しい方法で、積み重ねれば必ず合格できる」ということを伝えたいです。焦りや不安は必ず訪れます。私も何度も折れかけました。しかし、一歩ずつ、昨日より少しだけ前に進めば、それは必ず本番であなたを支える力になります。阪大ローには素晴らしい先生方と仲間がいます。どうか孤独にならず、自分を信じて進んでください。何かできることがあればいつでも相談に乗ります。
 私自身は、これから司法修習を経て実務にでることになると思います。阪大ローで学ぶことができたことに心から感謝しつつ、これから法曹として恥じない仕事ができるよう、誠実に努力を続けていきたいと思います。

「司法試験の合格まで」黄潤泰

1.はじめに
 私は韓国からの留学生です。高校2年生に進級するタイミングで、父親の仕事の都合で日本に引っ越すことになりました。生まれも育ちも韓国であるため、日本で生活したことはありませんでした。そのため、当時の私の日本語力は、日本語能力試験N5を目指すべきレベル、すわなち、簡単な漢字とひらがなしか書けないレベルでした。日本語の学習と大学入試の対策を並行することはとても大変でしたが、2年後無事に日本の大学に入学することができました。
 お恥ずかしい話ですが、「せっかく法学部に入ったから」という希薄な理由でロースクールの進学を目指すことになりました。法律の学習は外国語の習得に似ていると言われていますが、対策を始めた時点で、私もそれを如実に実感しました。難解な条文の文言や判例の言い回し等、法学という特殊な言語空間に慣れるまで相当な時間と労力がかかりました(日本国籍の方より2倍以上はかかってしまったと思います)。何とか対策は間に合わせたものの、入学当時の私はハイレベルな日本語力を備えていたわけでもありませんし、法律の知識も他の同級生より浅い状況でした。このような私が無事司法試験に合格できたのは、後述する勉強法を徹底したからだと思います。
 冒頭に私の経歴を挙げさせていただきましたが、その理由は、「司法試験は、私のような日本語が母国語でない留学生でも合格できる試験であること」を後輩の皆さんにお伝えし、自信をもって受験勉強に取り組んでいただきたいと思ったからです。司法試験は、「人並の文章力」と「自分に合った勉強法」を身につけることで誰でも合格することができます。ですので、後輩の皆さんには、これから前向きな気持ちで受験勉強に向き合っていただければと思います。
 以下、合格者という立場で体験談を書かせていただくに当たり、多少偉そうなことを申し上げるかもしれませんが、それは、後輩の皆さんに少しでも多くのことをわかりやすく伝えることができたらという思いからなるものなので、どうかお許しください。

2.勉強方法
(1)短答式試験対策
ア.「できるだけ早めに着手する」
 短答対策の開始時期については、人によってばらつきがあります。予備試験を受験していたため入学前から対策を開始していた人や、本番の8カ月前から対策を始めるという人までいました。確かに、「インプットが完璧じゃないのに、過去問を解いてもな...」と思われがちです。しかし、私は、短答式対策はなるべく早めに着手するべきだと思います。具体的には、インプット(基本書、予備校本を読む作業)と並行して過去問を解くのが理想だと思います。その理由は次の通りです。
 第一に、インプットの作業と過去問を解く作業を厳密に区別する必要がないからです。過去問集の解説を読んでいくなかでインプットも進んでいきますし、基本書を読んでもあまり吸収できなかった部分が、問題ごとの解説を読んでいくなかで理解できることもあるからです。
 第二に、直前期のメンタルの安定につながるからです。短答式試験では、論文試験より細かい知識が問われることが多く、両者の対策方法が大きく異なります。そのため、短答式試験の対策の開始が遅れてしまえば、直前期にそれだけ論文式試験の対策に時間を割けなくなり、精神的に焦ってしまう可能性が高いです。
 司法試験は、本番までに心の安定を保つことができた受験生から受かっていく試験なので、インプットと並行して短答式対策を始めた方が良いと思います。
イ.具体的な勉強法
 基本書・判例百選等である程度の知識をインプット→分野別過去問集でアウトプット→解説を読んでも理解できない肢については基本書等を確認、という流れを繰り返していました。分野別過去問集は、勉強した分野ごとに集中して復習できるので、愛用していました。
 問題を解く際は、正解できた肢は白紙状態のままにし、そうでない肢は✓をつけました。この作業を3周し、4周目以降は✓をつけた肢のみを周回するという方法で進めていました。
 分野によっては、過去問を解きながら直前期に読むためのノートを作成することも有効だと思います。私の場合、憲法の統治や民法の家族法等、ある程度暗記に頼らざるを得ないような分野については一元化ノートを作成していました。なお、家族法については、青竹先生の民法応用のレジュメがわかりやすかったので、これをベースにノートを作成しました。

(2)論文式試験対策
ア.「手を広げすぎず、一冊の演習書を繰り返す」
 私は、全科目一通り学習が終わった段階から、演習書でアウトプット→理解が不十分なところを基本書で確認、という作業を繰り返していました。過去問の検討は王道の勉強法と言われていますが、私はあまり過去問の起案を行わず、論点の確認で済ませていました。同じ論点が繰り返し出題される可能性はそれほど高くないと考えたからです。
 各科目ごとに演習書を一冊決め、その一冊を完璧に理解することを目指し、何度も繰り返し問題を解きました。ここでいう完璧に理解するというのは、法律を知らない人に「自分の言葉で」説明できるレベルを目安にすると良いと思います(私はこの段階で実力が伸びてきたかもと感じ、モチベーションが上がりました)。
 確かに、「演習書一冊で司法試験の全範囲をカバーできるのか」と不安に思うかもしれません。しかし、司法試験は満点を目指す試験ではありません。全範囲を完璧にする必要はありませんし、そもそも、それは時間的に無理だと思います。ですので、手を広げすぎず、一冊の演習書を自分の言葉で説明できるレベルまで繰り返し解くことを目指してください。以下、私が使っていた演習書等を挙げますので、参考にしていただければ幸いです(敬称は略します)。
 ・憲法:松本和彦「事例問題から考える憲法」
 ・行政法:大島義則「行政法ガール」
 ・民法:千葉恵美子ほか「Law Practice1、2」、武田・松井先生の授業レジュメ
 ・会社法:前田雅弘ほか「会社法事例演習教材」
 ・民事訴訟法:名津井吉裕ほか「事例で考える民事訴訟法」、百選
 ・刑法:品田智史ほか「徹底チェック刑法」、井田良ほか「刑法事例演習教材」
 ・刑事訴訟法:粟田知穂「エクササイズ刑事訴訟法」
*なお、再度の出題可能性が高いと言われている公法系科目と刑事訴訟法については、過去問を丁寧に検討しました。
イ.当日のメンタルの保ち方
 司法試験は、5日間にわたり続いていくのですが、一切のミスなく最後の科目まで書き切る受験生はほとんどいません。必ず「失敗しちゃった」と思う瞬間がくると思います。しかし、そこで諦めてはいけません。司法試験は相対評価ですし、難問が出題された場合には、自分の手ごたえが全く当てにならないからです。私も、初日の選択科目の出題意図がわからず、公法系が両方途中答案となってしまい、落ち込みましたが、すぐに気持ちを切り替え、目の前の問題に向きあい続けた結果、無事合格することができました。当日は「自分を信じて最後の科目まで受け切ること」、これだけを意識してください。

3.後輩の皆さんへ
 司法試験というのは、不安(不確実性)との戦いです。私も、「来年知らない論点が出たらどうしよう」「こんな自分でも合格できるのかな」等の不安を常に抱えていました。しかし、このような不安と戦う自信をつける方法は一つしかありません。それは、「今を一生懸命生きること」です。月並みな話で恐縮ですが、これに尽きるのです。自信というのは、自分が計画した一日の勉強をやり終えたときの達成感、つまり、日々の小さな成功の積み重ねによって生まれるものです。達成感の積み重ねが自信につながり、不安が「もしかしたらいけるかも」というポジティブな思考に変わっていきます。
 ですので、後輩の皆さんには、受験生活の中で小さな成功を意識し、それを積み重ねる努力をしていただきたいです。

4.おわりに
 以上のことは、私が受験生時代に特に意識していたことの一部にすぎません。また、すべてが完璧にできていたわけでもありません。自分との約束が守れず、何度も計画を立て直したりすることもありました。合格発表までは、ずっと不安で司法試験の勉強も継続していました。合格して初めて私のやり方が間違ってなかったんだなと思えただけです。今はとにかく試行錯誤を重ね、自分に合った勉強法を見つけてください。その際、「少なくとも間違ってない勉強法」の一例として私の体験談を参考にしていただければと思います。
 一人でも多くの方の努力が実を結び、試験に合格されますことを、心より祈念しております。

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