1.自己紹介
法科大学修了年度:令和7年(予定) 未修
受験回数:1回(在学中)
選択科目:知的財産法
通学時間:片道約1時間
2.合格までの勉強法
勉強方法は千差万別で、ある人にとって効果的な勉強法が、ある人にとって有用とはいえない場合があります。自分の性格や学習到達度によってどのような勉強が良いのかを常に考え、試行錯誤を繰り返すことが重要です。その上で、一例として私の学習記録を紹介したいと思います。どなたかの参考になれば幸いです。
(1)ロースクールでの勉強時間
私は、ロースクールに入学してからアプリ(「Study plus」)を用いて、毎日の学習時間を記録することを習慣化しました。学習時間の可視化は、モチベーションの維持・各科目の学習時間の偏重の防止に役立ったと感じています。また、講義や食事、スマホ、友人との会話等の時間を除いた純粋な学習時間を計測することで、「ロースクールに長時間いた」という事実のみで満足してしまうことを防げたと思います。
司法試験までの具体的な勉強時間ですが、ロースクールの予習・復習を除いて合計約2400時間、1日に換算すると約3時間の自学自習を行っていました。学年別にすると、1年生で約1150時間、2年生で約930時間、3年生(4~6月)で約320時間でした。なお、ロースクールの予習・復習に関しては、予習は各科目約2時間、復習は約1時間ほどでした。
(2)ロースクールでの学習方法
未修1年生のときには、とにかくロースクールの予習・復習に力を入れていました。私は法学部出身ですが、お恥ずかしながら学部時代は不真面目な学生でした。そのため、ロースクール進学時点では、法律の基礎知識が全くありませんでした。そこで、まずは基礎的な知識を蓄えるべくレジュメや教科書を読み込んで授業に臨み、疑問点は授業後すぐに先生に質問していました。また、復習に際してはまとめノートを作成し知識を一元化していました。
未修2年生のときには、1年間で既修コースの方々に追いつけた実感がなかったため、毎朝8時までには自習室に行くことを習慣化しました。日中は基本的にどの学生も勉強しているため、差をつけるとすれば朝しかないと考えたためです。私は意思が弱く、一人ではすぐにサボってしまうため、友人や先輩とともに行いました。また、朝は短答演習、昼は授業とロースクールの予習・復習、夜は論文演習という形でロースクールの学習と自学自習のバランスを取っていました。他には、日々のレポート提出や法律文書錬成講座等、教授・弁護士の先生に答案を見て頂ける機会は逃さないようにしていました。答案を見てもらうことで主観と客観のズレをなくし、読みやすい文章を意識する癖をつけることができたと思います。
未修3年生のときには、①司法試験の過去問演習、②短答、③論証の暗記に絞って学習していました。①に関しては、基本的に直近15年分の過去問の答案構成を行い、出題趣旨と採点実感を用いて復習していました。②に関しては、1日30問を目安に毎日行っていました。③に関しては、1年生のときから作成していた一元化教材を用いて、電車での移動時間や寝る前等の隙間時間を活用していました。また、司法試験までに時間がなく全科目を満足の行くレベルにする余裕がなかったため、勉強する科目を絞りました。具体的には、他の受験生も学習が不十分であると予想される下4法・選択科目の学習に力を入れました。司法試験の分析をする中で、上3法は標準偏差が小さく、他方、下4法・選択科目は標準偏差が大きいことに気づき、下4法・選択科目の学習に力を入れた方が合格の可能性が高まるのではないかと考えたためです。
3.最後に
以上が、私の司法試験合格までの記録です。1日の学習時間は長くなく、学習方法も過去問演習、一元化教材の作成等、特別なことはしていないです。私自身も特別に法律適正が高いわけではありません。それでもロースクール在学中に司法試験に合格できたのは、この平凡な学習を継続できたからだと思います。
司法試験の勉強をしていると体力的にだけでなく精神的にも疲弊することがあるかと思います。私も司法試験直前は精神的にまいってしまい1ヶ月ほどペンを持てませんでした。そんなときは、友人や先輩、家族、恋人など、周囲の人に頼ってみてください。きっと優しくサポートしてくれます。たまには勉強をサボってもいいと思います。周囲の人との時間を大切にすると、「あと少し頑張ってみよう」と思えるはずです。
どうか心身ともに健康には気をつけて、勉強に励んでください。皆様と実務でお会いできることを楽しみにしています。
(1)自己紹介
令和5年に既修コースに入学した古谷彰務です。令和6年司法試験を在学中受験し合格することができました。選択科目は国際私法です。
学部は大阪大学の法学部法学科で、卒業後にそのまま大阪大学ロースクールに進学しました。
(2)司法試験に向けた勉強
まず、私のロースクール入学時の勉強の出来は平均程度で、合格順位は合格者の真ん中くらいでした。学部時代から予備校を使っていましたが論証をある程度覚えているものの基礎の理解が不十分といった状態で、ロースクール入試も暗記した知識でなんとか乗り切ったという感じでした。
私のロースクール中の勉強は①入学~2年生・秋冬期末試験まで、と②2年生の2月~司法試験まで、の2つの時期に区切ることができると思います。
①入学~2年生・秋冬期末試験まで
上述したように入学時点では基礎が不十分だったため、最初はロースクールの授業もついていくのに必死でした。学部の時とは違い予習が必須であり、理解のためには復習も重要でした。当初は予備校と並行していくことも考えたのですが、時間が足りないので割り切って授業の予習・復習のみを行うことにしました。
授業中は先生の言ったことのほとんどをメモし、復習ではメモを見返すとともに、この論点が問題で聞かれたらどのように解答を作成するか?を意識して復習を行いました。授業の予習課題は事例問題形式で与えられることが多いと思いますが、常に試験での解答を意識した予習・復習を行うことが有用だと思います。例えば、授業では判例の紹介をしただけの場合でも、その判例が題材となった問題が出た場合の自分なりの解答を作成してストックしていました。
このように2年生のうちは授業中心の勉強を行っていました。
②2年生の2月~司法試験まで
本来であれば2月初めから司法試験の勉強をスタートすべきでしたが、エクスターンシップがあった関係もあり本格的に勉強をスタートしたのは2月の終わりでした。その時の私の課題は(1)短答対策が未着手であったこと(2)2年生の春夏以来放置していた科目(憲法、刑訴、行政救済法)の出来が著しく悪かったこと、でした。
(1)については正直かなり焦る気持ちもありましたが、毎朝2時間程度を短答の勉強に割り振ることで過去問集を何周かすることにしました。毎日短答の時間を確保することで、明日も明後日も絶対するから大丈夫と思えたので焦りを抑えることができました。
(2)についてはもっと焦りました。過去問演習と並行すべきか悩みましたが、まずはインプット重視で基本書の通読、予備校の基礎講義の試聴、レジュメの復習を行うことにしました。一方で、すでに過去問が解けそうな科目(刑法と民事系科目)については過去問演習と解説の確認を行いました。結果として全ての科目が過去問に取り組める程度に揃ったのは5月頃でした。ただ、短期間のインプットでは忘れるスピードも早く、6月、7月も7割がインプットで3割が過去問演習(時間がなかったので答案構成のみ)といった状態でした。
私の理想では6月は毎日時間を測って過去問演習をしたかったのですがそれができず、本番を迎えるにあたっては大きな不安要素でした。ただ、2月から7月まで毎日学校と家の往復で、それ以上の勉強時間の確保は不可能だったので、これでダメなら来年頑張ろうと腹を括り試験に臨みました。
結果として、司法試験では自分の予想よりも良い評価をもらうことができました。暗記の面では不完全ながらも、問題文をしっかり読み、思考過程を自分なりに示せたところが評価してもらえたのかなと思います。
(3)阪大ローで良かったこと
実は私も予備試験ルートでロースクールに行かない道を目指した時期もありました(いずれも短答落ちでしたが・・・)。ただ今となっては、自分は阪大ローに来て良かったと思います。
まず、日々切磋琢磨する友人ができました。予習についてあれこれ議論したり、息抜きにご飯を食べに行ったり、廊下でダラダラ駄弁ったり、どれも楽しかったです。特に司法試験1、2ヶ月前は不安を言い合ったりすることも増え、当時は「また勉強せずに雑談してしまった…」と思ったりしましたが、今思えばそれも精神安定剤としてとても良いことだったと思います。
また、法学について基礎から応用まで深く学ぶことができました。上述したように暗記メインで勉強してきた自分にとって法律の勉強は無味乾燥なものでした。しかし、判例の変遷や根拠、学説の状況について学習することでより深く実用的な知識を身につけることができました。ロースクールには基本法のみならず、実務家の先生が担当の授業も多くあります。現場で活躍されている先生方のお話を聞くことで自分の将来について具体的なイメージを持つことができました。
(4)今から司法試験を受ける皆さんへ
まず、勉強方法は人それぞれなので、一概にこれをすれば良いということは難しいです。ただ、一つ言えることとしては、各法律について自分の勉強の進捗度を冷静に見極めて、それぞれに必要な勉強を日々地道に進めていくことが大切なのかなと感じています。周囲の人が過去問に取り組んでいたりすると焦る気持ちもあるかもしれませんが、自分は自分と割り切ることも大切だと思います。
司法試験の勉強をすればするほど、「こんなので自分受かるのかな・・・」と絶望する時期もあるかもしれません。私はそんな時期がありました。私は飛び抜けて頭が良いわけでも、特段ひらめきがすごいわけでもありません。だからこそ、試験でみんなが書けることは確実に書けるようにということを意識して、試験前日まで知識を詰め込み続けました。私の友人にとても優秀な人がいるのですが、実は何日も徹夜して司法試験に臨んでいたことを後から知りました。結局皆見えないところで必死に努力していたのだなと気づきました。
客観的に自分の到達度を計りながら計画を立て、試験当日に「不安はあるけど、これ以上勉強できなかった」という気持ちになれればきっと大丈夫だと思います。あとは健康にだけ気をつけて、頑張ってください。
(5)終わりに
最後に、日々真剣に私たちと向き合い内容の濃い授業をしてくださった先生方、勉強に集中できる環境を整えてくださった職員の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。
私はまだ法曹のスタートラインに立ったばかりなので、良き法曹になれるようにこれからも頑張っていきたいと思います。
私は、コロナ禍の2020年4月から2022年3月まで大阪大学ロースクールに在籍し、2024年11月、やっと念願の司法試験合格の報を受けることができました。これでお判りのように、私はすんなりと司法試験の合格を手にすることができたわけではありません。いやその逆で、自虐的に申しますと、ここまでたどり着くのにこれほど苦労した人間は他にはいないのではと思える程です。
従って私が以下に記すのは、今回の主題が合格者体験談であるにも関わらず、決して成功体験ではありません。
しかし、高等司法研究科から司法試験合格を目指されている方の中には、私と同様に多数回の受験を経験されている方もおられると思います。私は今回そのような方々の一助になれればと思い筆をとりました。結果として、順調に受験に向かわれている方の反面教師にもなれば、より甲斐があります。
1 反省点
私が司法試験の合格までに非常に多くの時間を要した理由を自分なりに分析すると、大きく次の二点になると思います。
第一は、インプットに偏重した勉強方法をしていた結果、客観的な視点を持てずにいたことです。
このような勉強方法を採ったのは、司法試験が筆記試験である以上、より多くの知識習得こそが最重要であるとの思いからでした。又、私が社会人経験者であることから、周りの多くの方と世代ギャップがあり、勉強仲間を持つことができず、一人で勉強することが多かったことも悪影響を与えました。
第二の理由は、私が法学部出身でないことから、三段論法等の基本的な法的思考がうまくできず、法律の基本的知識の習得も不十分であったことです。
以上の二つの理由から、今思えば私は、法的思考に根付かない独善的な知識を正しいと信じて蓄積してしまい、成果が出ない日が長く続いたものと考えます。
2 課題克服(主に、大阪大学ロースクールの寄与)
折しも、私のロースクール入学時はコロナ禍の最盛期であり、1年間対面での授業はほぼゼロでした。2年目の最終年にはいくらかましにはなりましたが、それでも対面授業は半分程でした。このような学習環境では、私の上記志向に従えば、これまでにもまして客観性を欠いた学習へと傾くのは必定でした。
しかし、大阪大学ロースクールでは、予期せぬ疫病蔓延であったにも関わらず、いち早くリモート学習の態勢を整えて頂け、双方向での授業が一貫して行われた上、各先生方が、授業後や適宜のオフィスアワーによって、リモートで疑問点に丁寧に答えて下さいました。その結果、身勝手な思い込みで道に迷わずに済み、客観的な視点で学ぶことができました。
その他、大阪大学ロースクールは、在学中は授業外に、又修了後にも、学生がグループを組み起案して、その起案を元に、大阪大学ロースクールを修了された法曹実務家の先生にご指導頂けるという、学習会を企画して下さいました。このような企画の甲斐もあり、私の志向では不足しがちだったアウトプット学習を怠らずに済むと共に、同級生や同じような境遇にある修了生と一緒に勉強することができました。
こうして、第一の私の課題は改善されたのです。
次に、第二の課題に対し、大阪大学ロースクールで私は、学術的なご指導や模擬法廷等の法律実務についてのご指導を厳しくして頂いたことはもちろんですが、それ以外に、法曹実務家の先生方の体験談を聞く特別講義を受講したり、刑事裁判の傍聴に参加したりと、折に触れ最先端の法的時事に触れることができました。この結果、自然に法的思考が植えつけられ、独善的な知識の習得に終始することが避けられました。
又、自学自習として、短答式試験の勉強を重視し、基本的知識の習得に努めました。
さらに、テレビや映画で法律関係を扱った作品や法廷を舞台にした作品を意図的に多く見ることにして法的思考の向上にも努めました。
こうして、私の第二の課題も改善されました。
3 終わりに
以上より、今私が、法曹に向けた第一歩を印す機会を頂けたのは、大阪大学ロースクールで、自学自習では得難い多数の機会を与えて頂いたことが大きかったといえます。おかげをもちまして、長年できなかった二つの自己課題の改善ができました。
しかも、大阪大学ロースクールに在籍したおかげで、今後、大阪大学ロースクールを修了された多くの法曹実務家の皆様とつながりが持てるという、未来に向けた大きな財産も頂くことができました。
私にとって、大阪大学ロースクールの門をくぐり、ご指導頂けたことは、これ以上ない幸運なことでした。本当にありがとうございました。
今後も、大阪大学ロースクールから、多くの法曹実務家が巣立たれることと思います。そのような皆様とどこかでお会いできる日を楽しみにしております。
私は、今年5回目の司法試験に挑戦し、合格いたしました。
以下は、私が合格に必要だと感じたポイントを挙げたものです。これはどなたにも役立つ合格体験記ではないと思います。私自身書くべきか本当に悩みましたが、今、悩みを抱えている方のうち、たったおひとりにでも参考になればと思い、執筆いたしました。
少し厳しめかもしれませんが、阪大ローの皆さんには5回目受験の辛さを経験する前に必ず合格していただきたいと思っています。
●生活環境の見直し
①朝型の勉強に変える
働きながら勉強されている兼業受験生はもちろんですが、専業受験生も朝の時間を大切にしてください。勉強する時間があるからといって一番頭がすっきりしている朝の貴重な時間を無駄にするのは非常にもったいないです。その時間の積み重ねでだんだんと差がついてしまいます。自分は夜型人間だという方、その場合は朝も夜も勉強してください(私はそうしました)。
②法律事務所でアルバイトを始める
私は3回目不合格直後から法律事務所でアルバイトを始めました。実務に触れることで、法律について今まで理論でしか考えてこなかった部分が、現実にどう使われるのかを少し理解できるようになったように思います。民事訴訟法が苦手だと感じている方には特におすすめします。また、弁護士の先生方が働かれている姿を近くで拝見することで、モチベーションの向上にも繋がりました。
●勉強方法の見直し
①闇雲に答案を書かない
答案を書くことに徹してしまうと勉強した気にはなりますが、成長にはつながりません。書くことはもちろん大切ですが、どこがわからなかったのか、どうすれば書けるようになるのかを考え、復習することが大切です。
②暗記より理解
理解することで自然と答案は書けるようになってきます。自分が理解できているかどうかは周りの人に説明して理解度を図るのが一番良いですが、もしおひとりで理解度を図りたい場合は、寝る前にその日一日に勉強した内容を簡単に白紙ノートに書き出してみてください。意外と勉強したことが身についていないことがわかります。
③新しい教材に手を出さない、模試をたくさん受けない
複数回受験者にとって一番危険なのは新しい教材に手を出すことです。ここまで頑張ってきた自分を信じて、新しい教材には手を出さないでください。何年も頑張ってきたのだから、知識面ではほかの受験生に負けないはずです。そこまで勉強できていないと感じていても今まで使ってきたテキストの復習に徹してください。
また、模試は本来、本番慣れしていない受験生が本番慣れするために受けるものです。複数回受験者は何個も模試を受けずとも本番の雰囲気はわかるでしょうし、時間管理はできるはずです。直前期に模試を受けないという選択をするのは不安かと思いますが、私は必ずしも受ける必要はないと考えています。
●最後に
人生にひとつも無駄なことはないと私は思っています。私の場合、5回目の受験は、確かに精神的な辛さは一番大きかったですが、合格力をつけるという点では、4回目の受験勉強が重要な分岐点になったと考えています。
おそらく4回目の頑張りがなければ、5回目での合格はありえませんでした。
努力が実らないという現実に直面することは、自分を否定されたように感じ、本当に辛いものだと思います。どうか皆さんが夢を叶え、自分の選んだ人生を肯定できるようになることをお祈りしています。