修了生からのメッセージ

- ◆ プロフィール
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私はロシアのイジェフスク市で生まれ育ちました。小学生の頃に日本のアニメに出会ったことがきっかけで日本に強く惹かれ、来日することを決意しました。高校卒業後の2015年に来日し、大阪大学日本語センター、京都大学法学部を経て、大阪大学高等司法研究科(既修コース)に進学しました。2022年に司法試験に合格し、2023年12月に弁護士登録をしました。
その後は、東京の事務所で約1年間経験を積み、2025年5月から高知県四万十市にある中村ひまわり基金法律事務所で勤務しています。
- ◆ 今の仕事のやりがいはなんですか?また、どんな仕事をされていますか?
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現在私が働いている高知県西部の幡多地域は、人口約9万人に対して弁護士がわずか3人しかいない、いわゆる「司法過疎地域」です。そのため、取り扱う業務は非常に幅広く、一般民事、刑事、債務整理等に加え、地域の中小企業や行政機関に対するリーガルアドバイスなども行っています。
日々、新しい分野に向き合う必要があり、決して楽な環境ではありません。しかしその分、弁護士として確実に成長している実感があります。弁護士登録2年目で、破産管財人や相続財産清算人に選任されたり、重大な刑事事件の弁護人を担当したりと、都市部ではなかなか経験できない案件を任されることもあります。何よりも、「今ここで、自分が必要とされている」と実感できることが、この仕事の最大のやりがいです。
- ◆ 日本で法学を学ぼうと思ったきっかけ、法曹を目指そうと考えた理由を聞かせてください。
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来日当初は、明確な目標はなく、弁護士になることも考えていませんでした。大学で法学部を選んだのも、一番無難そうだと思ったからでした。
しかし、大学で法律を学ぶ中で、そのおもしろさに気づき、「法律を身につければ、自分一人の力でも誰かの役に立てるかもしれない」と思うようになりました。それが、法曹を志すようになったきっかけでした。
- ◆ 司法試験の体験談について(どんな工夫をして勉強したか、苦心した点やエピソードなど。日本語の習熟をはじめ、相当苦労があったのでは?)
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私がロースクールに入学したのは2020年、コロナ禍の真っ只中でした。入学直後から授業はオンラインとなり、ついていくことは想像以上に大変でした。阪大に知り合いがいなかったため、相当孤立し、前期の成績は思うように行かず、振るいませんでした。「本当に弁護士になりたいのか」と悩んだ時期もあります。
転機となったのは、2年の春休みに参加したエクスターンでした。実務を間近で見たことで、「この仕事をしたい」という気持ちが明確になりました。
その後は、サマークラークやインターンに積極的に参加し、実務とのつながりを意識しながら学習を続けました。決して順調な受験生活ではありませんでしたが、司法試験後の自分をイメージできたことが、合格に繋がったと感じています。
- ◆ なぜ職場としていわゆる司法過疎地を選んだのでしょうか?
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弁護士になろうと思った当初は、東京の大手事務所で企業法務に携わることを目標としていました。しかし、3年の夏休みに参加した司法過疎地でのインターンが私の人生を変えるきっかけとなりました。
当時は「司法過疎」という言葉すら知らず、インターンに応募したのも、ついでに旅行に行けると思ったからでした。しかし、実際に現地を訪れ、弁護士が少ないことで生じる問題や、弁護士の存在が地域に与える影響を目の当たりにし、司法過疎地で働くことには大きな意味があると強く感じました。その経験が、今の進路選択に繋がっています。
- ◆ 今の仕事にLSでの学びや同級生とのつながりがどう活かされていますか?
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ロースクールで学んだ基礎的な法律知識は、現在の実務の土台となっています。実務では教科書どおりの問題に直面することはありませんが、事案を法的に整理し、考え抜く力は、ロースクールでの学びによって培われたものだと感じています。また、在学中に築いた同級生や先輩とのつながりは、今も大切な支えとなっています。
- ◆ 後輩へのメッセージをお願いします。
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法曹の仕事は本当に多様で、進路の選択肢は想像以上に広がっています。最初からその選択肢を狭めることなく、ぜひ視野を広げ、さまざまな事務所のインターンに参加し、多くの先輩の話を聞いてみてください。そうすることで、自分がどんな法曹になりたいのかが少しずつ見えてきて、勉強も楽しくなると思います。
ロースクール在学中は勉強で忙しい日々が続くと思いますが、その一つひとつの経験が、将来必ずどこかでつながります。ぜひ学生生活も大切にしながら、自分らしく頑張ってください!