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司法試験合格者体験談

2023年 合格者体験談

梶並吉光「司法試験に合格するために必要なこと」

1、自己紹介
法科大学院修了年度:令和5年 既修
受験回数:1回
選択科目:倒産法

私は、大学の経営学部を卒業後、公立中学校の教師として7年勤務した後、阪大の法科大学院(既修)に進学しました。 2年後に卒業し、令和5年4月から同年7月の司法試験までフルタイムで働きつつ(司法試験1ヶ月前に休職)、司法試験に臨み、1回目の受験で合格しました。

2、司法試験に合格するために必要なこと
(1)司法試験に合格するために必要なことは、①自分の学力と司法試験を良く知り、②ゴールから逆算して計画を立てて、③正しい学び方で、④メンタルや経済面に配慮しつつ勉強を継続することだと思います。
(2)司法試験に挑戦することは登山に似ている
 司法試験への挑戦は登山に似ていると思います。どういうことかというと、登山はやみくもに時間をかけたからといって頂上に辿りつけるわけではありません。無計画に登山に臨めば頂上にたどり着くどころか、遭難するおそれさえあります。そのため、しっかりその山の特徴を調査して、自分の登山の力量と照らし合わせながら、どのルートを進むか、どのような道具を用意するか、アクシデントが起きたらどう対処するか、事前にどんな訓練をしておく必要があるか等、しっかり計画をたてて登山に臨む必要があります。
 司法試験が論述形式の試験で、日本で最難関の試験である以上、それに挑戦するということになれば、高い確率で合格できるという採算がなければなりません。長年司法試験に挑戦して最終的に合格できないことは経済的にも、精神的にもリスクが大きいからです。そのため、司法試験という険しい山に挑戦して頂上にたどりつくためには、登山をするときにならって上述の(1)の点に配慮して勉強をしていく必要があると思います。

3、法科大学院に入学するまで
 私は、法科大学院に入学するまでは公立中学校の教師として働いていました。司法試験をいきなり目指すのはリスクがあると思い、お金を貯めつつ、まずは下位資格からはじめて自分の力量をはかり、徐々にステップアップするという計画をたてました。そこで、行政書士試験の勉強から始めました。その際、某予備校の行政書士講座を利用しました。また並行して某通信制の法学部にも通い、日々のレポート添削授業、スクーリングなどを利用して法律の論文の書き方を学びました。通学制の法学部で学んだことがなかったため、ある科目についていきなりレポートを書くことはせず、定評のある基本書を1冊一通り読んでからレポートに臨んでいました。こうした学習を経て、3回目の行政書士試験に合格する頃には一定の法的文章が書けるようになっていました。
 行政書士試験合格後は、次のステップとして司法書士試験に着手しました。しかし、仕事が忙しくなったため、1~2年ほどは1日2時間ほどの勉強がやっとで身が入りませんでした。そうした頃、地元の岡山大学法科大学院でロースクールについての説明会があり、そこでの助言により、司法書士試験の挑戦をやめ、ストレートに法科大学院(既修)の入試の勉強を始めました。その手始めとして、まず司法試験の過去問の直近1年分の問題と模範解答をざっと読んでこれから最終的に目指す試験がどういうものかを確認してイメージをおぼろげながら掴んでおくということをしていました。
 法科大学院入試の準備期間としては8ヶ月ほどで、その間に司法試験に通ずる法律論文の書き方を市販の書籍や過去問を通じて学びました。
 法科大学院入試の際は、ほぼ独学であったため、網羅性のある知識はもっておりませんでした。しかし、過去問で出た問題について、自ら基本書や判例を調べて自分なりに考えてしっかりと論理を組んで答案をつくるということにはかなり時間をかけていました。このような勉強の仕方であったため、一つ一つに時間がかかり、知っている知識や論点は一般的な受験生に比べて少なかったものの、法的な見方考え方、論理的な文章を書く力は一般的な受験生の平均以上には身についており、その点が入試においては評価されたのではないかと思います。

4、法科大学院時代について
 法科大学院在学中に一番意識していたことは、予習をしっかりして日々の授業を大切にすることです。法科大学院が開講している期間は、司法試験対策はほぼ行わず、長期休みや卒業後にすれば良いと考えていました。その理由は次の通りです。すなわち、司法試験は法律家として必要な素養があるかどうかをはかる試験です。その司法試験に合格するために、本当に必要な力は、知識や論証パターンをやみくもに増やすことではなく、法的な見方考え方、その道筋を他者にわかるように説明する力だと思っていたからです。本学の先生方はその分野に精通する一流の学者であり、その先生方がなされる授業を大切に受講することは、上述の本質的な能力を身につけることにつながると考えていたからです。
 知識や論証パターンは独学でも時間をかければ自然と身につくものですが、法的な見方考え方や、その道筋を他者に説明する力は、そう簡単に身につくものではありません。これらの力が十分に身についていないのに、やみくもに知識や論証パターンを増やし続ける勉強をしてしまうと、合格までにとてつもない時間、ハードな勉強を要したり、合格が運に左右されてしまうおそれがあると常々考えていました。法科大学院でこれらの力を身につけられるかどうかが、司法試験に合格するかどうかの分岐点だと思っていました。
 その次に意識していたことは、司法試験に直接関係のない科目の授業も丁寧に取り組むことです。司法試験合格に必要な力は、上述した本質的な力だと考えていたので、一見すると直接関係のないように思える科目もこれらの力をのばすのに実は重要です。

5、その他 法学教室の活用
 学習教材として3年後期から司法試験にかけて、苦手意識があった刑法、民事訴訟法、会社法について法学教室の「連載」を読んで勉強していました。法学教室を使うようになった経緯としては、エクスターン先の弁護士で、わずか平均3枚半の答案枚数で司法試験に合格したという方がいて、驚き、その先生に勉強方法を拝聴したところ法学教室をメイン教材としてすえていたという助言を得たからです。法学教室の具体的な使い方は次の通りです。
 まず、法学教室には「連載」というページがあり、これは、有名な法学者が各回ごとのテーマに沿った内容を7ページくらいにまとめたものです。連載は通常数年かけて寄稿されるので回数としては多いもので24回ほどになります。なので一つのまとまった連載を読めばその科目についてある程度網羅的な知識を身につけることができます。それならば基本書を読めばいいのではと思うかもしれません。しかし、連載の良さは、なんといっても各回7ページほどの限られた紙はばに内容をまとめなければならない都合上、基礎的かつ重要事項に的がしぼられており、そして学者の深い考察が示されているところです。また、各回が簡潔にまとめられているので細切れ時間に読み物として気軽によめます。実際私は、ご飯を食べているときや電車の移動中に法学教室を読んでいました。
 次に無数にある多くの先生の連載から、どの連載を選んで読めば良いかという点について、これは、ロースクールの図書館に行って目次と照らし合わせながら、実際に読んでみてその先生が書く文章と自分の相性を確かめてください。相性があいそうな連載ならどれでも大丈夫です。また、できるだけ連載が完結している過去の連載が良いです。現在進行形の連載は最新の情報をキャッチできるものの、司法試験までに連載が完結しないおそれがあるからです。

6、最後に
 ここまで読んでくださりありがとうございます。上記は私が個人的に考えた「司法試験に合格するために必要なこと」です。色々な方法、考え方がありますので、他の方の合格体験記も読んだ上で、一つの参考になれば幸いです。
 熱心に指導してくださった先生方、様々な事務や相談に丁寧に対応してくださった教務の方々、一緒に切磋琢磨してくれた法科大学院の仲間、色々な面でサポートしてくれた両親、その他の私に関わってくれた全ての方に対して本当に感謝したいです。ありがとうございました。
 後輩へ、司法試験は本試験を受けて自分の得点が開示され相場感をつかむまでは、何か得体のしれないとんでもないものに挑んでいるような感覚がありますが、実は合格するのに必要な水準はそこまで高くはないです。知識や論点を網羅しなければならないというようなことはないのです。基礎的なことを正しい学び方で身につけ、法的三段論法を常に意識して答案を書けば十分に合格できます。毎年出題される難しい論点については、その論点についての知識がなくとも、一定の自分なりの法的な見方考え方を示せれば、少々筋を外しても点がつきます。なので、今はまず、法科大学院の授業を大切にして下さい。それが実は確実かつ最短で合格する方法だと私は思います。
 最後に、法科大学院在学中に特に記憶に残っているエピソードを紹介して筆を置きたいと思います。一つ目は、入学最初の刑法の期末試験のときのことです。当時はズームを用いて試験を受けるというものでした。既修の最初の期末が尋常ではないくらい大変なことはロースクール生なら誰もが知るところだと思いますが、自宅のネット環境が悪かったのか、問題用紙を開くパスワードがうまく受信できなかったことがありました。試験がはじまり、1分1秒を争う中、問題用紙を未だ開けずにおり、「もうだめだ」とパニックになりかけていたときに、同期の仲間が一人「ここをみればパスワードが掲載してあるよ」という趣旨のことをズームの全体の音声機能をつかって教えてくれました。誰もが1分1秒をおしんで試験に臨んでいる最中でのことです。ここに法律家として本当に必要な姿勢をみたような気がしました。
 二つ目は、3年生になり、ある程度卒業がみえてきたときに、人と比較して焦りを感じていたときのことです。そのとき仲間から「司法試験は自分との戦い。人は関係ないと思うよ。」という言葉をもらいました。この言葉をもらって救われました。それからは、どんなに時間がかかっても、一つの論点に対して、自分の頭で考えて考えて考え抜いたような気がします。

以上

下岡聖治「目指せS!」 

第1 自己紹介
 令和5年大阪大学大学院高等司法研究科特待修了生・令和5年司法試験合格の下岡聖治(しもおかせいじ)(S・S)(宮崎県宮崎市出身)です。既修入学で、選択科目は労働法です。

第2 司法試験合格の秘訣
 合格の秘訣は、大阪大学法科大学院の「授業」や「期末試験」を、「司法試験の模擬試験」と考え、阪大法科大学院での単位認定で特に優秀な成績である「S」をとれるように目指すこと(なお、阪大ローの期末試験において結果的に相対評価で、AやB+等になっても、平均的にB+以上ならば、司法試験には合格すると統計上分析されていますので、目指す姿勢が大事)です。私はそれを実践したおかげで、大阪大学法科大学院の成績優秀者として「令和5年特待修了生」と認定され、阪大ロー修了後1回で司法試験に合格できました。(特待修了生になれれば、司法試験本番で大きなトラブルに直面しない限り、司法試験に1回で確実に合格すると統計上言われているので、司法試験直前期のメンタル維持にも大きな効果があります。)
 そのためには、法科大学院の授業の予習は時間を測りメリハリのある予習をし、授業は集中して聞き、疑問点等は、その場で最大1時間位居残りし、同じく居残りして下さる先生方と雑談等しながら解決する等しました。(阪大ローの期末試験過去問は在学生には公開されていますので、10年分は検討しましょう。なお、修了生も最新の期末試験等を見られるようになれば、良いのですが、何故か実現していないのは、修了後に時間が経過するほど、司法試験合格率が大幅に低下することとの関係で、重大な課題です。)
 そうすることで、司法試験の過去問(必ず過去問は早くから印刷して本番形式で手書きで解きましょう)も、すらすら解けるようになりました。(新司法試験の過去問は全年度、瞬発力をもって、6枚以上、時間内にかけるようになるレベルになるまで、反復継続して、答練しました。)
 あとは、お金がなくて、食事等に困ったりすることも、司法試験受験生では、よくある悩みです。そんな時は、弁護士の先輩等に、おいしいご飯を奢ってもらったりしていました。

第3 個人の尊重
 私は、「困っている等している人を助け、日本国憲法の理念である個人を尊重し、個人の自己実現を実現できるように、知恵を貸せるような法曹」になりたいと考えています。

第4 先輩等と積極的にコミュニケーションを持ちましょう
 そこで、これを読んでいる阪大ロー関係者等で、困っている方がいれば、今までの膨大な経験(多くの先輩の体験談等を含む)を活かした助言等をしたいと思いますので、教務係に私の連絡先を聞くなりして、気軽にご相談下さい。私が、都合がつき大阪にいれば、おいしいご飯も、可能であれば提供したいと思います。
 (合格体験記を読むだけでは、個人の事情に応じた、具体的なアドバイスはできず、司法試験に全員合格はできないと考えています。各種コミュニケーションを通じて、法曹としての基礎力が、身に付くと考えます。阪大法科大学院に入学でき、修了できた人は、基礎学力等はあるため、継続して試行錯誤すれば、必ず司法試験に合格すると思います。)
 私は、阪大法科大学院での学恩を返すために、阪大法科大学院関係者の答案等を、多角的に自己分析するお手伝い等をして、阪大ロー生が最終的に全員司法試験に合格できるように、貢献したいと考えています。

第5 健康第一で、長生きしましょう
 自分自身のことを一番大事にし(人生の主人公はあくまでも自分自身です)、健康第一(睡眠時間の確保は、とても大事)で、たんたんと、頑張ってください。(日本最難関の国家試験である司法試験の受験生は、頑張りすぎて、心身が不調になる人が、とても多いので、睡眠時間は、必ず確保し、規則正しい生活が、コスパがいいです。そして、無理に頑張り、在学中受験をする等せず、自分の答案と合格水準との距離感を常に考え、先生や先輩の助言も真摯に受け、たんたん実力を向上させましょう。なお、健康維持のためには、毎日1時間歩くことが、医学的に良いことだと、阪大法科大学院の教授が仰っていたので、これもお勧めします。みんなちがって、みんないい。)
 そうすると、長生きでき、時間がかかったとしても、司法試験には必ず合格できます。
 日本で1番の司法試験受験指導者も、「人それぞれの、1番いい時期に司法試験に合格する。」と仰っています。科目数も多く、実力者しか受験できない現在の司法試験にまぐれ合格はありません。(試験は水物なので、実力者でも司法試験に不合格することはあります。)やればできる、かならずできる。応援しています。

第6 感謝及びまとめ
 最後に、私が司法試験に合格できたのは、大阪大学法科大学院の先生方、教務係の方等や友人、家族等及び、司法試験に直接は関係ないかもしれませんが、地元宮崎県宮崎市の幼稚園から宮崎県立宮崎西高校までの先生方等私と面識のあるすべての人のおかげです。なぜならば、司法試験は、国語力、判断力、瞬発力、メンタル維持・健康管理法等、人間としての総合力が試される、日本で最難関の国家試験だからです。本当に、ありがとうございました。
 後輩の皆様や、この文章を読んだ現在様々な問題で困っている人の、各種相談・うれしい報告を、お待ちしています。目指せS!

以上(司法試験の答案では、「時間配分に気を付けて全ての問いに答え」、必ず「以上」まで書きましょう)。

石井陽大「司法試験『不合格』体験記? 私なりの司法試験分析結果報告?」

既修未修の別:既修(他学部)
回数:「複数」回

突然ですが司法試験受験生は一様ではないと思います。

 容姿の整った方、話すのが得意な方、スポーツのできる方、音楽をやってきた方、暗記が苦手な方、数学がずば抜けてできる方、プロのテニスプレーヤーだった方、足の不自由な方、高齢な方、国語が苦手な方、生まれや育ち才能までもが皆んな、違っているのだと思います。

 百選を何回も読む。判例を第一審から読む。調査官解説を読む。自分で論証を作る。覚える。演習書を何度も解く。この中で私にとって最適解だったものがないわけではないですが皆さんにとって有効であるということは絶対に有り得ません。

 司法試験受験生はそれぞれが皆何が得意で何がそうでないのか能力が違っているからです。

 成功法則は成績が伸び悩んでいる人不合格が続いてしまっている人を助けてはくれません。
 しかし、一般化して言えることはあります。それは失敗談です。多くの人が陥りがちなミスはなぜか多くの人にとって有効で力となります。

 では、僕の場合の失敗とは何か。1回目で落ちた時からも法科大学院に在籍していたときも色んな方法を試し何十回百回とTrial and Errorを繰り返してきました。ですが何一つ上手くはいきませんでした。一つの観点が抜けていたのです。それは、敗因分析をすることでした。

 敗因分析が大事だと合格者は口々にいうでしょう。しかし、実際のところ敗因分析はどのようにすればいいのか語れる人は少ないと思います。

 敗因分析の内容をもう少し詰めると、論文で何が点に繋がったのか、何が点に繋がらなかったのかしっかりと理解することだといえます。
 しかし、採点者の講評や、出題趣旨、採点実感など採点側の講評を読んでも、何が点に繋がったのか理解することは難しいのではないでしょうか。私は難しかったです。採点側も何を点として認めまたは認めないかほとんど無意識であるからでしょう。

 そこで採点者の「無意識の部分」に目を向ける必要があります。材料は、採点がなされた「答案」以外にないでしょう。

 成績が伸び悩んでいる人、不合格からなかなか抜け出せない人は、是非、中位?下位の合格答案、または中低位のA答案と自分の答案を比べてみて下さい。

 何かあるはずです。何が評価され何が評価されないのか。それを自分なりに分析することができなければ、これからどんな勉強方法を試したって成績は伸び悩むどころか落ちることもあるでしょうし、同じことの繰り返しでしょう。

 司法試験の勉強とは量より質です。永遠と勉強しているのに受からない人もいれば、短期の合格者、それこそ高校生でも受かるのがその証拠でしょう。

 要はポイントを絞って勉強すること。これができれば働きながらでも少々遊んでいても真摯に試験対策に向き合えば受かります。司法試験とは、そこまで高度なことが求められているわけではありません。

 僕は合格した受験の年、試験の四ヶ月前という直前期に弁護士である父が倒れました。
 事務所に事務員さんはいましたが弁護士は父1人しかいなかったため、僕が矢面に立たざるを得ませんでした。

 父が抱えていた事件はざっと80-100件で裁判所に係属してしまっている事件もあり、父に縁があった弁護士さんに集まって助けて頂き、弁護士の先生方の主導のもと死に物狂いで事件の配転を行いました。依頼者と連絡を取り、弁護士の先生方と面談をし、事件の概要を把握し、裁判者に連絡をとり、弁護士の方々とも連絡を密に取り合う、そういう状況がずっと続きました。

 時間が本当になく極限状態でありながらも、本当に親身になって頂ける弁護士の方々もいらっしゃり、その方々が御経験されたお話からも上記方法論が生み出されました。
 その方々と家族、恋人の助けもあって、何とか司法試験に臨むことができました。
 自分を支えてくれた方々に感謝の意を示すと共に、これを読む受験生が負のスパイラルから、抜け出せることを祈ります。

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