令和5年司法試験の合格発表日は11月8日でした。今年から新たに在学中受験の制度が導入されたこともあって、全体の受験者数は千人近く増加しました。法務省の発表によると、全体の受験者数は3,928人(昨年3,082人)で、そのうち短答式試験の合格者数が3,149人(昨年2,494人)、最終合格者数が1,781人(昨年1,403人)でした。合格率は45.34%(昨年45.52%)です。最終合格者数は昨年よりも300人以上増えましたが、最終合格率はほぼ横ばいです。ただし、法科大学院修了・在学の合格者に限ると(つまり、予備試験合格者を除くと)、その数は1,454人(昨年1,008人)、合格率は40.67%(昨年37.65%)であって、昨年よりも3%ほど上昇しました。最終合格者数を押し上げた要因は、やはり在学中受験者の存在です。法科大学院在学中の受験者数は1,070人で、合格者数は637人、合格率は59.53%でした。この数字を見る限り、初回の在学中受験者の合格率は高かったといえそうです。
以上を踏まえて、高等司法研究科の結果を見てみましょう。本研究科の受験者数は182人(昨年111人)、そのうち短答式試験の合格者が149人(昨年95人)、短答式の合格率が81.86%(昨年85.58%)、最終合格者数は78人(昨年51人)、合格率は42.86%(昨年45.95%)という結果でした。昨年と合格率で比較すると、3%ほど下がってしまいましたが、一昨年は40.87%でしたので、そこと比較すれば2%ほど上がったといえます。在学中受験者の状況を見ると、受験者数は53人、そのうち短答式試験の合格者が47人、短答式試験の合格率が88.68%、最終合格者数は27人、合格率は50.94%でした。本研究科でも在学中受験者の合格率は比較的高かったといえます。
もっとも、修了1年目の修了生(今回は令和4年度)の合格率は、4年連続で50%を超えています。修了1年目の修了生のうちの何人が受験したのかは、正確には把握できていないのですが、仮に修了生全員が受験していたと仮定すると、その合格率は、令和元年度が51.11%、令和2年度が52.70%、令和3年度が58.73%、令和4年度(今回)が61.33%となり、ずっと上昇していることになります。実際には受験していない修了1年目の修了生がいることを思うと、修了年度の直近で受験した修了生の合格率は結構高いといってよいでしょう。そうすると、本研究科の課題の1つは修了2年目以降の修了生に対するケアのあり方ということになります。
また、未修者対策も課題のままです。今年の合格者のうち既修者の合格率は52.30%、未修者の合格率は19.23%で、相変わらず均衡を欠いています。ただ、未修合格者のほとんどは学内成績のよい人でしたので、学内成績の向上を目指す未修者教育の改善という方針は維持できると思っています。
今回、結果が思わしくなかった修了生の皆さんに対してはもちろん、不本意な結果に終わってしまった在学生の皆さんに対しても、研究科として対応したいと考えています。要望等があれば、お知らせ下さい。そしてもちろん、今回、希望を成就した合格者の皆さんには、心からお祝い申し上げます。同時に皆さんの合格が、皆さんの努力のみならず、多くの人の支えの上に実現したのだということを自覚し、社会のために献身していただきたいと願っています。これからはともに社会に貢献していきましょう。
受験者数 | 182人 |
短答合格者数 | 149人 |
最終合格者数 | 78人 |
試験年度 | 最終合格者数(人) | 受験者合格率(%) |
令和5年[2023] | 78 | 42.86 |
令和4年[2022] | 51 | 45.95 |
令和3年[2021] | 47 | 40.87 |
令和2年[2020] | 34 | 37.78 |
令和1年[2019] | 46 | 41.07 |
平成30年[2018] | 50 | 37.59 |
平成29年[2017] | 66 | 40.74 |
平成28年[2016] | 42 | 26.75 |
平成27年[2015] | 48 | 29.09 |
平成26年[2014] | 55 | 40.15 |
平成25年[2013] | 51 | 36.43 |
平成24年[2012] | 74 | 41.81 |
平成23年[2011] | 49 | 28.65 |
平成22年[2010] | 70 | 38.89 |
平成21年[2009] | 52 | 33.55 |
平成20年[2008] | 49 | 38.58 |
平成19年[2007] | 32 | 43.84 |
平成18年[2006] | 10 | 47.62 |