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研究科長室より

新入生へのメッセージ

2020/04/01

 41日は、新入生オリエンテーションの日です。例年、午前の部の冒頭には研究科長や来賓から入学を祝うメッセージを伝え、昼には歓迎会を行って教職員と交流する機会を設けるなど、実質的な研究科の入学式を行ってきました。しかし今、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多人数が、密閉空間で、長時間過ごすことがないようにすることが求められています。そのため、今年は午前の部と昼に行っていた歓迎会を中止しました。41日午後の新入生オリエンテーションも、在学中に必要となる事項をお伝えするものになります。授業も当面は、教室で教員と受講生が対面する形では実施しません。
 しかし、研究科として新入生に対する歓迎の言葉もない、というわけにはいきません。そこで、書面の形で研究科長としてのメッセージをお届けします。

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  高等司法研究科に入学された82人の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんはこれから2年ないし3年の間、法科大学院生として、法曹になるための勉強をすることになります。

 では、法科大学院における学びの中で心掛けるべきことは何でしょうか。一つのエピソードを紹介したいと思います。それは、高等司法研究科の初期の修了生で、すでに弁護士として10年以上の経験を積んでいる皆さんの先輩の言葉です。彼は久しぶりに会った私にこう言ったのです。「法科大学院の間にもっとじっくり本を読んでおけばよかった。」この述懐は、実務家として活躍している今は忙しくて本を読んでいる時間がない、ということを言っているだけではありません。じっくり本を読んで、そこからいろんな問題を考え抜いて得た法律家としてのベースがないと、実務ではやっていけない、というのです。法科大学院在学中は、当面の目標である司法試験合格のために、試験に役立つことだけを効率よく勉強しようと思うかもしれません。そのために試験用の教材に書いてあることを頭に入れることに意識が傾いてしまうかもしれません。それではもったいないし、将来を考えると十分ではない、ということです。

 今は、インターネットを通じて手軽に情報を得られる時代です。ただ知識を多く持っているだけでは、専門家の役割を果たすことはできません。物事を深く考え抜いたうえで、問題の本質を見極め、適切な解決を示すことができるからこそ、法曹は社会の役にたつのです。

 当面はネットワークを利用した授業になり、皆さんにも不便を強いることになります。授業の内容をしっかりと身に着けていくことはもちろん大事ですが、時間割に縛られる度合いが小さくなる分、時間的な余裕ができるはずです。その余裕を使って、「じっくり本を読む」習慣を身に着けてください。

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