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研究科長室より

新学期を迎えて

2022/04/01

 20224月から新たに研究科長を拝命した松本和彦です。これから2年間、研究科長職を務めることになります。どうぞよろしくお願い申し上げます。前任者に倣い、以後毎月、研究科長室からメッセージを発信したいと思っております。メッセージの名宛人として、主に高等司法研究科の在学生をイメージし、さらに研究科の修了生のことも念頭におくつもりです。研究科長としてのメッセージであることを自覚しつつ、それが幾分、個人的な見解の吐露になりそうだと思っていることも、あらかじめお伝えしておきます。

  4月は新学期が始まる月であると共に、新入生を迎え入れる月です。本研究科もたくさんの新入生をお迎えしました。研究科長は、新入生オリエンテーション時に挨拶をする習わしのところ、今回はその挨拶の言葉を流用し、第1回目のメッセージに代えたいと思います。

  まずは新入生の皆さん、法科大学院にご入学おめでとうございます。法科大学院は法曹養成に特化した専門職大学院ですので、本研究科に入学された皆さんは、法曹志望という同じ志を抱いて、ここにいらっしゃったはずです。法曹になるためには、司法試験という大きなハードルを越えなければなりませんが、司法試験合格という同じ目標を持っている点でも、皆さん方は同じものを共有しています。そこでこの共有性に鑑み、次の3つのメッセージを新入生の皆さんに送ります。

  1つめは、たかが2、3年、されど23年です。皆さんは入学後、2年ないし3年、本研究科で学ぶことになります。この間は、相当しっかりと勉強してもらわなければなりません。この期間は皆さんの人生の中でも、かなり集中的に勉強する期間になると思います。しかし、長い人生の中で23年というのは、あっという間です。修了生のほとんどの人が口にするように、皆さんも卒業時には、きっと短かったと思うだろうと推測します。されど2、3年です。2、3年を有効に使えば、十分な成果を上げることができます。皆さんには「たかが2、3年、されど23年」と思って、この長いようで短い期間、短いようで長い期間を有効に使っていただきたいと思います。

  2つめは、団体活動のススメです。これは勉強の仕方に関わる話です。勉強は一人で行うものですが、必ずしも一人ぼっちで行うものではありません。特に法科大学院にいらっしゃった人には、同じ教室・同じ自習室に志を同じくする仲間がいます。足を引っ張り合う競争相手だと思うのではなく、互いに切磋琢磨しあう仲間だと思うことが大事です。ライバルは本研究科の外にたくさんいます。せめて本研究科の中では、意見交換しながら、協力し合うことはもちろん、互いの答案を見せ合って、良し悪しを評価し合うようにすることが、結果的に、お互いの力量を高めることにつながると思ってください。

  最後の3つめは、司法試験至上主義の陥穽に落ちないようにして欲しいということです。ここで司法試験至上主義というのは、司法試験以外は二の次、三の次であって、司法試験に合格するためなら、他のことは犠牲にしても構わないと割り切る姿勢のことを指します。確かに、法曹になるためには司法試験に合格しなければなりません。司法試験の難しさを考えると、とりあえずこれに合格することを第一に考えるという態度にも一理あります。しかし、司法試験至上主義に陥ってしまうと、法曹に不可欠とされる公共心や社会性をないがしろにする癖がつくおそれがあります。そのような人が法曹になっても、社会に求められませんし、法曹の権威に傷をつけかねません。

  そういう次第で、皆さんには、司法試験至上主義に陥らないようにしながら、できるだけ団体活動を行って、この2、3年の期間を有意義に使って欲しいと願うわけです。大阪大学高等司法研究科は、教職員一丸となって、皆さんの学修を全力でサポートします。そして、卒業するときには、ここで勉強することができてよかったと思ってもらえるよう努めます。皆さんも、自分が社会に対してどのように貢献すべきか、自分の行いが次世代の人に対してどのように役立つのか、常に意識して振る舞って欲しいと思います。

  4月は多くの人にとって人生再スタートのときです。新入生の皆さんも、法曹人生の良き一歩を踏み出して下さい。そしてずんずん前進してくれることを期待しています。どうかご健闘ください。

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