2020/09/03
高等司法研究科では、9月の第4週から、秋~冬学期の授業が始まります。全面的にメディア授業だった春~夏学期と違い、感染対策(教室の換気、消毒、入室者数制限、マスク着用など)を講じたうえで、教室での授業(対面授業)ができることになりました。ただし、対面授業をする場合には、感染リスクのある(あるいはその不安がある)学生のために、授業の録音・録画を配信できるようにすることと、対面授業に参加できない学生が対面授業に参加した学生に比べて不利にならないような指導体制が求められています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって学生の登校が禁止され、対面授業が実施できなくなった場合には、メディア授業に移行することができるようにしておくことが求められているのです。
対面授業とメディア授業が混在することになると、もう一つ問題があります。対面での授業の前後にメディア授業が入っていると、空き教室や自習室をWIFIのアクセスポイントとして利用してメディア授業を受けざるを得ない、ということです。すると対面授業がある日は、学生が結局終日大学に留まることになり、「3蜜」の状態が生じ得るのです。すでに教室の収容人数を減らし、昼休みを30分延長して食堂の混雑を緩和するなどの対策は取られています。しかし学部生も含め、多数の学生が登校するのが10月以降であるため、これで十分なのかどうかは分からないのです。
学生たちが教室に集い、教員と学生、あるいは学生同士の対話によって学びを深めていくのが、大学教育の本来の姿です。ただ、今年の春~夏学期のメディア授業の経験は、それを犠牲にしてもできる教育がある、ということに気づかせてくれました。授業を繰り返し視聴することが可能である点で、メディア授業には、対面授業にはないメリットがあるかもしれません。
ワクチンや治療薬の開発によって新型コロナウイルスの問題が収束しても、メディア授業を活用する、という選択肢は残るでしょう。対面授業とメディア授業(同時双方向方式、またはオンデマンド方式)のハイブリッド(本研究科の教務委員長の命名です)は、今後の法科大学院の標準的な教育方法になっていく可能性があります。大阪大学全体においても、このような対面授業とメディア授業を組み合わせた教育方法を「ブレンデッド教育」と呼んで、次期の中期計画に盛り込んでいくのだそうです。専門職養成のための教育に特化した研究科として、この動きを先導するような存在でありたいと思っています。