2023/06/08
昨年から本研究科のウェブサイトにおいて「OULS修了生が語る ただいま法曹中!」というYouTube動画が配信されていることは、(おそらく)多くの皆さんにとってご承知のことでしょう。この企画は、本研究科の修了生(主として弁護士)と協働し、本研究科から内外に向けて有益な法情報を発信して、社会に貢献しようとするものです。毎回、1つのテーマを決め、それに係わりのある2人から4人の修了生弁護士に集まっていただき、30分から1時間程度、対談ないし座談会の形式で有益な法情報を出し合ってもらい、その議論風景を録画し、さらに編集して体裁を整え、完成させた動画を公開しています。
2004年4月の研究科創設以降20年近くが経過し、本研究科の修了生の数も1,200名を超え、社会で活躍する修了生の姿が目立つようになってきました。法曹養成に特化した専門職大学院として、本研究科が、法曹として活躍する修了生と連携し、彼らが体得した知恵と経験を、法情報という形で世の中に提供することは(少し大げさな感もありますが)研究科の使命といってもよいかもしれません。幸い、協力をお願いした修了生の面々は、こちらが期待した以上のパーフォーマンスを示してくれました。かつて学生として、ここで学んでいた人たちが、今では法曹として、しっかりと社会を支えているのだと思うと、本当に感慨深いものです。
ウェブサイトをご覧いただければ分かるように、現在、5本の動画が公開されています。記念すべき第1回動画のテーマは「法教育」でした。本研究科の修了生弁護士の中には、このテーマに関心のある人が結構いるという感触があったことから、アンテナを張っていたところ、思った以上に多様なバックグラウンドをもった修了生に関心をもってもらい、企画に協力していただくことができました。また、「グローバル法曹」をテーマにした第2回動画では、インターネットを介して、国際業務を手がける修了生と国際機関に勤務する修了生に、国境を越える対話をしていただきました。対話自体がグローバルだったわけですが、7時間の時差を感じさせないスムースな対論ができたことに感謝しています。
第3回動画「弁護士夫婦」はそれまでとは少し趣向の違うものになりました。どこが違うかというと、修了生同士で結婚して夫婦で弁護士をしている人が案外多いことに鑑み、主たる視聴者として、法曹志望者を念頭においてみたという点です。つまり、未来の法曹たちに対してライフプランのモデルを提供しようとしたということです。第4回動画「労働事件」では、数多くの労働事件に従事している2人の修了生弁護士を招き、1人には労働者側から、もう1人には使用者側から、労働問題に取り組む面白さと難しさを語っていただきました。労働者・使用者の両側から見ることで、労働法のリアリティが実感できると思います。
そして現時点での最新動画が「ローファームのお仕事」です。日本の弁護士事務所は1人から数人規模の小さいところが多く、それがゆえに、きめ細やかで親身なリーガルサービスを提供することに長けていました。しかし法律問題の専門化・複雑化に伴い、日本でも大規模な総合法律事務所が存在感を示すようになってきました。そこではどのような仕事が行われているのでしょう。ぜひ第5回動画をご覧いただきたいと思います。ちなみに、その次の第6回動画は「倒産処理」がテーマです。編集はほぼ終わったので、近い将来、公開の見込みです。倒産法制の今が分かります。
「ただいま法曹中」というタイトルは、元々、編集技術を伝授してくれた大学本部のクリエーターから「仮題」として提案されたものです。それがそのまま定着してしまいました。先方も驚いているかもしれません。これからも工夫を重ねて、本研究科からの発信力を高めていくつもりです。この企画は、本研究科から社会に向けての情報発信の試みですが、視聴者としては、本研究科の在学生も当然想定されています。さらにいうと、本研究科の修了生の皆さんにもアクセスしていただきたいと思っています。自分の同期や先輩・後輩がどのように頑張っているのか、動画を見て感じてもらえたら嬉しいです。そして自らも動画作成に関与していただけるとありがたい限りです。