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研究科長室より

「合格者と語る会」と合格者祝賀会

2023/12/11

 先月8日の司法試験合格者発表以降、発表に伴う様々な動きがありました。まず、合格者の喜びの声が研究科に寄せられました。私のところにも数人の合格者の方から報告がありました。本当に嬉しい知らせです。例年、多くの合格者からメール等で一報があるのですが、コロナ以降、合格してもなしのつぶての人が増えてきたようで、先生方からは寂しいなぁと嘆く、ため息のような声が漏れていました。恩師?と合格の喜びを共有するという発想は、古びた前時代的発想なのかと少し複雑な気持ちになりました。

 それから今月1日に、本研究科の2年生と1年生を中心に構成された学生委員会の主催による「合格者と語る会」が開かれました。この会は、来年以降に司法試験を受ける下級生たちが、先輩である修了生合格者や在学中受験での合格者を招き、その合格をお祝いするとともに、先輩たちから合格体験談を聞いて、来年以降の自分たちの糧にすべく企画されたものです。主催した学生委員会のメンバーに聞くと、当日は大変盛り上がったとのことでしたが、参加した合格者は全体の半分程度だったそうです。せっかく後輩たちが企画してくれたのだから、自分の経験を後輩たちに役立ててもらうために、もっと主体的に参加して欲しいところでした。

 今月7日には、例年と同様、大阪弁護士会館において阪大法曹会主催の合格者祝賀会が開かれました。こちらは既に法曹となった本学出身の先輩方が、合格者である後輩たちのために、合格のお祝いと今後に有益な情報の提供を意図して開いてくれた会でした。当日は主催者が想像した以上に多くの合格者が集まりました。先輩方には嬉しい誤算だったようです。昨年は主催者が期待したほどの集まりがなく、申し訳なく思うところもあったのですが、今年は大阪弁護士会館の広いホールが一杯になって、祝う側と祝われる側が交歓する盛大な祝賀会になりました。後輩たちのために尽力いただいた先輩方には感謝あるのみです。

 今年合格した皆さんは、これで司法試験の束縛からは解放されました。だから今後は少し広い視野で世の中を見て欲しいと思っています。もちろん、将来のことも含めて、自分自身のことをじっくりと考えてもらったらよいのですが、それだけで終わるのではなく、自分の後輩たちに何ができるのか、自分の先輩たちから何をしていただいたのか、自分は社会に対してどのような貢献ができるのか、といったことにも思考をめぐらせて欲しいのです。法曹になるということは、そのような思考ができる人になるということだと思います。

 残念ながら今年も、合格した人よりも合格できなかった人の方が数で上回りました。一生懸命やったけれども結果が出なかった人がいるということです。その中には期待に応えられなかったことを謝ってくる人もいます。申し訳なく思う必要など微塵もないことはいうまでもありませんが、周囲に気遣いを示す態度は立派ですし、辛い結果なのにあえて報告してくれようとした勇気は尊いとすら思います。そういう姿勢は周りにも伝わるので、何とか支えてあげたいという気持ちを呼び起こします。実際、先輩方の中に支える側に回ってくれる人も出てきています。

 合格した人も合格できなかった人も、次に何をやるべきかについては熟慮しているはずです。できればその際、心の片隅にでも、自分のことを盛り立てるため、尽力してくれる人がいるのだということを留めておいて欲しいと思います。法科大学院というところは、そういう人と人のつながりを育むところでもあって、そこにまた重要な価値があるといえるでしょう。最後に、「合格者と語る会」を企画運営してくれた学生委員会の皆さんと、合格者祝賀会を開催していただいた阪大法曹会の関係者の皆さまに対し、研究科を代表して、心からお礼申し上げます。

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