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研究科長室より

新学期開始に際してのご挨拶

2024/04/08

 4月になり、新学期の初日が来て、同時に新入生を迎え入れる日もやってきました。今年は桜の開花こそ昨年と比較すれば随分と遅かったものの、まるで入学式を待っていたかのように、一斉に開花して、一気に春を感じさせてくれました。豊中キャンパス内の桜の花の見頃は、入学式よりも少し先になりそうですが、授業開始時には満開を迎える見込みです。満開の桜に彩られたキャンパスの中で新学期を迎える喜びを噛みしめながら、新年度の挨拶を意識しつつ、以下では特に新入生に向けたメッセージを送ります。

 新入生の皆さんにお伝えしたいのは、まず、本研究科の年間スケジュールを眺めて、一年の経過をイメージし、計画的な学修に努めて欲しいということです。法科大学院というところは、かつては勉強漬けの場であるという認識を誰もが持っていた(のではないか)と思うのですが、昨今は少しのんびりした雰囲気になっているように感じます。にもかかわらず、司法試験に向けた意識は強くなってきているようです。受験の時は確かにあっという間にやってくるので、それに備えることは不可欠ですが、だからといって司法試験といえば何でも許されるというわけではありません。そのあたりのバランス感覚が必要です。

  それから、法科大学院では対面の人間関係を大切にして欲しいと思っています。もちろん、今後もオンラインでのコミュニケーションが益々拡充していくであろうと推測される以上、その可能性を様々な形で追求していくことが必要であるのは言うまでもありません。しかし、オンライン・ツールが人間同士の直接の会話や交流がもたらすすべてを運んできてくれるわけでないのも事実です。人間関係は確かにストレスの種ですが、逆に安らぎを与えてくれるのも、最後に頼りになるのも、結局のところは人間同士の絆ですし、その絆で結び付いた人間関係しかないと思うのです。

  だからこそ本研究科で学ぶにあたっても、人間同士の絆、とりわけ友人関係を大切にして欲しいと思います。友人同士で議論をし、意見交換・情報交換をして、互いに助け合うことができれば、自分の力を倍増させることすらできるかもしれません。学校という場は人間関係を通じて知識と活力を生産する場になり得ます。ここをネットワークの単なる結節点としか考えないとすれば、これほどもったいないことはありません。本研究科で出会った友人たちのヨコのつながりを大切にし、一人だけではできないことを友人の手も借りて成し遂げて欲しいと願っています。

 人間同士の絆という意味においては、ヨコの絆だけでなく、タテの絆のことも忘れてはなりません。皆さんよりも先に本研究科に入学し、ここで学んだ人たちがいるということに留意して欲しいということです。本研究科を修了し、大阪を中心に全国で活躍している修了生たちがたくさんいる、ということに気づいて欲しいのです。修了生の多くは法曹として活躍していることから、彼らは皆さんのロールモデルになるというだけでなく、今後の皆さんの人生にとっても得がたい人間関係の宝庫なのです。

  今年、本研究科は創立20周年を迎えます。本研究科には20年の人間の歴史が蓄積しています。たかが20年ですが、されど20年です。そこには20年に渡って紡がれてきた人と人の絆があります。私はときどき、この20年間に本研究科を修了して社会に巣立っていった修了生の顔を思い浮かべます。なかなか面白い顔ぶれです。こうした人たちが一堂に会する機会があれば、きっと皆さんにとっても、そしておそらくはお互いにとって、有益な時間が持てるのではないかと想像しています。そういう次第なので、今年は創立20周年記念集会を開催するつもりでいます。

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