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研究科長室より

同窓会再始動に向けて

2025/10/31

 高等司法研究科同窓会は研究科創立10周年を迎えた2014年に立ち上げられました。本研究科が最初の修了生を輩出したのが2006年3月末だったので、同窓会が立ち上がった時点では、修了生の数も千人に満たなかったものの、10周年という節目の年を記念する意味も込めて、本研究科修了生の独自の組織である同窓会が創設されたのでした。当時の記録によると、設立総会が開催され、修了生各期の未修・既修から1名ずつ幹事が選ばれ、その幹事からなる執行機関として幹事会が組織されています。そして幹事の中から会長が選任されていました。 

 阪大法学部卒業生の同窓会である「青雲会」のような名前がないので、以下においても単に同窓会と呼びますが、その後、同窓会は、4度の総会を開催し、5度の幹事会を開催するなど、修了生の親睦体として、また修了生と研究科を結ぶ連携体として、活動してきました。しかし実働期間は創立後数年だったようです。その一番の要因はおそらく2020年から深刻化したコロナ禍であったと思われます。コロナ禍は数多くの組織活動を停止に追い込みましたが、事務局もなければ、連絡体制も未整備だった同窓会にも打撃を与え、事実上の活動停止状態をもたらしました。

 昨年11月に開催した研究科創立20周年の記念パーティー時に同窓会の再始動が話題になりました。同窓会会則によれば、役員任期は2年とされているのに、2019年2月の総会開催を最後に役員の更新が行われておらず、形式的には、会長も幹事も地位を失っているように感じられたからです。このままだと永遠に停止状態に陥りかねないことから、何とかして再始動させられないかという意見が関係者間で沸き起こりました。しかし、どのような手続を経て同窓会を再始動させればよいのか、会員の顔ぶれが曖昧になってしまった状況下で総会による意思決定が可能なのか、役員が任期切れで地位喪失状態にある中でどのようにして幹事会を再構成すればよいのか等、難問山積であることが分かりました。

 こうした状況下で、本研究科が上記問題に無関心であってよいとは思われませんでした。同窓会は修了生の自治組織であり、本研究科の一部ではないため、主導するのは修了生であることが望ましいのは言うまでもありません。しかし、同窓会は修了生と研究科(さらには在校生)を結ぶ連携体として、研究科にとっても極めて重要な組織であるというだけでなく、研究科の触媒作用なくして、同窓会再始動のスイッチを入れることは現実的ではないと思われました。そこで研究科創立20周年をきっかけに集まってくれた比較的若い修了生(修了後10年未満)を中心に、在校生(学生委員会の委員)も含めて、何度か会合を持ち、同窓会のあり方について、意見交換を重ねることになりました。

 その結果、10月末に高司科長室に10人ほどの関係者(修了生・在校生・教員)が集まり(対面参加できない人はオンラインで参加)、同窓会再編の大枠について具体的な検討が行われました。おそらくこれが同窓会再始動の本格的な第一歩になるものと思われます。基本方針として、2014年に立ち上がった同窓会をそのまま引き継ぐのは手続的に不可能であるし、現実的でもないことから、実質的には新しい組織として立ち上げるものの、完全な新組織とするのは、先人の過去の尽力を蔑ろにし、歴史的連続性を喪失することに繋がりかねないため、引き継ぐことのできるものはできるだけ引継ぎ、過去との連続性をできるだけ保つということが確認されました。おそらくそれが最も穏当な方針でしょう。

 過去の承継と断絶という、相矛盾しかねない2つの方向を見据え、難しい調整を模索しながら、同窓会の再始動を図ろうとする関係者たちの試みに、私も大変感銘を受けました。願わくば、先の具体的検討の延長線上に、再組織化された同窓会が立ち現れることを祈らずにはいられません。

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