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研究科長室より

ロースクールとSDGs

2020/11/09

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 Sustainable Development Goalsは、20159月に国連サミットで採択された国際目標です。SDGsでは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標が掲げられ、その下にさらに169のターゲットが設定されています。大阪大学でもSDGsを意識した教育研究活動を推進する大学全体の方針が定められ、現在、各部局に各目標を意識した活動の報告が求められています。そこで、「持続可能な開発目標」について考えてみました。

 ロースクール全体に関係しそうなのが、ロゴを示した目標16です。この目標は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。」と説明されています。ロゴは、公正な司法を象徴する槌(gavel)と平和を象徴するオリーブの枝をくわえた鳩が組み合わされたもので、この目標の下にさらに12のターゲットが定められています。そのうち、16.3は、「国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する」です。このターゲットに最も寄与し得るのは、言うまでもなく法律家でしょう。権利を侵害され、傷ついた人に寄り添い、その権利の実現と回復を手助けする法律家がいなければ、社会は強者の力によって支配されるものとなってしまうからです。法の支配の貫徹のために、法律家の役割は極めて重要なのです。そのことを大学全体で認識してもらうために、高等司法研究科のカリキュラム自体がSDGsの目標16と「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを掲げる目標4に適うものである、と報告することにしました。

 法律家は、貧困や飢餓、環境破壊などの問題を直接解決することはできないかもしれません。しかし、弁護士法11項が規定するように、法律家は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」ために働くのです。その仕事によって、すべての人が安心して暮らせる社会を実現することが可能になるとすれば、法律家はSDGsがめざす将来の社会のために求められている存在だと言えます。ロースクールで学ぶことには、そんな意味もあるのです。


豊中キャンパスの銀杏も黄色く色づきはじめました。

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