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研究科長室より

歴代研究科長

2004年(平成16年)4月 ~ 2006年3月 吉本 健一
2006年(平成18年)4月 ~ 2010年3月 松川 正毅
2010年(平成22年)4月 ~ 2014年3月 谷口 勢津夫
2014年(平成26年)4月 ~ 2016年3月 三阪 佳弘
2016年(平成28年)4月 ~ 2019年3月 下村 眞美
2019年(平成31年)4月 ~ 現在 水谷 規男

記事一覧

2019/10/08
韓国訪問記

この欄で6月に韓国のロースクールからの訪問団を受け入れたことを報告しましたが、その際にお願いしていた韓国調査が実現し、9月2日から6日までの5日間、韓国の大邱を訪れ、犯罪被害者保護制度についての調査をすることができました(科研費による調査出張です)。先月分と報告時期が前後してしまいますが、この場を借りて報告します。  調査としては、裁判所、検察庁、日本の法テラスにあたる法律扶助協会のスタッフ弁護士、嶺南大学のスタッフなどから有益な話を聞くことができました。日本では、被疑者・被告人の弁護活動と被害者援助の対立が指摘されることがあります。これに対して、今回の調査も含め、韓国での聞き取りで印象に残ったのは、刑事弁護と被害者援助のいずれの立場でも、法曹としての客観性が強く意識されていることでした。被害者援助に取り組む弁護士でも、例えば、「無罪推定」について依頼者に説明し、当該事件で無罪判決が出される可能性についても伝える、というのです。  調査には、嶺南大学の法科大学院長李東炯先生(写真左端)、6月の模擬講義でもお世話になった徐輔健先生(写真右端)に終始同行していただきました。あまりの厚遇に恐縮していたところ、お二人が言われたのは、10年以上も韓国の学生を受け入れてもらっているお礼として当然だ、ということでした。かつて私が模擬講義を担当した、すでに実務家として活躍している嶺南大学の修了生にも声をかけていただき、食事を共にすることもできました。何年も模擬講義を担当しながら、一向に言葉を覚えることができない自分を恥じながら、たった1コマの模擬講義の縁を再びつないでくれた彼らにも感激しました。  せっかくの縁ですから、韓国の学生と交流の機会があった本研究科の学生や修了生が再度交流を深める機会を持ってくれたらいいなあ、と思っています。 嶺南大学の学長先生を表敬訪問したら、入口には「歓迎」の文字が…

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2019/09/11
司法試験合格発表と教員の処分について

今月は、報告を2件。  まず、9月10日に司法試験の合格発表がありました。高等司法研究科の修了生は、46人が合格しました。合格率(対受験者)も41.07%で、昨年実績を上回りました。合格した皆さんには、心からお祝い申し上げます。残念ながら今年は結果を出せなかった修了生の皆さんも、捲土重来、来年に向けてリ・スタートを切ってください。相談、修了生勉強会など、私たち教員も協力を惜しみません。  もう1件は、お詫びを兼ねた報告です。本年3月末に高等司法研究科教員による住居手当・通勤手当の不正受給と研究費等の不正使用の事案が公表されました。その後、懲戒処分の手続が進められてきたため、その結論が決まるまで研究科長としての所感等を公表することを差し控えてきましたが、8月中に結論が出ましたので、この機会にこの件について報告します。大学としての懲戒処分は、懲戒解雇という最も重い処分です。高等司法研究科は、公正な社会を実現する役割を担う法曹を養成するための教育機関です。その教員による不正行為(処分理由には上記の不正受給・不正使用のほかに、ハラスメントの事実が含まれています)ですから、研究科としても厳しい姿勢で臨まざるを得ず、泣いて馬謖を斬る、の心境で懲戒解雇の判断をしました。15年間ともに仕事をしてきた同僚をこのような形で失ったことは、残念でなりません。在学生、修了生をはじめ、関係する皆さんにご心配とご迷惑をおかけしましたこと、お詫びします。  しかし、過ぎたことを悔やんでばかりはいられません。この機会に研究科としてのスローガンである「新時代を担う真のLegal Professionals の育成」を再確認し、研究科一体となって取り組んでいきたいと思います。

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2019/08/08
期末試験を終えて

春~夏学期の期末試験が終わりました。在学生の皆さん、とりわけ今年度入学の皆さん、手ごたえはどうだったでしょうか。勉強した成果を答案に書ききることができたという人は、達成感を感じていることでしょう。他方、「時間が足りなかった。」、後から「こう書けばよかった」等々、反省しきりの人もあるでしょう。期末試験によって今学期の成績が決まることは、言うまでもありません。しかし、試験は受けたら終わり、点数がついたら終わり、ではありません。期末試験は皆さんの学びのプロセスの一里塚に過ぎないのです。  皆さんは、受講した科目について、予習・授業・復習のサイクルに加え、期末試験の前には、授業全体の復習、その科目の過去の期末試験問題や講評書の検討などの準備をしたはずです。期末試験に向けた準備が十分だったかどうか、今一度振り返ってみてください。8月末の成績発表では、答案に対する教員からの評価が示されます。それは決して単なる点数ではありません。平常点の評価も含め、皆さんの学びのプロセス全体が評価されるのです。答案のコピーは自分の手元に返ってきます。講評書や参考答案なども示されます。これらは、皆さんが自分の足らざるところを見つけるための学習素材です。たとえ今学期の点数が低くても、次学期以降に足らざるところを補う意識をもって努力を重ねてほしいのです。  ロースクール制度のスローガンとして、「プロセスとしての法曹養成」という言葉があります。期末試験もまた、そのプロセスの一つのステップです。それぞれの科目での経験を次のステップにつなげていくこと、そして阪大で学ぶ皆さん全体の実力が底上げされていくことを期待します。授業のない夏休みが自分のペースで勉強することができる貴重な時間だということも忘れずに。猛暑が続いていますが、頑張ってください。 韓国の霊巌女子高等学校の生徒さんの訪問がありました

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2019/07/03
韓国ロースクール訪問団

6月27日(木)に韓国のロースクールからの訪問団を受け入れました。毎年この時期に行われる恒例行事になっており、今年で11年目になります。今年は忠南大学から11人、嶺南大学から13人のロースクール生を迎えました。日本より少し遅れてロースクール制度ができた韓国では、学生の国際交流が認証評価基準の中で求められている由。そこで、阪大での授業だけでなく、裁判所、検察庁、弁護士事務所などを訪問しての研修が約1週間にわたり実施されました。27日は、G20サミットの前日で、大幅な交通規制も始まっていましたから、スケジュール通りに実施できるかが危ぶまれたのですが、無事に予定していた行事を行うことができました。今年の模擬授業は、憲法の松本先生と嶺南大学の徐輔健先生に担当してもらいました。テーマは、「DNA型データベースの合憲性」でした。この模擬授業には日本側から法学研究科の院生を含む17人の院生が参加し、活発な議論が行われたと聞いています。  実はこの日韓交流の取組において、授業や模擬授業を担当しなかったのは、今年が初めてでした。年によってテーマは変えてきましたが、ここ数年は韓国の学生たちに日本と韓国に共通する刑事司法上のテーマについてプレゼンをしてもらい、これにボランティアで参加してくれた阪大のロースクールの学生や修了生にコメントしてもらうという形で模擬授業を担当してきました。そのため、韓国側の教員との交流の機会は、さほどなかったのです。  今年は、研究科長として韓国側の教員との意見交換に参加しました。韓国側からは、韓国訪問の打診もありましたので、それに乗る形で、私個人の科研費による調査を夏休み中に韓国で行うことも約束することができました。これは思わぬ収穫といったところです。  最後に学生諸君に向けて一言。もうすぐ春~夏学期の期末試験があります。普段の勉強の成果が問われる機会です。また新入生の人には、初めてのロースクールの期末試験になります。試験に向けての準備を怠りなく進めてください。 模擬講義の質疑風景

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2019/06/06
コンティー面談

6月になり、春~夏学期のコンティー面談が行われています。学生の皆さんには担当の先生から面談予約の連絡が届いているはずです。中には、もうすでに面談を終えた人もあるでしょう。すでに面談を終えた人も、これからの人も、とりわけ新入生の皆さんの中にはこの面談の趣旨がよく分からない人があるかもしれません。あらためてこの場を借りて説明しておきます。  2007年度から開始し、2011年度からはWEB上で情報共有ができるシステムにバージョンアップしたコンタクト・チャート(Contact Chart、略してCC)システムは、コンタクト・ティーチャー(Contact Teacher 、略してCT)と学生が面談を通じてコミュニケーションを密にし、その面談の結果を教員全体で共有するものです。CC制度の目的は、以下の3つです(加算プログラム申請時の説明による)。 学生が、CTとの対話を介して、自己の学習状況を自己点検・評価・改善し、学習の目的としてのキャリアデザインを描ける自律した学習主体として成長することをサポートする。 CTが、学生たちの自己点検・評価を通じて自己実現しようとする営為をサポートする。 研究科は、学生と教員との間の対話を記録し、適切に共有し、学生支援の基盤とする  つまり、CTとの定期面談は、単に学生が入試成績や前学期の成績を教えてもらったり、教員が法科大学院入学前の学習歴について聞いたりして情報収集をするだけの場ではないのです。4月のこの欄の記事で、高等司法研究科の課題が「成績中位者以下の学生のレベルアップ」であることを示しました。面談を通じて集約した皆さんの声は、学習支援について、より効果の高い方法を考えていくための貴重な情報です。面倒がらずに面談に行って、皆さんの声を教員に伝えてください。そして秋の定期面談では、「これだけ頑張りました」とCTの先生に報告できるようにしましょう。 2018年度の成績優秀者表彰式を行いました

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2019/05/07
法律問題と料理

法律家に求められるのは、与えられた問題に対して適切な法的解決方法を示し、それを実践することです。 (私の趣味でもあるので)料理をたとえにして示してみます。料理は、食材を調理することで出来あがります。法律問題を含む事実が「食材」です。法律家に求められるのは、その食材を調理して食べられる状態の料理にすること、すなわち事実に対する適切な解決方法を示すことです。食材はほとんどの場合、そのままでは食べられません。道具を用いて調理し、そして味を調えて料理にするのです。道具と調味料に当たるのが法的知識とバランス感覚です。  まず下ごしらえとしては、食材を包丁で切るなどして調理できるようにします。包丁は、ただ持っているだけでは使えません。包丁がよく切れる状態に研がれていることが必要です。また、食材の状態をわかったうえで、その食材に対して包丁をどう入れるのか、つまりその使い方を知っていなければなりません。この段階を法律問題に当てはめれば、与えられた事実に適用すべき条文やその解釈としての法理をまず身につけなければならないということです。未修の諸君にとっては、これが最初のステップ(基礎科目)になります。  次は調理です。食材に応じて、どのような調理をするかを決めて、それを実際に行わなければなりません。これが事実を法理に当てはめることに当たります。この段階で失敗すると生煮えになったり、焦げ付いたりするわけですから、経験と身につけた技術を適切に用いることが必要です。法科大学院の2年次以降ではここを磨くわけです。  最後は仕上げです。料理では調味や盛り付けです。ここではバランス感覚が重要です。料理なら、美味しく、きれいに、がポイントです。見た目がきれいでも、味が不味いとか、味はいいが盛り付けが整っていないというのでは、いい料理とはいえません。法律問題でも、説明の論理自体には問題がなくても結論がおかしい、というのでは台無しです。たとえば答案を書くときには、答案構成の段階で事実の適示からそれに適用すべき法理の提示、事実への当てはめという流れを意識し、そのうえで結論が妥当なものか、をあらかじめ考えておいてほしいと思います。  法科大学院の2年、あるいは3年間は(あるいはその後も)一流のシェフ(法律家)になるための修業時代と心得てください。皆さんの成長を楽しみにしています。

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2019/04/01
新学期を迎えて

2019年4月から研究科長を務めることになりました。2004年に高等司法研究科が開設されて以来、私が6代目の研究科長になります。初代は吉本健一先生(商法)、第2代は松川正毅先生(民法)、第3代は谷口勢津夫先生(税法)、第4代は三阪佳弘先生(日本法制史)、第5代は下村眞美先生(民事訴訟法)です。 私が大阪大学に赴任したのは、2004年4月、法科大学院の発足時です。もう忘れられたことかもしれませんが、阪大の法科大学院は、2003年秋の時点では設置認可が保留となり、急遽補充人事を行って、他校より少し遅れて設置が認可された経緯があります。その補充人事で阪大に移ったのが私だったのです。私自身、前任校の法科大学院設置に関わり、前任校の方は設置が認められなかったため、窮地に陥っていたところでした。その進退窮まる状況を救ってくれたのが阪大だったのです。そんな事情があるので、阪大の法科大学院を盛り立てなければならないという思いは、今でも強く持っています。 研究科が一体となって取り組むべき目下の課題は、成績中位者以下の学生のレベルアップです。成績上位者がほぼ確実に司法試験に合格しているのに対して、中位以下の人たちの合格実績があまり芳しくはないからです。そのための様々な学習支援の取り組みを行ってきたところですが、指導を必要とする学生が我々の提供するサービスを利用していない現状があります。 そこで、学生のみなさんへのお願いです。予備校情報などに惑わされないで、自分の学習上の課題と正面から向き合ってください。コンティー面談などが自らの問題を発見するために役立つはずです。また、私たち教員やサポートしてくれるOB弁護士の人たちを、もっと活用してください。それが司法試験合格への最も合理的な方法です。

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2018/07/26
メールチェックしていますか?

入学時に学生のみなさんには連絡先としてメールアドレスを登録してもらっています。最近、そのメールアドレスに送信しても、返信がないことが増えています。学生同士では、LINEなどのSNSで手軽に連絡を取ることができるからでしょうか、メールをみない、また、メールでの連絡をしないことが多いようです。授業後に質疑応答の時間をとることができないときには、メールで質問をするよう促します。しかし、ほとんどメールは送られてきません。文章をつくる練習になるのに、残念です。  学外では、もちろん実務界も含めて、LINEだけで済ますことはできません。メールを使っての意見交換や文書・資料のやりとりは当然のように行われています。メールには手紙ほどではなくても、それなりの形式もあります。今からメールでの連絡になれておけば、社会に出てからも困りません。せめて、欠席連絡くらいは、LINE形式ではなく、メールとして恥ずかしくないものを送ってほしいと思います。  地震や大雨などの災害の際に、安否確認もメールでされますので、覚えていてほしいものです。

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2018/04/03
新学期を迎えて

今年の桜は思いのほか早く咲きそろいましたが、4月も楽しませてくれました。桜は、新しい年度が始まることを強く実感させてくれますね。  みなさんも準備万端で新学期の学修に取り組んでいることと思います。ところで、その前提として、学生ハンドブックを読んでいるでしょうか。履修登録の方法、修了要件に必要な単位等など大学院生活を送るうえで欠かせないことが記載されています。アンケートを採ると、時々「みていません」などと平気で書いてくる学生がいます。本研究科で真面目に学修しようという意欲があるのかどうかを疑いたくなります。後で後悔しないためにも、確認しておきましょう。  みなさんの多くは、幼少の頃から携帯電話やスマートフォンを手にしていたことでしょうから、「みる」ことには馴れていても、「読む」ことは苦手かもしれません。体系書と呼ばれる分厚い本を「読み込む」時間は今しかありません。焦らず、諦めず、分厚い本や長い文献と仲良くする方法を身につけていってください。基礎のないところに応用・発展はありません。地道な努力を惜しまないで、一歩一歩頑張りましょう。

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2017/07/23
研究科長室と研究室

最近、研究科長室が研究科長の研究室とは別にあることを知らない学生が少なくないことがわかって、驚いています。もともとローライブラリ4の場所にあった研究科長室が本館に移って3年以上たつので、研究科長室がどこにあるか知らないことも仕方ないとは思います。学生のみなさんからみれば、研究科長として仕事をしているのをみるのは、入学式や修了式で挨拶をする場面くらいでしょうし、私がどこにいようと、あるいは、何をしていようと関係ないということかもしれません。  それでも少しは、想像力を働かせてほしいなと思うのです。本研究科は、他の研究科からみれば決して大きくはないけれど、大学の一つの組織です。研究とは別に組織としてしなければならないことがたくさんあり、同じ部屋では処理できないことの方が多いのです。  試験問題を解く場合でも、また、実務においても「思い込み」はとても危険です。自分では気づくことが難しいだけに、いろいろな角度から検討してみるということを心がけてほしいと思います。試験問題を一読して、「この論点だ!」と思ったときこそ要注意です。一応、それと前提しつつ、他の可能性がないかどうかも慎重に検討してみましょう。  酷暑が続きます。体調を整え、期末試験を乗り切りましょう。

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2017/04/03
新学期によせて

3月22日には74名の修了生を見送り、4月3日には52名の入学者を迎えました。 毎年繰り返される風景ではありますが、新学期は、気分も新たになります。桜もようやく目覚めたようで、美しい花を咲かせ始めました。うきうきした気分になることも確かですが、みなさんには大きな目標があり、そこに向かって駆け出さなくてはならない時期です。3年生は、あと13か月後、2年生も25か月後には司法試験の受験が待っています。この期間をどうやって過ごすかが、その結果を左右するわけですから、計画を立て、規則正しい生活を心がけて過ごしてほしいと思います。  芸術やスポーツに限らず、法律の勉強においても「基礎・基本」が重要です。体系書の表現をまねして書いてみる、英単語と同じように単語帳を作るなども有効です。正確な基礎知識なくして、期末試験や司法試験に合格することはできません。テニスの選手や野球の選手がラケットやバットの素振りを何度でもするように、体系書を何度も読み込み、基本知識を何度も確認して、正確に身につけてください。  縁あってこの高等司法研究科でともに学修することになったみなさんですから、切磋琢磨して、数々の関門を一緒に通過してゆくことを願っています。

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2017/01/05
新しい年のはじめに

新年おめでとうございます。2017年が始まりました。  受験生である皆さんにとっては、盆も正月もないと思います。でも新しい年の初めに、少し時間をとって、今年の目標とそれにいたる道筋を考えてみてはいかがでしょうか。 「司法試験合格」という大きな目標を達成するためには、まず、何時までにどれだけのことができるようにしなければならないかを考え、計画を立てることが必要です。その上で、毎日の努力を数字に表すとか、カレンダーに「〇」「■」などの印をいれるなどして、目に見えるようにして「継続」を図りましょう。継続の結果は、期末試験や模擬試験で確認できるでしょう。  最近は、模擬試験を避ける学生が多くなりました。無料ではないので、「必ず受験しましょう」とはいえませんが、自分の立ち位置を確認し、合格するために何が足りないのかを確認できるよい機会です。また、「試験の雰囲気」に慣れることもできます。模擬試験も上手に利用してみましょう。  皆さんにとってよい年となることを願っています。

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2016/12/08
一般入試合格者のみなさんへ

大阪大学大学院高等司法研究科に合格されましたこと、誠におめでとうございます。本研究科を代表して、心から御祝を申し上げますとともに、みなさまを歓迎いたします。  本研究科では,自習室やパソコン室を24時間利用することができますし、一人一台ずつキャレルとキャビネットが使えます。もちろん固定式です。ネット環境も充実していますし、コピーは一定枚数まで無料です。図書室でも、学生のリクエストにできるだけ応えて図書を充実させています。このように、学生の学修環境を整えて待っております。  本研究科は,司法試験合格の最初の一歩です。将来、法曹になって活躍しているご自分を想像していただき、司法試験合格のその先を目指してください。そうはいっても、まずは司法試験という高い壁を乗り越えなければなりませんので,4月に本研究科に入学するまでに、みなさまには是非、法務省のホームページを開いて、司法試験の問題をご覧いただきたいと思います。これからの2年または3年でその問題の解答がすらすら書けるようになれるよう、今から準備していきましょう。  私たち教職員は、みなさまの伴走者であり、みなさまが司法試験に合格できるだけの力を養えるよう全力で応援いたします。  4月にお目にかかれることを楽しみにしています。

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2016/09/12
司法試験の結果を受けて

今年の司法試験合格者は、全体で1583名(昨年1850名)、本学修了生は42名(昨年48名)でした。既に報道もありましたとおり、今年の対受験者合格率は、26.75%でした。  このような結果を受けて、在学中の皆さんは浮き足立っているかもしれません。しかし、今すべきことは、予備校に駆け込むことではなく、足元から学修を見直すことです。基本事項が十分に身についていなければ、応用などできません。基本書や判例の読み込みが不十分であれば、事例問題に対応することはできません。判例の結論だけを覚えても、司法試験には対応できません。一度読めば、何でも見通せる天才でもない限り、基本書と条文の往復を繰り返すことを避けて通ることはできないのです。   在学生のみなさんは、第1学期の期末試験の答案返却を受けて、書き直したでしょうか。自分の答案を見直すのはおっくうです。しかし、特に成績が悪かった科目ほど、講評を読み、基本書や条文を読み直して、これで完璧という答案を作成することが肝要です。何が足りなかったのかを自覚し、課題を克服していってください。   法律の勉強は一朝一夕に進むものではありません。一歩一歩険しい山を登るのにも似て苦しいことも多いですが、その途中で足許にある動植物に感動することもあるように、「なぜここにこの条文が置かれているのだろうか」とか、「なぜこの用語が使われているのか」などに注意を払うと面白さがわかることもあるでしょう。みなさんが、待兼山から四方(司法)を眺め下ろす日が来ることを祈っています。

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2016/08/17
夏休みの過ごし方

期末試験も終わり、一息ついていることと思います。しかし、夏休みをどのように過ごすかによって、勉強が深まることもあれば、1学期の学修が無駄になることもあります。  1年生であれば、第1学期の復習、短答式過去問を解いてみる、第2学期に備えての予習などは最低限必要でしょう。2年生では、上記に加えて、論述式過去問に挑戦する、3年生では、これまでの総復習に加えて、短答式・論述式過去問を繰り返し、模擬試験を受験する、演習問題を解いてみるなどが考えられます。  皆さんの先輩方が、学習方法等について書き残してくれたものがCLEに掲載されています。CLEの「学生向け教育情報」→「新司法試験合格者体験記」などを参考にして、夏休みの有効利用を考えてください。  また、夏休みこそ、よりいっそう規則正しい生活を心がけてもらいたいと思います。司法試験本番の時間帯に合わせた生活スタイルを確立するよい機会でもあります。  有意義な夏休みとなるよう祈っています。

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2016/07/28
期末試験を乗り切る

いよいよ今週から期末試験が始まります。期末試験は、1学期間の総仕上げであり、次の段階に進めるかどうかが試されます。先生方は、受験者を落とす目的で試験をしているのではなく、全員が合格できるはずと思って問題を作成しています。ですから、肩に力を入れすぎることなく、「基本から考える」ことをすればよいのです。  では、「基本から考える」ために必要なことは何でしょうか。それは、基本概念を「正確に」身につけていることです。それぞれの科目で先生方から何度も聞かされていると思いますが、制度の趣旨や意義(定義)、要件、効果がすぐに思い浮かべることができるようになっていることが重要です。  法律の勉強が難しいと思われているのは、「暗記」と「趣旨の理解」とのバランスが取りにくいことにあるのかもしれません。基本的な概念を正確に覚えなければ、趣旨の理解につながりませんが、趣旨の理解をしないと暗記が不正確になります。このようなことから、法律の勉強には繰り返しが必要となるのです。  暑さも今からピークとなり、体力的にも厳しい時期となります。それぞれの生活パターンがあるでしょうから無理にとはいいませんが、「早寝・早起き・朝ご飯」など規則正しい生活を送って、期末試験を乗り切りましょう(明るく笑って2学期に再会できるよう頑張ってください!)。 

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2015/04/13
学生委員会との意見交換

昨年度来、豊中総合学館の自習室周りの環境をめぐって、みなさんからいろいろに要望を聞いています。それも含めて、5月7日(木)の17時から学生委員会のみなさんと研究科の運営委員会とで意見交換の場を持つこととしました。  3年くらい前までは、みなさんのいろいろな要望を学生委員会が集約し、それをもとに定期的に運営委員会が意見交換する機会を持っていました。しかし、いつの間にか途絶えてしまったようです。私が本学の法学研究科で学んでいた頃は、院生協議会というものがあり、自分たちの自習室環境を自主管理するとともに、必要な設備・備品、教育研究環境の改善について、定期的に研究科長に伝え、交渉していました(要望を出しても、ほとんど認められないことが多かったのですが・・・。もっとも、当時は野球好きが多かったので、「法学部長杯(カップもあった)」をめぐる対抗ソフトボール大会、懇親会が年に1回ありました)。  せっかくですので、交渉に向かう学生委員会の方々に、いろいろな意見や要望(建設的なものをよろしく!)を託してはいかがでしょうか。

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2015/04/09
新たな年度のスタートです

4月9日、本年度第1回目の研究科運営委員会を開催しました。今年度から、新たに国際交流室担当(2学期は教務委員長担当予定)として松井和彦教授、アドミッション委員長として水島郁子教授が加わり、研究科の運営を行っていただくことになりました。  全国の法科大学院は、昨年に引き続き、法科大学院教育の教育面の先進性、優位性を社会に示すために、様々な改革の取組み社会に示すことが求められています(いわゆる公的支援の加算プログラム)。本研究科は昨年度の申請の結果、一定の評価を得ることができました。本年度においても、水島・松井両先生が加わって、引き続き下記の柱で改革の取組みを考えています。 具体化でき次第、みなさんに新しい取組みをお知らせいたしますので、是非積極的に参加を考え下さい。 パブリック法曹養成の取組み 中央省庁、地方自治体との連携を強化して、インターンシッププログラムの展開を検討しています。 学生支援関係の取組み:名津井学習サポート担当会議委員長 Web媒体を用いたOULS’SAを通じて、本研究科を修了した弁護士アドバイザーと連携した学習サポートを強化します。 グローバル法曹養成の取組み 海外のLSや法的専門機関と連携して、法律事務所等におけるインターンシップ、それに向けた海外法実務準備教育プログラムを検討しています。 学部LS一貫教育の充実 法曹養成の短期化のための法学部教育との連携、飛び級制度の利用を活性化させるための施策を検討しています。 法曹の継続教育 本学知的財産センターと連携して行っている智適塾プロジェクトでの、修了=司法研修後のインターンとしての継続教育の充実を検討しています。 大阪地域のLS連携 昨年度関西大学との教育連携のさらなる展開、大阪地区の3つの他大学院と連携したキャリアデザイン教育の展開などを検討しています。

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2015/04/01
高等司法研究科新入生オリエンテーションにおける研究科長挨拶

本日みなさんを高等司法研究科に迎えることができたことを大変うれしく思います。そして、こころよりみなさんを歓迎いたします。 本研究科の大きな特長は、教員と学生との距離が大変近いことです。私たちは、みなさん一人一人を一丸となって手厚くサポートする環境を用意しています。この点は、他の法科大学院に負けるものではないと自負しています。みなさんが、法科大学院修了にふさわしい目標に向かって努力しようとするかぎり、本研究科の教職員は、最大限サポートすることを惜しみません。皆さんは安心して、自らの目標の実現に邁進してください。 法科大学院制度は、みなさんも御承知のように、現在さまざまに議論の対象となっています。 この間の議論のなかには、法曹養成をめぐる戦前以来の典型的な議論の一つが見られます。それは、旧司法試験制度の源流となった戦前の高等試験司法科試験が導入されるときの議論です。そのときの帝国議会で、ある議員は次のように主張しています。 高等教育機関における専門的な法学教育課程を経るという要件は「抑々愚か」であり「出来るか出来ぬかが勝負でその為めの試験だから、中学校であらうとも何処であらうとも一向差支ない、詰り学校と云フのは要するに入れ物だからどんな入れ物から出て来なければならぬと云フ道理はない、其者がしっかりして居れば宜いのである」 こうした教育課程の意義を無視した「乱暴」とも思われる議論を経て、大学の法学専門教育課程から切り離された司法試験制度が導入され、戦後長く続いてきたわけです。 2004年に導入された法科大学院制度は、これを改めたわけですが、いま再び当時と同じような議論によって、「異議申し立て」を受けています。 法曹を養成する最良の方法は、試験さえあればよいのか?法科大学院は、社会にとって、あるいは法曹を目指すものにとって、単なるコストを強いるものにしか過ぎないのだろうか?この問いに直面しています。私の答えは、もちろんNOです。しかし、この問いに対する答えは、研究科として追求していかなければなりません。そして、いくつかの教育の高度化に向けての施策を研究科をあげて準備しています。皆さんにこれから徐々に示していきたいと考えています。 最後に、これから紹介する言葉は、昨年も皆さんの先輩たちに伝えた言葉です。19世紀イギリスの思想家、ジョンスチュアート・ミルの言葉です。かれによれば、弁護士や医師など「専門職に就こうとする人びとが、大学から学び取るべきものは専門的知識そのものではなく」、「その正しい利用法を指示し、専門分野の技術的知識に光を当てて正しい方向に導く」ものであるとしています。そして弁護士を例に引いて、大学で学ぶことを通じて「単に詳細な知識を頭に詰め込んで暗記するのではなく、物事の原理を追求し把握しようとする弁護士となる」と強調しています(J.S.ミル著、 竹内一誠訳『大学教育について』岩波文庫による) 試験で測られるものには、限界があります。「物事の原理を追求し把握しようとする」体系的な思考に基づく「法学識」、これを身につけることこそ大学に設けられた法科大学院の使命であると考えています。その意味で、法科大学院は他に互換可能な単なる「入れ物」ではないのです。 本日皆さんを迎え入れることができて、このことを社会に対して示していくという決意を新たにしました。みなさん自身がより高い地平に到達できるようにこれから精進されることを期待して、私の挨拶とさせていただきます。

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2014/04/02
研究科長挨拶

本日みなさんを高等司法研究科に迎えることができたことを大変うれしく思います。そして、こころよりみなさんを歓迎いたします。 本研究科は、この4月に創設10周年を迎えます。すでに750名近くの修了生を送り出し、司法試験に合格した者は400名に及ぼうとしています。創設初期の修了生たちは、法曹界はいうまでもなく、企業、公的機関の第一線で活躍しています。こうした実績は、修了した学生諸君のたゆまぬ努力によるものであることはもちろんです。そして、わたしたちもまた、みなさん一人一人を手厚くサポートする教育研究環境を構築してきました。この点は、他の法科大学院に負けるものではないと自負しています。こうした姿勢は、この間2回にわたる法科大学院認証評価によって、高く評価されているところです。みなさんが、法科大学院修了にふさわしい目標に向かって努力しようとするかぎり、わたしたち本研究科の教職員は、最大限サポートすることを惜しみません。それがこれまで本研究科が掲げてきた「学生第一主義」であり、この点は今後も変わることはありません。 さて、法科大学院制度は、みなさんも御承知のように、現在さまざまに議論の対象となっています。とりわけ、どのような質の修了生を社会におくりだしているのか?という点が厳しく問われています。この問いは、2年後または3年後に、みなさんにも向けられることになります。法科大学院で何を学んだのか、あなたたちは、質においてどのような優位性を示すことができるか?と。 この問いに対する、研究科としての答えは、これからの教育の実践のなかで出していかなければなりません。そして、入学したみなさんには、この問いに対する答えを常に考えておいてほしいと強く希望するところです。そのための一つの出発点として、ここでは、大阪大学の精神的源流である適塾をとりあげ、その建学の「精神」を伝えておきたいと思います。 適塾は、緒方洪庵によって1838年に開かれました。昨年で開塾175年を迎えました。当時の適塾に、なぜ全国から塾生が集まり、栄えたのでしょうか。近年の研究では、その背景として、人類を苦しめてきた天然痘に対する治療技術(すなわち種痘です)が、18世紀末から19世紀にかけて、ヨーロッパから極東へ伝播したことが注目されています。日本には治療技術がもっとも遅く到達したにもかかわらず、国内での技術の伝播は、他国に比してきわめて急速に拡大したことが明らかにされています。それを可能にしたのは、適塾を初めとした全国レベルで発達した医家(医学者のことですが)のネットワークであったことが指摘されています。と同時に、ヨーロッパから発して、極東へ到達した種痘技術自体が、グローバルな「知」の展開を体現するものでした。つまり、適塾で学ぶことは、国内およびグローバルに展開する「知」の世界に参加することを意味し、そのことが当時の青年たちを強力に惹きつけたのです。 しかし、適塾で学ぶことは、単に新しい知識を獲得することのみを意味したわけではありません。というのも、当時翻訳を通じて得られる知識の量という点では、たかだか知れていたでしょう。むしろ、適塾生達が、どのような「学び」をしたのか、ということが重要だと思われます。 当時の医学を学ぶことは、実は、種痘事業、あるいはコレラ対策の実践を通じて、新しい「医療」を成り立たせる新しい社会の仕組み、さらにそれをはばむ国家社会の現状に対する深い洞察力を培うことにつながったと考えられます。だからこそ適塾で学んだ塾生たちは、狭い知識の修得にとどまることなく、社会の仕組みを根底から組み替え、新しい社会を構想・設計する能力を身につけていったのです。ここに適塾の「学び」の優位性があったのだと思われます。 と同時に、洪庵はこうした塾生を温かく見守るとともに、なぜ学ぶのか、という点で重要な戒めを与えています。「人の為に生活して、己のために生活せざるを医業の本体とす。安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれをすてて人を救はんことを希ふべし」にはじまる、いわば医の倫理を塾生に与え、社会公共への貢献を軸にした厳しい戒めとしたのです。 法もまた社会や国家の動きと無関係ではありません。社会の最先端で継起する諸問題は、法律の知識の単なる集積で解決できるものはむしろ少ないでしょう。そもそも、洪庵が戒めとした、人びとに寄り添う気持ちがなければ、問題の発見すらできない場合もあります。深い洞察力と幅広い知見をもって、複雑に交錯する要因を解きほぐして問題解決していくことが求められます。ここには、先に紹介した適塾の「学び」に通じるものを見出すことができます。 ところで、洪庵とほぼ同時代に生きたジョンスチュアート・ミルは、「大学教育について」と題されたセントアンドルーズ大学の名誉学長就任演説のなかで、次のように言っています。弁護士や医師など「専門職に就こうとする人びとが、大学から学び取るべきものは専門的知識そのものではな」く、「その正しい利用法を指示し、専門分野の技術的知識に光を当てて正しい方向に導く」類のものであるとしています。そして弁護士を例に引いて、大学で学ぶことを通じて「単に詳細な知識を頭に詰め込んで暗記するのではなく、物事の原理を追求し把握しようとする弁護士となる」と強調しています。ミルの発言の歴史的文脈を無視した牽強付会といえばそれまでなのですが、ここには、狭い知識の修得にとどまることなく、社会の仕組みを根底から組み替え、新しい社会を構想・設計する能力を身につけていった適塾の塾生たちの学びと相通じるものを感じます。 先にも述べましたように、みなさんには、これから2年ないし3年後に、本研究科で何を学び、その質においてどのような優位性を示すことができるのかについての答えが求められます。175年を経て大阪大学に受け継がれている、適塾建学の「精神」、塾生たちの「学び」のあり方を常に想起しながら、みなさん自身がより高い地平に到達できるようにこれから精進されることを期待して、私の挨拶とさせていただきます。

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