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研究科長室より

歴代研究科長

水谷 規男 2019年4月 ~ 現在
下村 眞美 2016年4月 ~ 2019年3月
三阪 佳弘 2014年4月 ~ 2016年3月
谷口 勢津夫 2010年4月 ~ 2014年3月
松川 正毅 2006年4月 ~ 2010年3月
吉本 健一 2004年4月 ~ 2006年3月

記事一覧

2021/10/05
2021年の秋

2021年度の秋~冬学期の授業が9月22日から始まっています。8月の中旬まで期末試験の採点や模擬裁判があり、個人的な事情ですが、持病の胆石の手術のための入院というハプニングがあったために、今年は休みらしい休みがない夏休みでした。いつの間にか季節は秋、という感じです。  秋は、いろいろな行事が目白押しです。9月11日には、2022年度入試の特別選抜試験(他学部・社会人、グローバル、法曹コース5年一貫型)がありました。法曹コース5年一貫型では、阪大法学部の法曹コースで学んでいる優秀な受験者が本研究科を受験してくれました。志願者数は想定を下回りましたが、来年春には、新しい制度を経た入学者を迎えることになります。  9月24日には、秋季卒業式が吹田キャンパスのコンベンションホールで行われました。高等司法研究科の修了生は4人で、そのうち3人が大学全体の式典にも参加してくれました。午前中の吹田での式典のあと、午後には豊中キャンパスに戻り、研究科長室で研究科としての修了式を行いました。学位記を渡したあとで、大学の式典にも参加してくれた修了生3人と少し話をしました(写真左下)。打ち合わせなどを別にすれば、研究科長室で人と会うのも久しぶりでした。    9月30日には、今年の司法試験合格者による在学生向けの報告会が開かれました。今年は合格者の話を出席者全員が聞く、という方式でなく、3つの少人数のグループに分かれて、合格者が各グループを回って話す方式でした。同じ話を3度してもらうことになった合格者3人には、この場を借りて感謝の意を表します。    10月3日には、青雲会(法学部同窓会)の総会がありました(写真右下)。新型コロナの影響で、昨年にひき続いて7月の予定が延期され、総会と講演会のみの実施となりました。講演会の講師は公益財団法人日本生命済生会の三木章平氏と日本生命病院の笠山宗生氏(いずれも阪大OB)。演題は「ウィズコロナの時代をどう生きるか」というものでした。三木氏からは、少子高齢化が急激に進行する中での「健康寿命」の重要性を、笠山氏からはコロナ対応に追われた病院の実状などを伺うことができました。病後の私には、生活習慣を見直さなければいけないことを再確認する機会にもなりました。   左:9月修了の修了生と/右:青雲会総会

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2021/09/08
司法試験の結果について

9月7日に司法試験の合格発表がありました。今年の受験者は、3,424人で、そのうち短答式試験の合格者が2,672人、最終合格者が1,421人という結果でした。阪大の修了生は、115人が受験、短答式試験の合格者94人(短答式の合格率81.74%)、最終合格者47人(合格率40.87%)という結果でした。この結果は、合格者数(昨年34人)、合格率(昨年37.78%)ともに昨年を上回るものでした。また、特筆するべきは、直近修了年度(令和2年度)の修了生の合格率が2年続けて50%を超えたことです。ただ、逆に4年目、5年目の受験者に合格者がなかったことは残念でした。この結果を分析し、今後の修了生に対する支援に繋げていきたいと考えています。  さて、合格した修了生の皆さんには、お祝いを申し上げます。今年は、昨年のような試験日程の変更はありませんでしたが、コロナ禍の中での受験という点では、昨年同様、様々な困難があったことと思います。私たち教員にとってこの1年は、対面授業を維持したおかげで、在学生には今まで通りに接することができたものの、修了生の顔を見る機会は少なくなり、結果を心配しながら待っていたところでした。ともに祝杯を挙げることは、時節柄できませんが、祝意は変わりません。  司法試験について、研究科としての当面の目標は、短答式の合格率80%、最終合格率50%に置いていましたので、今年は短答式で目標を上回りました(それだけに、最終合格者がもう少し伸びることを期待していましたが、それは叶いませんでした。)。来年は、今年不合格だった人の頑張りを期待し、この目標に近づき、上回ることを目指したいと思います。

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2021/08/05
採点

2021年度の春夏学期の期末試験が終わりに近づいています。今学期は、大阪府に「緊急事態宣言」が発せられる中でも、感染拡大を招かないよう注意を払いつつ、何とか対面授業を維持することができました。しかし、昨年の春夏学期と違って、期末試験は対面で実施せず、オンラインで監督をしながら、学生には手書きで答案を作成してもらい、それをPDF化して提出してもらうという方式でした。  先日、私が担当する2年次の刑事訴訟法の授業でも期末試験を実施し、オンラインでの監督をしました。普段の授業では、私も学生たちもマスクを着けていましたので、試験監督のときにはじめて素顔を見た学生が多くいました。受講生の方もそう感じたのかもしれません。教室では、私も一度もマスクを取ることはなかったからです。今学期は、感染に不安を感じる「要配慮」学生はオンデマンドでの受講でした。1度も授業に出席しない学生もいましたので、15回の授業すべてをオンライン受講した学生は、マスク顔どころか、本当に顔を見たこと自体が、試験のときが初めて、ということになりました。  試験は無事に終わったのですが、採点がなかなか大変です。まず、答案をPDF化するときの「技術」にばらつきがあり、ピンボケ、答案用紙が波打ったまま写っていて、激しく文字がゆがんでいるもの、背景が写りこんでいて、ページがかなり縮小されてしまうもの、天地が逆だったり、ページの順番がおかしいものなど、プリントアウトして採点準備をするだけでも一苦労、おまけに文字自体の判読が難しい答案などが続出しているのです。  それに加えて、今年特に目立つのが、大幅な抹消や順序の入れ替え指示などで、答案自体が汚くなったものが多かったことです。試験の直前に配布したプリントには、「何をどのような順序で書いて、結論をどうするのかをあらかじめ決めておく」のが答案構成で、「答案構成は答案の出来を左右する。」、という注意喚起を書いておいたのに、それができていないから「汚い」答案になるのだろうと思います。採点をしながら、授業やプリントなどで注意したことが伝わっていなかったのだなあ、と嘆息している次第です。期末試験は、受講生の学習到達度を評価するためのものですが、同時に教員の側の教え方、伝え方の適否を測る機会でもあります。来年度以降、さらに学生への伝え方を工夫したいと思っています。 オンライン試験監督実施中  

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2021/07/05
自分の言葉で

6月19日に日弁連と法科大学院協会の共催で「法学未修者教育に関するシンポジウム」がオンラインで開かれました。このシンポジウムでは、法科大学院の教員から授業の実践例等について報告がありました。 報告者は、東北大学の成瀬幸典教授(刑法)、北海道大学の池田清治教授(民法)、神戸大学の田中洋教授(民法、法文書作成)、一橋大学の只野雅人教授(憲法)の4人でした。 各登壇者が共通して語っていたのは、未修1年次の授業を通して、予習や授業によって基礎知識をしっかりとインプットすることに加え、学んだ知識を自分の言葉で説明する(書く)力をしっかりと身につけてもらう必要がある、ということでした。基礎知識のインプットに関しては、身につけさせるべき「幹」を重視し、1年次では「枝葉」にはあえて触れず、それは「2年次以降に学べばよい」というメッセージを学生に伝えることの重要性も指摘されていました。自分の言葉で説明する、書く、ということに関しては、修了生(補助教員)による指導に期待する発言が多かったことが印象に残っています。 未修者の中でも、とくに初めて法律を学ぶ人にとっては、「基本書を読め」とか、「この事項を予習せよ」とか言われても、そのやり方が分からない、という戸惑いがあるでしょう。そこで、中教審の法科大学院特別委員会が取りまとめた「法学未修者教育の充実について」においても、学修者本位の教育の実現が謳われています。未修者が何に躓いているのかを的確に把握し、学び方も含めて丁寧に指導することが必要だ、ということです。  高等司法研究科においては、他学部出身者や社会人経験者を含む少人数のグループを弁護士アドバイザーが指導する再チャレンジ支援プログラムを行ってきました。また、個々の学生の学習状況を確認する場として、コンタクトティーチャーによる定期面談もあります。これらによって、個々の学生のニーズに応える学習指導の体制は整っています。このことが比較的高い未修者の司法試験合格率にも現れていると思っています。しかし、それでも直近修了生の合格率や累積合格率で見ると、既修者と未修者では大きな開きがあります。この差を埋める努力が我々教員に求められていることになります。 課題は、学んだ知識を自分の言葉にして文章に書き、他人に説明できるようにすることです。この力を鍛えるには、まず双方向授業で学生に答えてもらう際に、単に資料や教材を読みあげるのではなく、端的に質問に答えるように促すことが必要です。自分の言葉で書く力を身につけてもらうには、答案の形で文章を書かせ、添削指導をする、あるいは学生同士で他の答案と自分の答案を比較検討させるという方法が有効です。これらは、私自身が自分の授業で実践していることですが、「自分の言葉で説明する」力が十分ではないのは、未修者だけではありません。入試の法律科目試験をパスして入学した既修の学生でも、丸暗記した論述パターンをそのまま書くことしかできない人が少なくないのです。 自分が考えたことを的確に文章にする力は、法曹だけでなく、すべての社会人に求められます。その力を法科大学院在学中に身につけてほしい。そんな思いで毎年続けている添削指導ですが、これを受けた学生に赤を入れた修正点やコメントの意味がしっかり伝わっているだろうか。春~夏学期の期末試験も近づいてきたので、そんなことが気にかかっています。 今年の梅酒はブランデーベース  

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2021/06/03
学生の声を聴く

昨年経験したオンライン授業は、学生同士、あるいは学生と教員との交流が少なくなったことが大きな課題でした。授業の前後に教員を捕まえて質問するという、それまで当たり前だった機会もなくなってしまったのです。そこで私もオンラインのオフィスアワーを定期的に設けてはいました。それでも、参加者は少数の同じメンバーに限られていて、学生との接点が極端に少なくなっていたと思います。  これに対して、今年は対面授業を維持しています。5月に入って、学生も授業に慣れてきたのか、質問に来る人も増えてきました。5月の後半からは、コンタクトティーチャーの定期面談も始まっています。昨年はリモートでの面談が多かったので、どうしてもじっくりと話を聞くことができなかったように思います。そこで、面談をした2年生、3年生には、「去年と比べてどうですか?」と尋ねています。ほとんどの学生が「去年は友達ができなかった。」、「自分が授業についていけているのかが分からず、不安だった。」などと答えているのが印象的です。オンライン授業中心の去年の状況が、いかに学生を孤立させていたのかを、改めて知りました。  また、5月の第2週に実施された授業改善アンケートが返ってきたので、自由記載欄に書かれた意見や感想を読んでいます。これも文字に書かれたものではありますが、学生の率直な声を聴く機会です。昨年は、録音状態が悪いなどの技術的な問題への指摘がほとんどでした。今年も感染への不安から登校できない学生や体調不良の学生は授業の録画をオンデマンドで視聴しているので、質問に答えている受講生の声が聞こえない、といった指摘はあります。それよりも特徴的なのは、授業に出席しているからこその意見や注文が多いことです。昨年は受け身で授業を視聴することが多かったのに対して、今年は教室で時間と空間を共有しているので、より積極的な意見が出されているということでしょう。  6月3日には、昨年度の成績優秀者の表彰式を行いました。そこでも受賞者と懇談の機会を設けました。困難な状況の中で学習成果をあげた受賞者の話は、私たち教員にとっても参考になるものでした。 受賞者との懇談の様子  

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2021/05/06
教室での授業を維持するために

大阪に3度目の緊急事態宣言が発令される中で、ゴールデンウィークに入りました。昨年の今頃は、学生はキャンパスに立ち入ることができず、私たち教員も初めて経験するオンライン授業への対応に大わらわで、とても連休で一息つく、という感じではありませんでした。それに比べると今年は(新型コロナウイルスの感染状況は昨年の同じころよりも深刻ではあるのですが)、少し余裕があるように思います。とりあえず新学期が対面授業を中心に始まって、学生との直接的なやりとりに充実感を感じられていることが心の余裕につながっているのかもしれません。また、感染を防ぐためにどのような方策が有効なのかが、ある程度分かってきたことも大きいと思います。   しかし、安心してはいられません。今のような対面授業を維持していくためには、教室内での集団感染の発生など、大学を封鎖せざるを得ない事態を何としても防がなければならないからです。そのためには、教職員も、学生も、あるいはその周囲の人達も、自分が万一感染していたことを想定して、「感染させない」対策を取ること、そして自分が「感染しない」行動様式をとり続けることが必要です。    前者としては、他人と会話する場合や室内で複数人が一定時間以上過ごす場合には、常時マスクを(鼻と口を覆う正しい方法で)着用すること、体調が悪いときは他人との接触を回避すること(この場合、授業は休んでくださいとお願いしています)が必要です。後者としては、マスクを着用するだけでなく、感染リスクの高い場所に行かないことが最も意味がある行動です。大阪大学の関係者で、感染が確認された例のほとんどが学外の飲み会が感染機会だったと報告されています。今のところ、感染対策を取ったうえで使っている教室や自習室は感染の場にはなっていません。いわゆる「3密」回避は、昨年から言われている対策ですが、最近になって強調されるようになってきたこととして、3つの「密」が重なるときだけに感染リスクが高まるのではない、ということがあります。教室や自習室でも、換気、人との距離の確保、大声での議論を控えることなどを常に意識してほしいと思います。   本研究科に関係するすべての人に「感染させない」、「感染しない」対策をし続けることで、法科大学院教育の質を維持できるよう、協力をあらためてお願いしたいと思います。 

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2021/04/07
入学式

4月6日に大阪城ホールで大学の入学式がありました。高等司法研究科の実質的な入学式は、4月1日の新入生オリエンテーションで行いましたので、高等司法研究科の入学生にとっては、大学全体の入学式は任意参加という感じだったでしょうか。あるいは、すでに5日から授業が始まっていますから、新入生もそれどころではない、ということだったでしょうか。実際、大阪城ホールの高等司法研究科の新入生席には、あまり学生が座っていませんでした。高等司法研究科の入学式は、研究科長挨拶と来賓挨拶のみの極めて簡素なものでしたので、大阪大学の入学式の雰囲気をお伝えしておきます。  今年は、令和2年度の入学式が中止になったため、2年分の入学式を1日で挙行するという形になりました。午前中が2021年度の新入生のための入学式、午後は入学式が中止になった2020年度の入学者のための式典でした。ただし、保護者の出席はなし、席も間を空け、出席者は新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)のインストールを求められるなど、新型コロナウイルスの感染防止対策はかなり徹底していました。それでも、午前の出席予定者が4,400人、午後が3,100人強とかなりの人数で、壇上からみていると壮観でした。  式の内容は、ウェルカム・ムービーの上映に始まり、大阪大学交響楽団の演奏、総長、理事、部局長が壇上にアカデミック・ドレスを着用して着席、入学生宣誓(学部、大学院)、総長告辞、その後学生団体による演奏(交響楽団、混声合唱団、男声合唱団)と演舞といった流れでした。式の雰囲気を盛り上げるために音楽の演奏があるのは珍しくありませんが、応援団による演舞があったのが目新しいところでした(3月の卒業式でも応援団の演舞があり、これは今年から取り入れられたもののようです)。壇上に巨大な団旗が立つ演舞は、バンカラの名残があって楽しめました(2度あったのは食傷気味でしたが)。  午前の部と午後の部の間に2時間ほど時間があったので、大阪城公園の中を少し散策しました。桜(染井吉野)の花はすでに散ってしまい、代わりに新緑がまぶしい陽気でした。  時間的に天守閣に登楼するのは無理でしたが、巨大な破風が目立つ天守閣を間近にみたのは、小学生のとき以来。大阪という都市の大きさを象徴する建物だなあ、と改めて思いました。  以上、入学式の報告です。 2年分の入学式の看板と青屋門から覗く天守閣

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2021/03/08
半歩前へ

2020年度秋~冬学期の授業や試験が終了し、年度末を迎えようとしています。先日の今年度最後の教授会(1年ぶりの対面での会議でした)では、修了判定、進級判定が行われ、在学生の皆さんにとっては、次のステップに進む人、もう一年足踏みをせざるを得ない人が分かれました。例年と比べると、修了不可、進級不可となった人が少し多くなっているように思いました。今学期は、春~夏学期に比べれば、対面授業で学生の皆さんと顔を合わせる機会が増えましたが、まだまだ学生同士、あるいは学生と教員の間のコミュニケーションが不足しているように感じています。それがこのような結果に結びついたのではないかと危惧しています。  今学期は、各学年の必修科目の一つと録画可能な教室等の手配ができた科目だけが対面授業で、あとは引き続きオンライン授業となりました。学生たちが最低でも週一回は大学に集い、交流ができるようにしたいと考えて対面授業を再開したのですが、11月からの感染の急拡大と、大阪府に2度目の緊急事態宣言が発出されたことも重なって、対面授業の出席者が学期の後半になるにつれて減っていく現象がみられたことは、やや残念でした。  4月からの新学期の授業は、対面授業を基本としつつ、2020年度において実践し、工夫を重ねてきたオンライン授業の強みを生かす動画等の配信や学習指導(オンラインでのオフィスアワー)などを組み合わせていきたいと思っています。  新型コロナウイルスの感染は、いまだ終息したとは言えませんから、また緊急事態宣言発出、という事態に至る可能性はあります。そのときには、再度オンライン授業を多く用いることになるかもしれませんが、私たちには今年度の経験があります。これを活かして、半歩ずつでも前に進んでいきたいと思っています。 我が家の庭の白梅が咲きました  

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2021/02/02
司法試験の結果について

2021年1月20日に司法試験の合格発表がありました。今年度の司法試験は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で試験の実施が5月から8月に延期されるなど、受験者には例年にない困難な状況がありました。この困難な状況の中で合格された方々には、法科大学院教育に携わる者として、心からお祝いします。 全体について結果を見ると、受験者3,703人に対して合格者1,450人、合格率は39.16%(法科大学院修了者の合格率は、32.68%)でした。高等司法研究科の修了生については、受験者90人に対して最終合格者が34人、合格率では37.78%という結果で、昨年の実績と比較すると、合格者数、合格率ともに低下しました(昨年は合格者46人、合格率41.07%でした)。昨年の結果を受けて、上位校に伍するための目標として、短答式試験の合格率で80%以上、最終合格率で50%を超えることを目指していたので、いずれも目標に達しなかったこの結果を重く受け止めています。  今年の結果について少し分析的に見てみると、昨年と比較した今年の特徴としては、次のようなことが言えると考えています。まず、阪大の修了者の受験者数は、昨年の112人から90人に減少しました。これは、直近年度(2019年度)の修了生が45人と少なかったことが原因と考えられます。ただ、2018年度の修了者も40人で、直近年度の修了生の減少ということ自体は、昨年度と同じです。それでも昨年の合格者数が46人であったのは、過年度の修了生の合格者が28人あったことによる押上げ効果があったからでした。今年は、過年度の修了生の合格者は11人に留まっており、これが合格者数の減少の主な要因と考えられるのです。直近修了年度の受験者は、昨年が39人、今年が44人で、そのうち合格者は昨年が18人(合格率46.15%)、今年は23人(合格率52.27%)ですから、直近年度の修了者に関しては、合格者数、合格率ともに昨年より良かったといえるのです。  以上のことから、2つのことを在学生や修了生の皆さんにお伝えしておきます。 まず在学生の皆さんへ。授業で学んだことをしっかり身につけることが合格への近道です。直近の修了生のうち、修了時の成績が上位20位までの人は、16人が合格しています。在学中に頑張った人が合格の栄冠をつかんでいるのです。また、短答式試験の合格率がなかなか80%を超えることができない原因としては、基礎を固める学習が十分でないことを示しています。授業への取組と並行して、短答式試験を意識して、条文、判例を満遍なく頭に入れる反復学習を続けてください。 修了生で、来年度の司法試験を受験する予定の人には、もう一度、仲間と一緒に学ぶ体制を築き直してください、とお願いしておきます。高等司法研究科では、修了生向けに、弁護士アドバイザーによる「修了生勉強会」という取組をしています。これは数人のグループにOB弁護士が指導するもので、このグループが「みんなが合格するまで一緒に頑張ろう。」という雰囲気を作ってくれるからです。

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2021/01/05
書初め

2021年が始まりました。2020年の一年は、コロナ禍のうちに過ぎ去ってしまいましたが、今年はそれを乗り越え、未来を展望できる年になることを願っています。  さて、年の初めの楽しみの一つに年賀状があります。普段会わない人からの便りは心温まるものです。これを印刷したものだけで済ませたのではつまらないので、例年、年賀状の表書きだけは毛筆で書いています。葉書を書くために年末から筆と硯を出してあるので、ときどき、年始に書初めもしています。  今年、書初めとして書いた文字は、「灋」。法律の「法」の旧字です。学部生のころに、ある先生が授業の最初の頃にこの字を板書され、字の由来を説明しておられたのを聞いた記憶があります。この字のことは長い間忘れていたのですが、2年ほど前に、中国人民大学でのシンポジウムに参加した際、校舎のロビーに掲げられたレリーフの中にこの字が書かれているのをみて、学部生の時の記憶が急に蘇って、いつか書いてみようと思っていました(1の写真がそのレリーフの文字です)。  漢和辞典で調べてみると、字の成り立ちは、標準、あるいは公平の意味の「水」(さんずい)と神獣(つくりの上部)、退ける(つくりの下部の「去」)の会意で、神獣の聖断で悪事を取り去る「のり」の意味だそうです(『角川新字源』による)。今の字では、さんずいと「去」だけが残っています。元の意味が全く分からないほどに省略されてしまっていることになりますが、由来を尋ねてみると、漢字文化の奥深さをあらためて認識できます。画数が多くて、バランスをとるのが難しい字ですが、何度か練習して、2の写真の字が出来上がりました。コロナ禍も神獣が取り去ってくれますように。 1 2

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2020/12/02
青雲会総会に参加しました

11月28日(土)に青雲会(大阪大学法学部同窓会)の総会がありました。  私も法学部の卒業生(1984年卒業で、卒業期は32期になります)ですし、高等司法研究科長として招待もされていましたので、参加してきました。この総会は、本来7月に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて延期となっていたものです。  第1部の総会の方は、2019年度の活動報告と決算、2020年度の活動方針と予算の承認といった型通りのものでしたが、第2部の講演会が大変興味深いものだったので、紹介しておきます。講師は、日立造船(株)相談役の古川実氏(阪大経済学部の卒業で、経済学部の同窓会会長もされていたそうです)。演題は「陸(おか)に上がった日立造船」*というものでした。 *同名のビジネス書があります(岡田晴彦著『陸に上がった日立造船』2013年ダイヤモンド社)。  日立造船が阪大の工学研究科と「Hitz協働研究所」という共同研究の取組を行っていることは、以前から知ってはいました。もっともこれは、智適塾の活動報告の中で、この協働研究所に関する案件について側聞していたからこそで、法科大学院の一教員として過ごしているだけでは知り得ないことでした。しかも、私の認識は、これまでは、造船会社が経営の多角化のためにバイオ産業に手を広げている、という程度のものに過ぎませんでした。古川氏の講演を聴いていると、この会社の変化は、そんな生易しいものではありませんでした。演題が「陸に上がった」となっているのは、日立造船が現在、造船事業からは、資本面も含めて全く手を引いていることを前提にしたものでした。造船業界が韓国や中国との競争に勝てなくなり、合併と統合による生き残りを迫られる中で、日立造船という会社は、社名には「造船」の名を残しているものの、造船業界から完全撤退していたのです。環境事業を中心とする会社へと姿を変え、「陸に上がった」日立造船は、当初は造船技術の派生事業として大型プラント製造を手掛け、それがごみ発電(Energy from Wasteの略でEfWというのだそうです)などの開発につながっていった、というのです。この会社の変化についてのストーリーは、ダイナミックで聴きごたえがありました。環境事業へのシフト、そしてそれをさらに発展させていこうとする方向性が、この欄で先月取り上げたSDGsを強く意識したものだったことも印象的でした。  ポスト・コロナの社会では、事業の方向転換を図ることで、コロナ禍による事業存続の危機を生き残ろうとする企業の模索が続くでしょう。高等司法研究科は、養成する法曹像の一つに、商都大阪を支える「ビジネスロイヤーの育成」を掲げています。これは単に「お金儲け」を目指すということではありません。困難な時代にあっても、持続可能で活気溢れる企業活動を支える法曹になってほしい。そう願っているのです。 秋の楽しみの一つ。干し柿作りをしました。

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2020/11/09
ロースクールとSDGs

 Sustainable Development Goalsは、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。SDGsでは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標が掲げられ、その下にさらに169のターゲットが設定されています。大阪大学でもSDGsを意識した教育研究活動を推進する大学全体の方針が定められ、現在、各部局に各目標を意識した活動の報告が求められています。そこで、「持続可能な開発目標」について考えてみました。  ロースクール全体に関係しそうなのが、ロゴを示した目標16です。この目標は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。」と説明されています。ロゴは、公正な司法を象徴する槌(gavel)と平和を象徴するオリーブの枝をくわえた鳩が組み合わされたもので、この目標の下にさらに12のターゲットが定められています。そのうち、16.3は、「国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する」です。このターゲットに最も寄与し得るのは、言うまでもなく法律家でしょう。権利を侵害され、傷ついた人に寄り添い、その権利の実現と回復を手助けする法律家がいなければ、社会は強者の力によって支配されるものとなってしまうからです。法の支配の貫徹のために、法律家の役割は極めて重要なのです。そのことを大学全体で認識してもらうために、高等司法研究科のカリキュラム自体がSDGsの目標16と「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを掲げる目標4に適うものである、と報告することにしました。  法律家は、貧困や飢餓、環境破壊などの問題を直接解決することはできないかもしれません。しかし、弁護士法1条1項が規定するように、法律家は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」ために働くのです。その仕事によって、すべての人が安心して暮らせる社会を実現することが可能になるとすれば、法律家はSDGsがめざす将来の社会のために求められている存在だと言えます。ロースクールで学ぶことには、そんな意味もあるのです。 豊中キャンパスの銀杏も黄色く色づきはじめました。

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2020/10/06
秋季卒業式

秋です。10月に入ってようやく、朝晩に涼しさを感じるようになってきました。  秋冬学期からは、部分的に対面での授業ができるようになりましたから、私自身も9月23日から8か月ぶりに教室で学生を目の前にして授業をはじめています。Zoom等のテレビ会議システムを使った授業でも、学生の顔は見えるのですが、臨場感は教室での授業の方が格段に勝ります。感染予防の手立てを講じながら、大学の日常を取り戻していくことが必要だと考えています。  その一例ですが、9月25日に秋期卒業式が吹田キャンパスのMOホールでありました。卒業式では、研究科長は総長、理事とともに、式服(アカデミック・ドレス)を着用します。今年は3月の卒業式、4月の入学式が中止になったので、これを着る機会も1年ぶりです。式服は、黒いローブと角帽(モルタルボードというのだそうです)からなります。この式服、日本の国立大学では、大阪大学が1992年(平成4年)6月19日から用い始めたのが最初だそうです(ウィキペディアの解説による)。学位を授与される人が着用するという考え方もあるようですが、大阪大学では授与する側がこれを着て壇上に並ぶ、という式のスタイルです。  なお、この日の午後には、豊中キャンパスに戻り、研究科長室で高等司法研究科の修了者に対する簡単な授与式を行いました。9月修了者は5人で、そのうち3人に学位記を直接手渡すことができました。私からは、9月修了者は、修了から司法試験受験までの期間が半年長いというメリットもあるのだから頑張ってほしいという激励とともに、お祝いの言葉を伝えました。  

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2020/09/03
対面授業とメディア授業

高等司法研究科では、9月の第4週から、秋~冬学期の授業が始まります。全面的にメディア授業だった春~夏学期と違い、感染対策(教室の換気、消毒、入室者数制限、マスク着用など)を講じたうえで、教室での授業(対面授業)ができることになりました。ただし、対面授業をする場合には、感染リスクのある(あるいはその不安がある)学生のために、授業の録音・録画を配信できるようにすることと、対面授業に参加できない学生が対面授業に参加した学生に比べて不利にならないような指導体制が求められています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって学生の登校が禁止され、対面授業が実施できなくなった場合には、メディア授業に移行することができるようにしておくことが求められているのです。  対面授業とメディア授業が混在することになると、もう一つ問題があります。対面での授業の前後にメディア授業が入っていると、空き教室や自習室をWIFIのアクセスポイントとして利用してメディア授業を受けざるを得ない、ということです。すると対面授業がある日は、学生が結局終日大学に留まることになり、「3蜜」の状態が生じ得るのです。すでに教室の収容人数を減らし、昼休みを30分延長して食堂の混雑を緩和するなどの対策は取られています。しかし学部生も含め、多数の学生が登校するのが10月以降であるため、これで十分なのかどうかは分からないのです。  学生たちが教室に集い、教員と学生、あるいは学生同士の対話によって学びを深めていくのが、大学教育の本来の姿です。ただ、今年の春~夏学期のメディア授業の経験は、それを犠牲にしてもできる教育がある、ということに気づかせてくれました。授業を繰り返し視聴することが可能である点で、メディア授業には、対面授業にはないメリットがあるかもしれません。  ワクチンや治療薬の開発によって新型コロナウイルスの問題が収束しても、メディア授業を活用する、という選択肢は残るでしょう。対面授業とメディア授業(同時双方向方式、またはオンデマンド方式)のハイブリッド(本研究科の教務委員長の命名です)は、今後の法科大学院の標準的な教育方法になっていく可能性があります。大阪大学全体においても、このような対面授業とメディア授業を組み合わせた教育方法を「ブレンデッド教育」と呼んで、次期の中期計画に盛り込んでいくのだそうです。専門職養成のための教育に特化した研究科として、この動きを先導するような存在でありたいと思っています。

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2020/08/07
かかるところてん

いま、高等司法研究科では、2020年度春~夏学期の期末試験が行われています。他の学部・研究科では、オンライン試験となったため、試験期間でもキャンパス内に学生の姿はまばらです。しかし、高等司法研究科では、多くの科目で、通常の筆記試験を行っています。司法試験に向けて、限られた時間内に答案を書くことが重要だと考えたからです。  学年暦では、7月27日から8月7日までが試験期間でした。この記事が掲載される頃には、期末試験は終わっているはずだったのですが、期末試験についても、with Corona の対応をしています。教室を分散して感染対策を講じながら、体調のすぐれない人や感染リスクを感じる人に対応するため、教室での試験に加えて、オンライン試験(追試験)を行うことになったのです。一年次開講科目の試験をお盆明けにずらし、追試験の機会を保障したりするため、8月下旬まで分散した形で期末試験が続きます。  今学期は、オンライン授業が最後まで続きました。教員の側からすると、授業で伝えたことの成果が答案に現れているかどうか、例年以上に気になるところです。私の担当科目では教室での期末試験が終わったので、早速採点を始めたところです。今年は、授業での対話が失われた分、課題の添削に力を入れ、答案の書き方についても指導を強化してきたつもりでした。それなのに、例年と変わらず、「かかるところてん」答案が多いな、と感じています。  「かかるところてん」とは、「かかる~」、「~であるところ」、「この点」という答案によく現れる癖をつなげたものです。まず「かかる」は、本来「斯くある」という連体詞で、現代文ではほとんど使いません。ところが答案では、「かかる行為は…」などと、しかも1通の答案の中で繰り返し使われています。文章のトーンが文語調であればともかく、「この行為」と書けばいいのに、と思うのです。次に「~であるところ」という文のつなぎ方です。この言葉は前の文が後ろの文の前提条件なのか、単なる前置きなのか、留保なのかが曖昧で、文章の論理性を損ねていると感じます。最後に「この点」です。前の段落で複数のことを指摘しているのに、段落を改めて、「この点」とか、「思うに」と書き始める例が目立ちます。このとき、「この」が何を指しているのか、何を「思って」いるのかが分からなくて、もう一度前の部分を読み返さなければならなくなるのです。  なくて七癖、と言います。私の文章にも癖があることは自覚しています。「かかるところてん」が気になるのも、私の好みの問題かもしれません。しかし、論理的で読み手にとってわかりやすい文章を書く、という意識は、常に持っていたいものです。学生諸君は、今学期の答案が返却されたら、自分の文章を読み返してほしいと思います。

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2020/07/06
学期末です

“With Corona”が求められる状況の下で、今学期の授業も終盤を迎えています。私自身、パソコンに向かっての授業や会議にも慣れてきました。教室での授業と違って、オンデマンドの教材を作る場合には、「撮り直し」、「やり直し」が効くこともあって、当初よりも授業に手間をかけるようになっています。それでも、教室で学生を前にして授業をするのとは違って、楽しくはないなあ、というのが実感です。  緊急事態宣言の解除以降、大学も平常化へのプロセスを段階的に進めています。7月1日からは、対面授業が認められる範囲が拡大され、キャンパスに学生が戻ってきつつあります。パソコンの画面上でしか顔を見ていなかった新入生と実際に対面して、「初めまして」などと妙な挨拶を交したこともありました。学生が大学に出てこられる状況にはなったので、例年5月に行っていた前年度の成績優秀者に対する表彰式を6月26日に実施しました。研究科長室に学生を迎えたのも、今年度初めてでした。そのときの写真を掲げておきます。  この表彰式の際には、短い時間でしたが、成績優秀者との懇談の時間も持ちました。その中で、例年は特待修了生にやってもらっていた新入生向けの期末試験に向けた学習相談会の話題も出ました。今年の司法試験の実施は8月に延期されました。自習室の利用が制限される中で、司法試験を受験する修了生たちは、今、まさに司法試験直前の準備期間にあります。とても後輩たちへの指導をお願いできる状況ではありません。そこで、今年は在学生(2年生、3年生)が新入生のための学習相談会を実施してくれるというのです。自身の期末試験準備もある中で、後輩のために一肌脱いでくれるということですから、ありがたい申し出です。新入生は、法科大学院の対話型の授業を教室で受けることができないまま、期末試験に突入することになります。学習面での不安や戸惑い、一緒に学ぶ仲間との交流が極端に少ないことへの不満などが溜まっていることだろうと思います。この学習相談会の機会をぜひ積極的に利用してほしいと思います。  “With Corona”は、今まで通りでない、新しい日常を構築する機会だと前向きにとらえ、「中止」、「延期」でない別の方法を工夫していきたいと思っています。

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2020/06/08
初夏です

学生がキャンパスに集うことができない状態が3か月目に入りました。授業だけでなく、会議もテレビwebを使って行うものが多くなり、研究科長としての仕事も様変わりしています。昨年は、研究科内の会議など、用事のある時にしか研究科長室には居らず、大学に来ていても、教室と研究室で過ごす時間がほとんどでした。しかし、研究室のパソコンにはウエブカメラをつけていないため、4月以降は、授業の録音・録画や教授会などの会議のために、カメラ付きのパソコンが置いてある研究科長室にいることが多くなりました。ごくたまに事務職員の方が科長室に顔を出されることがあるので、そのときは少しだけ人と面と向かって話をしますが、それ以外は人と直接話をする機会もほとんどなくなっています。吹田キャンパスでの会議に出向くことも少なくなりました。研究科長室は、来客があったときに学外からのお客さんをお迎えする部屋でもあるのですが、来客もずいぶん少なくなっています。という次第で、他に人のいない研究科長室で、パソコンやICレコーダーに向かってしゃべっているという妙な状況です。  ところで、延期されていた司法試験が8月に実施されることが決まりました。これから梅雨と、梅雨明けの暑さがやってきます。そんな季節に試験直前の最も集中力を必要とする時期の勉強を続けなければならない修了生の皆さんには、この場を借りてエールを送ります。例年であれば、自習室を利用する修了生と顔を合わせる機会があったので、試験直前には激励し、試験の後は受験した感想を聞く、という機会もありましたが、今年はそれも叶いません。そこで、「皆さんには阪大で学んできた経験が必ず力を与えてくれます。それを信じてあと2か月、走り切ってください!」  新型コロナウイルスの影響で仕事の仕方はずいぶん変わりましたが、季節は例年と同じようにめぐってきます。例年5月から6月にかけては、自宅の庭の片隅に作った小さな苺畑に実がなります。それを少しずつ摘み取って冷凍しておき、ジャムを作っています。週末しか自宅に戻らないので、口に入る数よりも虫や鳥に食べられてしまう数の方が多いのですが、それでも今年も小鍋一杯のジャムができました。  

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2020/05/11
巣籠り

緊急事態宣言に伴う活動自粛の状態のまま大型連休の期間が過ぎ、さらに活動自粛の期間が延長されました。高等司法研究科ではオンラインの授業開始から1か月が過ぎましたが、この状態はしばらく続きます。学生の皆さん、授業にしっかりと取り組めていますか?皆さんの顔を直接見ることができないだけに、我々教員の側も手ごたえを感じにくいところです。学生の皆さんにとって初めてのことであるだけでなく、この形の授業は、教員にとっても初めてのことで、どうやったら授業の効果を上げられるか、手探りの状態なのです。皆さんからも、改善すべき点は遠慮なく申し出てほしいと思います。ただ、授業のオンデマンドの配信には、今までにないメリットもあります。それは、授業を繰り返し聞き直すことができる、ということです。自分のペースで、しかし着実に次のステップを目指してください。新型コロナウイルスの感染が終息した後の社会では、ますます法曹の役割は重要になっていくでしょうから、今の状況に負けるわけにはいきません。  外出自粛の状態での生活は、孤立感を感じたり、ストレスが溜まると感じたりすることも多いと思います。このような生活を「巣籠り」と呼んだりするようですが、動物なら巣籠りは、外の危険を避けて雛や子が育つ期間です。発想を変えて、自分を育てるために、自分の部屋の中で出来ることに一生懸命取り組む時間だととらえませんか?私たち教員は、巣籠り中の皆さんのためにせっせと餌を運ぶ親です(餌が多すぎるという声も聞こえてきそうですが)。  私にとって巣籠り生活は、外食をほとんどしなくなり、料理を作る頻度が高くなるという効果をもたらしています。これはそれなりのストレス解消にもなっています。マスクを手作りするという、今までやったことがないことにも挑戦してみました。今の状況に前向きに向き合えば、案外楽しみも見つけられるものです。  

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2020/04/01
新入生へのメッセージ

4月1日は、新入生オリエンテーションの日です。例年、午前の部の冒頭には研究科長や来賓から入学を祝うメッセージを伝え、昼には歓迎会を行って教職員と交流する機会を設けるなど、実質的な研究科の入学式を行ってきました。しかし今、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多人数が、密閉空間で、長時間過ごすことがないようにすることが求められています。そのため、今年は午前の部と昼に行っていた歓迎会を中止しました。4月1日午後の新入生オリエンテーションも、在学中に必要となる事項をお伝えするものになります。授業も当面は、教室で教員と受講生が対面する形では実施しません。 しかし、研究科として新入生に対する歓迎の言葉もない、というわけにはいきません。そこで、書面の形で研究科長としてのメッセージをお届けします。  ***   高等司法研究科に入学された82人の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんはこれから2年ないし3年の間、法科大学院生として、法曹になるための勉強をすることになります。  では、法科大学院における学びの中で心掛けるべきことは何でしょうか。一つのエピソードを紹介したいと思います。それは、高等司法研究科の初期の修了生で、すでに弁護士として10年以上の経験を積んでいる皆さんの先輩の言葉です。彼は久しぶりに会った私にこう言ったのです。「法科大学院の間にもっとじっくり本を読んでおけばよかった。」この述懐は、実務家として活躍している今は忙しくて本を読んでいる時間がない、ということを言っているだけではありません。じっくり本を読んで、そこからいろんな問題を考え抜いて得た法律家としてのベースがないと、実務ではやっていけない、というのです。法科大学院在学中は、当面の目標である司法試験合格のために、試験に役立つことだけを効率よく勉強しようと思うかもしれません。そのために試験用の教材に書いてあることを頭に入れることに意識が傾いてしまうかもしれません。それではもったいないし、将来を考えると十分ではない、ということです。  今は、インターネットを通じて手軽に情報を得られる時代です。ただ知識を多く持っているだけでは、専門家の役割を果たすことはできません。物事を深く考え抜いたうえで、問題の本質を見極め、適切な解決を示すことができるからこそ、法曹は社会の役にたつのです。  当面はネットワークを利用した授業になり、皆さんにも不便を強いることになります。授業の内容をしっかりと身に着けていくことはもちろん大事ですが、時間割に縛られる度合いが小さくなる分、時間的な余裕ができるはずです。その余裕を使って、「じっくり本を読む」習慣を身に着けてください。

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2020/03/03
年度末です

学年末の慌ただしい時期になりました。高等司法研究科に入学予定の人にとっては入学後に備える時期ですし、1、2年次の在学生にとっては、この1年を振り返りながら来年度に向けてステップアップする時期です。修了を迎える人や修了生で再度司法試験に臨む人には、試験直前の仕上げの時期でしょう。  教員にとっては、新学期が始まるまでの間に海外出張などを入れることが多くなります。期末試験の採点が終われば、時間的な調整をしやすくなるからです。私も3月中旬に中国の四川大学で開催されるシンポジウムに参加する予定でした。ところが、新型コロナウイルスの影響で、このシンポジウムは夏以降に延期になりました。他にも国内のシンポジウムや研究会などの行事も軒並み中止ないし延期になっています。しかし、急に暇になったと喜んでばかりはいられません。卒業式(修了式)をどうするか、感染者(発症者)が学内で出たときの対応をどうするかなど、これを書いている時点(3月3日)で決まっていないことが多くあるからです。 ロースクール生にとっては、長期の休みは授業に追われることなく、自分の勉強に集中できる貴重な時間ですから、自習室で長く過ごす人も多いでしょう。新型コロナウイルスの感染が起きやすいのは、室内に長時間滞在し、人と人との距離が近い場合だといわれています。自習室で勉強するときも、換気を忘れず、うがい、手洗い(石鹸や消毒用アルコールを使って手指を念入りに)、人混みでのマスク着用など、感染予防の対策をしっかり取ってください。新学期の行事や授業に今の混乱が影響しないことを祈るばかりです。 年度末の恒例行事としては、退職教授の記念講義があります。高等司法研究科では、1月24日に下村眞美前研究科長の退職記念講義がありました。下村先生とは、学部入学が同期です。定年まで7年を残して退職されることは残念ですが、関西学院に移られ、引き続き法科大学院で教鞭をとられるとのことですから、これからはライバルです。  

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2020/02/10
加算プログラムの評価結果について

2020年1月24日に「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」の審査結果が公表されました。加算プログラムとは、各法科大学院に配分する予定の予算のうち一定割合を控除した額を原資としてプールし、それを法科大学院が自ら定めた目標を達成するための取組に対する評価によって加算率を決め、再配分するものです。控除される率は、法科大学院を3つの類型に分けて段階づけられており、本研究科は一貫して第1類型(基礎額算定率90%)です。昨年度からは、5年間の機能強化構想を提示し、その進捗状況を年度ごとに評価する方式になっています。本研究科が昨年度に提示した今年度からの5年間の構想は、「ITを活用した法学部との連携強化」、「多様な法曹養成プログラム」、「関西大学への支援の取組」、「キャリア支援の取組」の4つで、昨年の評価は「A」評価、加算率は最高の20%(つまり元々の配分予定額の10%増し)でした。この加算額を原資に、今年度は数年来の課題であった自習室のwifiの設備更新を決定するなど、学生への還元もできたところです。  ところが構想1年目の取組に対する評価である令和2年度の審査結果は、「B」評価で、加算率は5%に留まってしまったのです。厳しい評価結果になった要因は、つまるところKPI(Key Performance Indicator)の設定と、そこで掲げた目標値達成に向けた取組に関する説明の不足でした。昨年、全体としては「A」評価だったものの、「KPIの適切性」、「KPIの水準妥当性」という項目については高い評価ではありませんでした。このことをもう少し注意深く分析できていれば、このような低い結果にはならなかったはずだと思うと、反省することしきりです。  私は、学生には常々、「答案には、自分が書きたいことではなく、採点者が書いてほしいと思っていることを書け。」と説いています。今回の評価結果は、「評価者が書いてほしいこと」が書けていなかった、ということだと思いました。他人に説いていることを自らは実践できていないということでもあるので、恥ずかしくも思っています。ただ、本研究科が提案している各取組自体は、他の法科大学院と比較しても遜色のない、意義のあるものだと自負しています。来年度に向けて「評価者の視点に立った」説明を心掛け、加算率の回復を目指そうと思います。もちろん、予算の減額が学生への教育活動に影響を与えることがないようにすることが当面の課題です。4月からの1年間は、一層効率的な研究科運営に努めたいと思います。  

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2020/01/09
一年の計

2020年、新しい年が始まりました。例年、年末年始は三重の自宅で過ごしていますが、年末から餅つき、料理にしめ飾り、と一通りの準備をし、雑煮とおせち料理で今年の元旦を迎えました。手作りをした鏡餅が今年は形よくできたので、年始のご挨拶代わりに写真をお届けします。 「一年の計は元旦にあり」、と言います。英語では、“New year's day is the key of the year.” となるようです。ただ、この英語の表現では、「はじめよければ終わりよし」という感じになって、年頭の覚悟が伝わってこない気がします。年のはじめに「計」、すなわち自ら定めた目標を立てることに意味があるのだと思います。4月に研究科長職を引き継いでから9か月あまり、私にとって2019年は周囲の状況に対応することで精一杯の年でした。引き続き2020年4月からの2年間も研究科長を務めることになりましたし、今年は、自ら課題を発見し、それに向き合い、その解決に取り組む年にしたいと思っています。今までのやり方を踏襲するのではなく、常に前向きに、です。西尾総長も今年の年頭挨拶の中で、「前例がない」、「予算がない」等の理由で改革の歩みを止めてはならないとのメッセージを発しておられました。これを肝に銘じつつ、高等司法研究科をトップ・ロースクールといえる水準にすべく、たとえ小さなことであっても、努力を重ねていきたいと思います。  在学生諸君も、これから高等司法研究科を受験しようと考えている人も、一年の計をあらためて考えてみてください。  

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2019/12/04
大阪大学ツアー

師走です。12月末に文科省に連携協定の認定を求めて申請する予定で、法曹コースを阪大法学部に設け、法学部と高等司法研究科との間で連携協定を結ぶ準備が進んでいます。法曹コースは、法学部と法科大学院の一貫教育を可能にし、法科大学院在学中の司法試験受験と組み合わせることで、予備試験に流れていた層を法科大学院に呼び戻し、あるいは予備試験合格者が法科大学院を中途退学してしまうことを避けるために設けられることになっています。しかし私は、予備試験制度をそのままにした制度の改変にどれほど効果があるのか、疑問をもっています。法科大学院が法を学ぶ意義と楽しさを実感できる場にならなければ、試験だけで司法試験受験資格が得られる予備試験には対抗できないでしょう。  大学の法学教育は、単なる試験合格の手段ではなく、知的刺激に満ちた面白いものだ、ということを分かってほしい。そんな思いから、私は機会があるごとに、学部生や高校生などに法学の面白さを体験してもらえる模擬授業を行っています。今日はその一つ、「大阪大学ツアー」の紹介です。11月16日に大阪府下のGLHS(グローバルリーダーズハイスクール)の生徒に対する高大連携の取組である「大阪大学ツアー」が行われました。当日は、150人ほどの高校生(2回に分けて実施しました)に「人から話を聞く」ことを切り口に模擬証人尋問を体験してもらいました。模擬法廷で、実際に検察官役、弁護人役、証人役を演じてもらう、というものです。「主尋問では誘導尋問は禁止」、とか「反対尋問では主尋問に対する答えをどうやって崩せるかを考えて」という程度の簡単なルールの説明だけをして、実際に尋問をしてもらったのですが、ハプニングも想定外のやりとりも飛び出して、参加してくれた高校生にも楽しさを実感してもらえたのではないかと思います。  

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2019/11/06
ロースクールと国際交流

11月に入り、急に秋めいてきました。豊中キャンパスの銀杏並木も黄色く色づいています。さて、今月の話題は、ロースクールと国際交流です。  10月11日にオレゴン大学のMohamed Elian氏(写真中央)が阪大を来訪されました。阪大側は、私と中山法学研究科長、松井高等司法研究科副研究科長(国際交流室長)、法学研究科留学生担当のべリーグ准教授とで対応しました。オレゴン大学には、裁判外紛争処理プログラムと環境・天然資源法のプログラムがあり、外国からの留学生を受け入れている、とのことでした。そして、国際交流のための協定の締結とそれに基づく留学生の相互受け入れを実現したいとの提案がありました。こちらからは、日本のロースクールでは、在学中に留学を希望する学生がほとんどいないこと、アメリカのロースクールへの留学希望者が出てくるのは、法曹になった後であること、英語での授業を提供していない高等司法研究科では、留学生を受け入れることは難しいことなどを説明しました。中山法学研究科長からは、オレゴン大学の正規授業(集中講義)を大阪で開講してもらい、それを日本の学生も受講できるようにする、というアイデアが逆提案され、そのような形の交流も視野に入れつつ、今後も情報交換を継続することになりました。  今までも、法学研究科、国際公共政策研究科との3部局で外国の大学と交流協定を結ぶことは少なくありませんでした。しかし、実際に交流協定に基づいて、高等司法研究科の学生が在学中に留学する、といったことはほとんどなかったのです。高等司法研究科では、昨年から「グローバル法曹」のための特別選抜を実施していますし、外国語学部出身の修了生2人が今年の司法試験に合格しています。高等司法研究科の修了生が将来国際的な舞台で活躍していけるような素地を作ることもまた、研究科としての大きな課題であると思っています。

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2019/10/08
韓国訪問記

この欄で6月に韓国のロースクールからの訪問団を受け入れたことを報告しましたが、その際にお願いしていた韓国調査が実現し、9月2日から6日までの5日間、韓国の大邱を訪れ、犯罪被害者保護制度についての調査をすることができました(科研費による調査出張です)。先月分と報告時期が前後してしまいますが、この場を借りて報告します。  調査としては、裁判所、検察庁、日本の法テラスにあたる法律扶助協会のスタッフ弁護士、嶺南大学のスタッフなどから有益な話を聞くことができました。日本では、被疑者・被告人の弁護活動と被害者援助の対立が指摘されることがあります。これに対して、今回の調査も含め、韓国での聞き取りで印象に残ったのは、刑事弁護と被害者援助のいずれの立場でも、法曹としての客観性が強く意識されていることでした。被害者援助に取り組む弁護士でも、例えば、「無罪推定」について依頼者に説明し、当該事件で無罪判決が出される可能性についても伝える、というのです。  調査には、嶺南大学の法科大学院長李東炯先生(写真左端)、6月の模擬講義でもお世話になった徐輔健先生(写真右端)に終始同行していただきました。あまりの厚遇に恐縮していたところ、お二人が言われたのは、10年以上も韓国の学生を受け入れてもらっているお礼として当然だ、ということでした。かつて私が模擬講義を担当した、すでに実務家として活躍している嶺南大学の修了生にも声をかけていただき、食事を共にすることもできました。何年も模擬講義を担当しながら、一向に言葉を覚えることができない自分を恥じながら、たった1コマの模擬講義の縁を再びつないでくれた彼らにも感激しました。  せっかくの縁ですから、韓国の学生と交流の機会があった本研究科の学生や修了生が再度交流を深める機会を持ってくれたらいいなあ、と思っています。 嶺南大学の学長先生を表敬訪問したら、入口には「歓迎」の文字が…

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2019/09/11
司法試験合格発表と教員の処分について

今月は、報告を2件。  まず、9月10日に司法試験の合格発表がありました。高等司法研究科の修了生は、46人が合格しました。合格率(対受験者)も41.07%で、昨年実績を上回りました。合格した皆さんには、心からお祝い申し上げます。残念ながら今年は結果を出せなかった修了生の皆さんも、捲土重来、来年に向けてリ・スタートを切ってください。相談、修了生勉強会など、私たち教員も協力を惜しみません。  もう1件は、お詫びを兼ねた報告です。本年3月末に高等司法研究科教員による住居手当・通勤手当の不正受給と研究費等の不正使用の事案が公表されました。その後、懲戒処分の手続が進められてきたため、その結論が決まるまで研究科長としての所感等を公表することを差し控えてきましたが、8月中に結論が出ましたので、この機会にこの件について報告します。大学としての懲戒処分は、懲戒解雇という最も重い処分です。高等司法研究科は、公正な社会を実現する役割を担う法曹を養成するための教育機関です。その教員による不正行為(処分理由には上記の不正受給・不正使用のほかに、ハラスメントの事実が含まれています)ですから、研究科としても厳しい姿勢で臨まざるを得ず、泣いて馬謖を斬る、の心境で懲戒解雇の判断をしました。15年間ともに仕事をしてきた同僚をこのような形で失ったことは、残念でなりません。在学生、修了生をはじめ、関係する皆さんにご心配とご迷惑をおかけしましたこと、お詫びします。  しかし、過ぎたことを悔やんでばかりはいられません。この機会に研究科としてのスローガンである「新時代を担う真のLegal Professionals の育成」を再確認し、研究科一体となって取り組んでいきたいと思います。

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2019/08/08
期末試験を終えて

春~夏学期の期末試験が終わりました。在学生の皆さん、とりわけ今年度入学の皆さん、手ごたえはどうだったでしょうか。勉強した成果を答案に書ききることができたという人は、達成感を感じていることでしょう。他方、「時間が足りなかった。」、後から「こう書けばよかった」等々、反省しきりの人もあるでしょう。期末試験によって今学期の成績が決まることは、言うまでもありません。しかし、試験は受けたら終わり、点数がついたら終わり、ではありません。期末試験は皆さんの学びのプロセスの一里塚に過ぎないのです。  皆さんは、受講した科目について、予習・授業・復習のサイクルに加え、期末試験の前には、授業全体の復習、その科目の過去の期末試験問題や講評書の検討などの準備をしたはずです。期末試験に向けた準備が十分だったかどうか、今一度振り返ってみてください。8月末の成績発表では、答案に対する教員からの評価が示されます。それは決して単なる点数ではありません。平常点の評価も含め、皆さんの学びのプロセス全体が評価されるのです。答案のコピーは自分の手元に返ってきます。講評書や参考答案なども示されます。これらは、皆さんが自分の足らざるところを見つけるための学習素材です。たとえ今学期の点数が低くても、次学期以降に足らざるところを補う意識をもって努力を重ねてほしいのです。  ロースクール制度のスローガンとして、「プロセスとしての法曹養成」という言葉があります。期末試験もまた、そのプロセスの一つのステップです。それぞれの科目での経験を次のステップにつなげていくこと、そして阪大で学ぶ皆さん全体の実力が底上げされていくことを期待します。授業のない夏休みが自分のペースで勉強することができる貴重な時間だということも忘れずに。猛暑が続いていますが、頑張ってください。 韓国の霊巌女子高等学校の生徒さんの訪問がありました

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2019/07/03
韓国ロースクール訪問団

6月27日(木)に韓国のロースクールからの訪問団を受け入れました。毎年この時期に行われる恒例行事になっており、今年で11年目になります。今年は忠南大学から11人、嶺南大学から13人のロースクール生を迎えました。日本より少し遅れてロースクール制度ができた韓国では、学生の国際交流が認証評価基準の中で求められている由。そこで、阪大での授業だけでなく、裁判所、検察庁、弁護士事務所などを訪問しての研修が約1週間にわたり実施されました。27日は、G20サミットの前日で、大幅な交通規制も始まっていましたから、スケジュール通りに実施できるかが危ぶまれたのですが、無事に予定していた行事を行うことができました。今年の模擬授業は、憲法の松本先生と嶺南大学の徐輔健先生に担当してもらいました。テーマは、「DNA型データベースの合憲性」でした。この模擬授業には日本側から法学研究科の院生を含む17人の院生が参加し、活発な議論が行われたと聞いています。  実はこの日韓交流の取組において、授業や模擬授業を担当しなかったのは、今年が初めてでした。年によってテーマは変えてきましたが、ここ数年は韓国の学生たちに日本と韓国に共通する刑事司法上のテーマについてプレゼンをしてもらい、これにボランティアで参加してくれた阪大のロースクールの学生や修了生にコメントしてもらうという形で模擬授業を担当してきました。そのため、韓国側の教員との交流の機会は、さほどなかったのです。  今年は、研究科長として韓国側の教員との意見交換に参加しました。韓国側からは、韓国訪問の打診もありましたので、それに乗る形で、私個人の科研費による調査を夏休み中に韓国で行うことも約束することができました。これは思わぬ収穫といったところです。  最後に学生諸君に向けて一言。もうすぐ春~夏学期の期末試験があります。普段の勉強の成果が問われる機会です。また新入生の人には、初めてのロースクールの期末試験になります。試験に向けての準備を怠りなく進めてください。 模擬講義の質疑風景

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2019/06/06
コンティー面談

6月になり、春~夏学期のコンティー面談が行われています。学生の皆さんには担当の先生から面談予約の連絡が届いているはずです。中には、もうすでに面談を終えた人もあるでしょう。すでに面談を終えた人も、これからの人も、とりわけ新入生の皆さんの中にはこの面談の趣旨がよく分からない人があるかもしれません。あらためてこの場を借りて説明しておきます。  2007年度から開始し、2011年度からはWEB上で情報共有ができるシステムにバージョンアップしたコンタクト・チャート(Contact Chart、略してCC)システムは、コンタクト・ティーチャー(Contact Teacher 、略してCT)と学生が面談を通じてコミュニケーションを密にし、その面談の結果を教員全体で共有するものです。CC制度の目的は、以下の3つです(加算プログラム申請時の説明による)。 学生が、CTとの対話を介して、自己の学習状況を自己点検・評価・改善し、学習の目的としてのキャリアデザインを描ける自律した学習主体として成長することをサポートする。 CTが、学生たちの自己点検・評価を通じて自己実現しようとする営為をサポートする。 研究科は、学生と教員との間の対話を記録し、適切に共有し、学生支援の基盤とする  つまり、CTとの定期面談は、単に学生が入試成績や前学期の成績を教えてもらったり、教員が法科大学院入学前の学習歴について聞いたりして情報収集をするだけの場ではないのです。4月のこの欄の記事で、高等司法研究科の課題が「成績中位者以下の学生のレベルアップ」であることを示しました。面談を通じて集約した皆さんの声は、学習支援について、より効果の高い方法を考えていくための貴重な情報です。面倒がらずに面談に行って、皆さんの声を教員に伝えてください。そして秋の定期面談では、「これだけ頑張りました」とCTの先生に報告できるようにしましょう。 2018年度の成績優秀者表彰式を行いました

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2019/05/07
法律問題と料理

法律家に求められるのは、与えられた問題に対して適切な法的解決方法を示し、それを実践することです。 (私の趣味でもあるので)料理をたとえにして示してみます。料理は、食材を調理することで出来あがります。法律問題を含む事実が「食材」です。法律家に求められるのは、その食材を調理して食べられる状態の料理にすること、すなわち事実に対する適切な解決方法を示すことです。食材はほとんどの場合、そのままでは食べられません。道具を用いて調理し、そして味を調えて料理にするのです。道具と調味料に当たるのが法的知識とバランス感覚です。  まず下ごしらえとしては、食材を包丁で切るなどして調理できるようにします。包丁は、ただ持っているだけでは使えません。包丁がよく切れる状態に研がれていることが必要です。また、食材の状態をわかったうえで、その食材に対して包丁をどう入れるのか、つまりその使い方を知っていなければなりません。この段階を法律問題に当てはめれば、与えられた事実に適用すべき条文やその解釈としての法理をまず身につけなければならないということです。未修の諸君にとっては、これが最初のステップ(基礎科目)になります。  次は調理です。食材に応じて、どのような調理をするかを決めて、それを実際に行わなければなりません。これが事実を法理に当てはめることに当たります。この段階で失敗すると生煮えになったり、焦げ付いたりするわけですから、経験と身につけた技術を適切に用いることが必要です。法科大学院の2年次以降ではここを磨くわけです。  最後は仕上げです。料理では調味や盛り付けです。ここではバランス感覚が重要です。料理なら、美味しく、きれいに、がポイントです。見た目がきれいでも、味が不味いとか、味はいいが盛り付けが整っていないというのでは、いい料理とはいえません。法律問題でも、説明の論理自体には問題がなくても結論がおかしい、というのでは台無しです。たとえば答案を書くときには、答案構成の段階で事実の適示からそれに適用すべき法理の提示、事実への当てはめという流れを意識し、そのうえで結論が妥当なものか、をあらかじめ考えておいてほしいと思います。  法科大学院の2年、あるいは3年間は(あるいはその後も)一流のシェフ(法律家)になるための修業時代と心得てください。皆さんの成長を楽しみにしています。

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2019/04/01
新学期を迎えて

2019年4月から研究科長を務めることになりました。2004年に高等司法研究科が開設されて以来、私が6代目の研究科長になります。初代は吉本健一先生(商法)、第2代は松川正毅先生(民法)、第3代は谷口勢津夫先生(税法)、第4代は三阪佳弘先生(日本法制史)、第5代は下村眞美先生(民事訴訟法)です。 私が大阪大学に赴任したのは、2004年4月、法科大学院の発足時です。もう忘れられたことかもしれませんが、阪大の法科大学院は、2003年秋の時点では設置認可が保留となり、急遽補充人事を行って、他校より少し遅れて設置が認可された経緯があります。その補充人事で阪大に移ったのが私だったのです。私自身、前任校の法科大学院設置に関わり、前任校の方は設置が認められなかったため、窮地に陥っていたところでした。その進退窮まる状況を救ってくれたのが阪大だったのです。そんな事情があるので、阪大の法科大学院を盛り立てなければならないという思いは、今でも強く持っています。 研究科が一体となって取り組むべき目下の課題は、成績中位者以下の学生のレベルアップです。成績上位者がほぼ確実に司法試験に合格しているのに対して、中位以下の人たちの合格実績があまり芳しくはないからです。そのための様々な学習支援の取り組みを行ってきたところですが、指導を必要とする学生が我々の提供するサービスを利用していない現状があります。 そこで、学生のみなさんへのお願いです。予備校情報などに惑わされないで、自分の学習上の課題と正面から向き合ってください。コンティー面談などが自らの問題を発見するために役立つはずです。また、私たち教員やサポートしてくれるOB弁護士の人たちを、もっと活用してください。それが司法試験合格への最も合理的な方法です。

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2018/07/26
メールチェックしていますか?

入学時に学生のみなさんには連絡先としてメールアドレスを登録してもらっています。最近、そのメールアドレスに送信しても、返信がないことが増えています。学生同士では、LINEなどのSNSで手軽に連絡を取ることができるからでしょうか、メールをみない、また、メールでの連絡をしないことが多いようです。授業後に質疑応答の時間をとることができないときには、メールで質問をするよう促します。しかし、ほとんどメールは送られてきません。文章をつくる練習になるのに、残念です。  学外では、もちろん実務界も含めて、LINEだけで済ますことはできません。メールを使っての意見交換や文書・資料のやりとりは当然のように行われています。メールには手紙ほどではなくても、それなりの形式もあります。今からメールでの連絡になれておけば、社会に出てからも困りません。せめて、欠席連絡くらいは、LINE形式ではなく、メールとして恥ずかしくないものを送ってほしいと思います。  地震や大雨などの災害の際に、安否確認もメールでされますので、覚えていてほしいものです。

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2018/04/03
新学期を迎えて

今年の桜は思いのほか早く咲きそろいましたが、4月も楽しませてくれました。桜は、新しい年度が始まることを強く実感させてくれますね。  みなさんも準備万端で新学期の学修に取り組んでいることと思います。ところで、その前提として、学生ハンドブックを読んでいるでしょうか。履修登録の方法、修了要件に必要な単位等など大学院生活を送るうえで欠かせないことが記載されています。アンケートを採ると、時々「みていません」などと平気で書いてくる学生がいます。本研究科で真面目に学修しようという意欲があるのかどうかを疑いたくなります。後で後悔しないためにも、確認しておきましょう。  みなさんの多くは、幼少の頃から携帯電話やスマートフォンを手にしていたことでしょうから、「みる」ことには馴れていても、「読む」ことは苦手かもしれません。体系書と呼ばれる分厚い本を「読み込む」時間は今しかありません。焦らず、諦めず、分厚い本や長い文献と仲良くする方法を身につけていってください。基礎のないところに応用・発展はありません。地道な努力を惜しまないで、一歩一歩頑張りましょう。

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2017/07/23
研究科長室と研究室

最近、研究科長室が研究科長の研究室とは別にあることを知らない学生が少なくないことがわかって、驚いています。もともとローライブラリ4の場所にあった研究科長室が本館に移って3年以上たつので、研究科長室がどこにあるか知らないことも仕方ないとは思います。学生のみなさんからみれば、研究科長として仕事をしているのをみるのは、入学式や修了式で挨拶をする場面くらいでしょうし、私がどこにいようと、あるいは、何をしていようと関係ないということかもしれません。  それでも少しは、想像力を働かせてほしいなと思うのです。本研究科は、他の研究科からみれば決して大きくはないけれど、大学の一つの組織です。研究とは別に組織としてしなければならないことがたくさんあり、同じ部屋では処理できないことの方が多いのです。  試験問題を解く場合でも、また、実務においても「思い込み」はとても危険です。自分では気づくことが難しいだけに、いろいろな角度から検討してみるということを心がけてほしいと思います。試験問題を一読して、「この論点だ!」と思ったときこそ要注意です。一応、それと前提しつつ、他の可能性がないかどうかも慎重に検討してみましょう。  酷暑が続きます。体調を整え、期末試験を乗り切りましょう。

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2017/04/03
新学期によせて

3月22日には74名の修了生を見送り、4月3日には52名の入学者を迎えました。 毎年繰り返される風景ではありますが、新学期は、気分も新たになります。桜もようやく目覚めたようで、美しい花を咲かせ始めました。うきうきした気分になることも確かですが、みなさんには大きな目標があり、そこに向かって駆け出さなくてはならない時期です。3年生は、あと13か月後、2年生も25か月後には司法試験の受験が待っています。この期間をどうやって過ごすかが、その結果を左右するわけですから、計画を立て、規則正しい生活を心がけて過ごしてほしいと思います。  芸術やスポーツに限らず、法律の勉強においても「基礎・基本」が重要です。体系書の表現をまねして書いてみる、英単語と同じように単語帳を作るなども有効です。正確な基礎知識なくして、期末試験や司法試験に合格することはできません。テニスの選手や野球の選手がラケットやバットの素振りを何度でもするように、体系書を何度も読み込み、基本知識を何度も確認して、正確に身につけてください。  縁あってこの高等司法研究科でともに学修することになったみなさんですから、切磋琢磨して、数々の関門を一緒に通過してゆくことを願っています。

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2017/01/05
新しい年のはじめに

新年おめでとうございます。2017年が始まりました。  受験生である皆さんにとっては、盆も正月もないと思います。でも新しい年の初めに、少し時間をとって、今年の目標とそれにいたる道筋を考えてみてはいかがでしょうか。 「司法試験合格」という大きな目標を達成するためには、まず、何時までにどれだけのことができるようにしなければならないかを考え、計画を立てることが必要です。その上で、毎日の努力を数字に表すとか、カレンダーに「〇」「■」などの印をいれるなどして、目に見えるようにして「継続」を図りましょう。継続の結果は、期末試験や模擬試験で確認できるでしょう。  最近は、模擬試験を避ける学生が多くなりました。無料ではないので、「必ず受験しましょう」とはいえませんが、自分の立ち位置を確認し、合格するために何が足りないのかを確認できるよい機会です。また、「試験の雰囲気」に慣れることもできます。模擬試験も上手に利用してみましょう。  皆さんにとってよい年となることを願っています。

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2016/12/08
一般入試合格者のみなさんへ

大阪大学大学院高等司法研究科に合格されましたこと、誠におめでとうございます。本研究科を代表して、心から御祝を申し上げますとともに、みなさまを歓迎いたします。  本研究科では,自習室やパソコン室を24時間利用することができますし、一人一台ずつキャレルとキャビネットが使えます。もちろん固定式です。ネット環境も充実していますし、コピーは一定枚数まで無料です。図書室でも、学生のリクエストにできるだけ応えて図書を充実させています。このように、学生の学修環境を整えて待っております。  本研究科は,司法試験合格の最初の一歩です。将来、法曹になって活躍しているご自分を想像していただき、司法試験合格のその先を目指してください。そうはいっても、まずは司法試験という高い壁を乗り越えなければなりませんので,4月に本研究科に入学するまでに、みなさまには是非、法務省のホームページを開いて、司法試験の問題をご覧いただきたいと思います。これからの2年または3年でその問題の解答がすらすら書けるようになれるよう、今から準備していきましょう。  私たち教職員は、みなさまの伴走者であり、みなさまが司法試験に合格できるだけの力を養えるよう全力で応援いたします。  4月にお目にかかれることを楽しみにしています。

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2016/09/12
司法試験の結果を受けて

今年の司法試験合格者は、全体で1583名(昨年1850名)、本学修了生は42名(昨年48名)でした。既に報道もありましたとおり、今年の対受験者合格率は、26.75%でした。  このような結果を受けて、在学中の皆さんは浮き足立っているかもしれません。しかし、今すべきことは、予備校に駆け込むことではなく、足元から学修を見直すことです。基本事項が十分に身についていなければ、応用などできません。基本書や判例の読み込みが不十分であれば、事例問題に対応することはできません。判例の結論だけを覚えても、司法試験には対応できません。一度読めば、何でも見通せる天才でもない限り、基本書と条文の往復を繰り返すことを避けて通ることはできないのです。   在学生のみなさんは、第1学期の期末試験の答案返却を受けて、書き直したでしょうか。自分の答案を見直すのはおっくうです。しかし、特に成績が悪かった科目ほど、講評を読み、基本書や条文を読み直して、これで完璧という答案を作成することが肝要です。何が足りなかったのかを自覚し、課題を克服していってください。   法律の勉強は一朝一夕に進むものではありません。一歩一歩険しい山を登るのにも似て苦しいことも多いですが、その途中で足許にある動植物に感動することもあるように、「なぜここにこの条文が置かれているのだろうか」とか、「なぜこの用語が使われているのか」などに注意を払うと面白さがわかることもあるでしょう。みなさんが、待兼山から四方(司法)を眺め下ろす日が来ることを祈っています。

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2016/08/17
夏休みの過ごし方

期末試験も終わり、一息ついていることと思います。しかし、夏休みをどのように過ごすかによって、勉強が深まることもあれば、1学期の学修が無駄になることもあります。  1年生であれば、第1学期の復習、短答式過去問を解いてみる、第2学期に備えての予習などは最低限必要でしょう。2年生では、上記に加えて、論述式過去問に挑戦する、3年生では、これまでの総復習に加えて、短答式・論述式過去問を繰り返し、模擬試験を受験する、演習問題を解いてみるなどが考えられます。  皆さんの先輩方が、学習方法等について書き残してくれたものがCLEに掲載されています。CLEの「学生向け教育情報」→「新司法試験合格者体験記」などを参考にして、夏休みの有効利用を考えてください。  また、夏休みこそ、よりいっそう規則正しい生活を心がけてもらいたいと思います。司法試験本番の時間帯に合わせた生活スタイルを確立するよい機会でもあります。  有意義な夏休みとなるよう祈っています。

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2016/07/28
期末試験を乗り切る

いよいよ今週から期末試験が始まります。期末試験は、1学期間の総仕上げであり、次の段階に進めるかどうかが試されます。先生方は、受験者を落とす目的で試験をしているのではなく、全員が合格できるはずと思って問題を作成しています。ですから、肩に力を入れすぎることなく、「基本から考える」ことをすればよいのです。  では、「基本から考える」ために必要なことは何でしょうか。それは、基本概念を「正確に」身につけていることです。それぞれの科目で先生方から何度も聞かされていると思いますが、制度の趣旨や意義(定義)、要件、効果がすぐに思い浮かべることができるようになっていることが重要です。  法律の勉強が難しいと思われているのは、「暗記」と「趣旨の理解」とのバランスが取りにくいことにあるのかもしれません。基本的な概念を正確に覚えなければ、趣旨の理解につながりませんが、趣旨の理解をしないと暗記が不正確になります。このようなことから、法律の勉強には繰り返しが必要となるのです。  暑さも今からピークとなり、体力的にも厳しい時期となります。それぞれの生活パターンがあるでしょうから無理にとはいいませんが、「早寝・早起き・朝ご飯」など規則正しい生活を送って、期末試験を乗り切りましょう(明るく笑って2学期に再会できるよう頑張ってください!)。 

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2015/04/13
学生委員会との意見交換

昨年度来、豊中総合学館の自習室周りの環境をめぐって、みなさんからいろいろに要望を聞いています。それも含めて、5月7日(木)の17時から学生委員会のみなさんと研究科の運営委員会とで意見交換の場を持つこととしました。  3年くらい前までは、みなさんのいろいろな要望を学生委員会が集約し、それをもとに定期的に運営委員会が意見交換する機会を持っていました。しかし、いつの間にか途絶えてしまったようです。私が本学の法学研究科で学んでいた頃は、院生協議会というものがあり、自分たちの自習室環境を自主管理するとともに、必要な設備・備品、教育研究環境の改善について、定期的に研究科長に伝え、交渉していました(要望を出しても、ほとんど認められないことが多かったのですが・・・。もっとも、当時は野球好きが多かったので、「法学部長杯(カップもあった)」をめぐる対抗ソフトボール大会、懇親会が年に1回ありました)。  せっかくですので、交渉に向かう学生委員会の方々に、いろいろな意見や要望(建設的なものをよろしく!)を託してはいかがでしょうか。

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2015/04/09
新たな年度のスタートです

4月9日、本年度第1回目の研究科運営委員会を開催しました。今年度から、新たに国際交流室担当(2学期は教務委員長担当予定)として松井和彦教授、アドミッション委員長として水島郁子教授が加わり、研究科の運営を行っていただくことになりました。  全国の法科大学院は、昨年に引き続き、法科大学院教育の教育面の先進性、優位性を社会に示すために、様々な改革の取組み社会に示すことが求められています(いわゆる公的支援の加算プログラム)。本研究科は昨年度の申請の結果、一定の評価を得ることができました。本年度においても、水島・松井両先生が加わって、引き続き下記の柱で改革の取組みを考えています。 具体化でき次第、みなさんに新しい取組みをお知らせいたしますので、是非積極的に参加を考え下さい。 パブリック法曹養成の取組み 中央省庁、地方自治体との連携を強化して、インターンシッププログラムの展開を検討しています。 学生支援関係の取組み:名津井学習サポート担当会議委員長 Web媒体を用いたOULS’SAを通じて、本研究科を修了した弁護士アドバイザーと連携した学習サポートを強化します。 グローバル法曹養成の取組み 海外のLSや法的専門機関と連携して、法律事務所等におけるインターンシップ、それに向けた海外法実務準備教育プログラムを検討しています。 学部LS一貫教育の充実 法曹養成の短期化のための法学部教育との連携、飛び級制度の利用を活性化させるための施策を検討しています。 法曹の継続教育 本学知的財産センターと連携して行っている智適塾プロジェクトでの、修了=司法研修後のインターンとしての継続教育の充実を検討しています。 大阪地域のLS連携 昨年度関西大学との教育連携のさらなる展開、大阪地区の3つの他大学院と連携したキャリアデザイン教育の展開などを検討しています。

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2015/04/01
高等司法研究科新入生オリエンテーションにおける研究科長挨拶

本日みなさんを高等司法研究科に迎えることができたことを大変うれしく思います。そして、こころよりみなさんを歓迎いたします。 本研究科の大きな特長は、教員と学生との距離が大変近いことです。私たちは、みなさん一人一人を一丸となって手厚くサポートする環境を用意しています。この点は、他の法科大学院に負けるものではないと自負しています。みなさんが、法科大学院修了にふさわしい目標に向かって努力しようとするかぎり、本研究科の教職員は、最大限サポートすることを惜しみません。皆さんは安心して、自らの目標の実現に邁進してください。 法科大学院制度は、みなさんも御承知のように、現在さまざまに議論の対象となっています。 この間の議論のなかには、法曹養成をめぐる戦前以来の典型的な議論の一つが見られます。それは、旧司法試験制度の源流となった戦前の高等試験司法科試験が導入されるときの議論です。そのときの帝国議会で、ある議員は次のように主張しています。 高等教育機関における専門的な法学教育課程を経るという要件は「抑々愚か」であり「出来るか出来ぬかが勝負でその為めの試験だから、中学校であらうとも何処であらうとも一向差支ない、詰り学校と云フのは要するに入れ物だからどんな入れ物から出て来なければならぬと云フ道理はない、其者がしっかりして居れば宜いのである」 こうした教育課程の意義を無視した「乱暴」とも思われる議論を経て、大学の法学専門教育課程から切り離された司法試験制度が導入され、戦後長く続いてきたわけです。 2004年に導入された法科大学院制度は、これを改めたわけですが、いま再び当時と同じような議論によって、「異議申し立て」を受けています。 法曹を養成する最良の方法は、試験さえあればよいのか?法科大学院は、社会にとって、あるいは法曹を目指すものにとって、単なるコストを強いるものにしか過ぎないのだろうか?この問いに直面しています。私の答えは、もちろんNOです。しかし、この問いに対する答えは、研究科として追求していかなければなりません。そして、いくつかの教育の高度化に向けての施策を研究科をあげて準備しています。皆さんにこれから徐々に示していきたいと考えています。 最後に、これから紹介する言葉は、昨年も皆さんの先輩たちに伝えた言葉です。19世紀イギリスの思想家、ジョンスチュアート・ミルの言葉です。かれによれば、弁護士や医師など「専門職に就こうとする人びとが、大学から学び取るべきものは専門的知識そのものではなく」、「その正しい利用法を指示し、専門分野の技術的知識に光を当てて正しい方向に導く」ものであるとしています。そして弁護士を例に引いて、大学で学ぶことを通じて「単に詳細な知識を頭に詰め込んで暗記するのではなく、物事の原理を追求し把握しようとする弁護士となる」と強調しています(J.S.ミル著、 竹内一誠訳『大学教育について』岩波文庫による) 試験で測られるものには、限界があります。「物事の原理を追求し把握しようとする」体系的な思考に基づく「法学識」、これを身につけることこそ大学に設けられた法科大学院の使命であると考えています。その意味で、法科大学院は他に互換可能な単なる「入れ物」ではないのです。 本日皆さんを迎え入れることができて、このことを社会に対して示していくという決意を新たにしました。みなさん自身がより高い地平に到達できるようにこれから精進されることを期待して、私の挨拶とさせていただきます。

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2014/04/02
研究科長挨拶

本日みなさんを高等司法研究科に迎えることができたことを大変うれしく思います。そして、こころよりみなさんを歓迎いたします。 本研究科は、この4月に創設10周年を迎えます。すでに750名近くの修了生を送り出し、司法試験に合格した者は400名に及ぼうとしています。創設初期の修了生たちは、法曹界はいうまでもなく、企業、公的機関の第一線で活躍しています。こうした実績は、修了した学生諸君のたゆまぬ努力によるものであることはもちろんです。そして、わたしたちもまた、みなさん一人一人を手厚くサポートする教育研究環境を構築してきました。この点は、他の法科大学院に負けるものではないと自負しています。こうした姿勢は、この間2回にわたる法科大学院認証評価によって、高く評価されているところです。みなさんが、法科大学院修了にふさわしい目標に向かって努力しようとするかぎり、わたしたち本研究科の教職員は、最大限サポートすることを惜しみません。それがこれまで本研究科が掲げてきた「学生第一主義」であり、この点は今後も変わることはありません。 さて、法科大学院制度は、みなさんも御承知のように、現在さまざまに議論の対象となっています。とりわけ、どのような質の修了生を社会におくりだしているのか?という点が厳しく問われています。この問いは、2年後または3年後に、みなさんにも向けられることになります。法科大学院で何を学んだのか、あなたたちは、質においてどのような優位性を示すことができるか?と。 この問いに対する、研究科としての答えは、これからの教育の実践のなかで出していかなければなりません。そして、入学したみなさんには、この問いに対する答えを常に考えておいてほしいと強く希望するところです。そのための一つの出発点として、ここでは、大阪大学の精神的源流である適塾をとりあげ、その建学の「精神」を伝えておきたいと思います。 適塾は、緒方洪庵によって1838年に開かれました。昨年で開塾175年を迎えました。当時の適塾に、なぜ全国から塾生が集まり、栄えたのでしょうか。近年の研究では、その背景として、人類を苦しめてきた天然痘に対する治療技術(すなわち種痘です)が、18世紀末から19世紀にかけて、ヨーロッパから極東へ伝播したことが注目されています。日本には治療技術がもっとも遅く到達したにもかかわらず、国内での技術の伝播は、他国に比してきわめて急速に拡大したことが明らかにされています。それを可能にしたのは、適塾を初めとした全国レベルで発達した医家(医学者のことですが)のネットワークであったことが指摘されています。と同時に、ヨーロッパから発して、極東へ到達した種痘技術自体が、グローバルな「知」の展開を体現するものでした。つまり、適塾で学ぶことは、国内およびグローバルに展開する「知」の世界に参加することを意味し、そのことが当時の青年たちを強力に惹きつけたのです。 しかし、適塾で学ぶことは、単に新しい知識を獲得することのみを意味したわけではありません。というのも、当時翻訳を通じて得られる知識の量という点では、たかだか知れていたでしょう。むしろ、適塾生達が、どのような「学び」をしたのか、ということが重要だと思われます。 当時の医学を学ぶことは、実は、種痘事業、あるいはコレラ対策の実践を通じて、新しい「医療」を成り立たせる新しい社会の仕組み、さらにそれをはばむ国家社会の現状に対する深い洞察力を培うことにつながったと考えられます。だからこそ適塾で学んだ塾生たちは、狭い知識の修得にとどまることなく、社会の仕組みを根底から組み替え、新しい社会を構想・設計する能力を身につけていったのです。ここに適塾の「学び」の優位性があったのだと思われます。 と同時に、洪庵はこうした塾生を温かく見守るとともに、なぜ学ぶのか、という点で重要な戒めを与えています。「人の為に生活して、己のために生活せざるを医業の本体とす。安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれをすてて人を救はんことを希ふべし」にはじまる、いわば医の倫理を塾生に与え、社会公共への貢献を軸にした厳しい戒めとしたのです。 法もまた社会や国家の動きと無関係ではありません。社会の最先端で継起する諸問題は、法律の知識の単なる集積で解決できるものはむしろ少ないでしょう。そもそも、洪庵が戒めとした、人びとに寄り添う気持ちがなければ、問題の発見すらできない場合もあります。深い洞察力と幅広い知見をもって、複雑に交錯する要因を解きほぐして問題解決していくことが求められます。ここには、先に紹介した適塾の「学び」に通じるものを見出すことができます。 ところで、洪庵とほぼ同時代に生きたジョンスチュアート・ミルは、「大学教育について」と題されたセントアンドルーズ大学の名誉学長就任演説のなかで、次のように言っています。弁護士や医師など「専門職に就こうとする人びとが、大学から学び取るべきものは専門的知識そのものではな」く、「その正しい利用法を指示し、専門分野の技術的知識に光を当てて正しい方向に導く」類のものであるとしています。そして弁護士を例に引いて、大学で学ぶことを通じて「単に詳細な知識を頭に詰め込んで暗記するのではなく、物事の原理を追求し把握しようとする弁護士となる」と強調しています。ミルの発言の歴史的文脈を無視した牽強付会といえばそれまでなのですが、ここには、狭い知識の修得にとどまることなく、社会の仕組みを根底から組み替え、新しい社会を構想・設計する能力を身につけていった適塾の塾生たちの学びと相通じるものを感じます。 先にも述べましたように、みなさんには、これから2年ないし3年後に、本研究科で何を学び、その質においてどのような優位性を示すことができるのかについての答えが求められます。175年を経て大阪大学に受け継がれている、適塾建学の「精神」、塾生たちの「学び」のあり方を常に想起しながら、みなさん自身がより高い地平に到達できるようにこれから精進されることを期待して、私の挨拶とさせていただきます。

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