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研究科長室より

1年の計

2024/01/15

 またしても業務に追われているうちに年が明けてしまいました。年末年始も例によって休暇を満喫する雰囲気などなく、積み残しの仕事と向き合う日々でした。しかも、元旦早々、能登で大地震があり、一瞬で正月気分は吹っ飛んでしまいました。1月の大地震という点で共通する29年前の阪神淡路大震災のことを思い出しました。当時、阪大も被災したのですが、多くの方々のご尽力により復旧しました。私たちはみんな助け合って生きているのだということを実感しました。現在、能登で被災している方々にも思いをはせ、連帯する必要があると思わされました。

 年明けは今年1年を展望し、その間に遂行すべき事柄をあれこれと構想するきっかけを与えてくれます。本研究科にも、今年、取り組まなければならない多くの課題があります。この機会にそのいくつかを列挙して、研究科としての意気込みを表明したいと思います。

 まず、今年3月には修了式があります。順調にいけば、修了生は1,400名を超えることになります。今年修了する人の中には、在学中受験で司法試験に合格し、修了後直ちに司法修習所に進む人もいれば、今年7月の司法試験に挑むため、聴講生等の身分を得て、引き続き研究科に残る人もいます。目指す方向は同じでも、これまでとは異なる立場で修了するという状況が生まれます。本研究科は、在学中受験がもたらす様々な問題と直面していますが、今後、この受験形式が標準化するのであれば、現在は過渡期への対応時期に当たると理解できます。昨年からの教訓を活かしつつ、今年もこの課題と取り組むことになります。

 在学中受験は法学部の法曹コースの仕組みとワンセットで構想されています。元々3年の学修期間を標準とし、例外的に2年の既修者コースを認める法科大学院制度が、いつの頃からか、既修者コースの方を標準とする仕組みに変わってしまいました。ここで在学中受験が認められると、既修者として入学した1年3ヶ月後にはもう受験に臨む者が現れます。わずか1年3ヶ月後に受験できる水準にまで達するには、法科大学院入学前に法曹教育を受け、一定の法的素養を身につけている必要があります。そのための仕組みが法学部の法曹コースです。これまでも法科大学院と法学部法曹コースは連携してきましたが、今後はさらなる連携の強化が必要になると思われます。

 4月になれば新学期が始まり、新しい学生が入学してきます。それは例年と変わりません。しかし、本当に新しく始まるものもあります。その1つが「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」(通称、加算プログラム)です。加算プログラム自体は今もあるのですが、現行加算プログラムはこの3月で終了し(ただし、その検証は今年行われます)、4月からは装いを変えて新たにスタートすることが決まっています。しかも、単に装いを変えるのではなく、中身自体が変わります。そこでは先に挙げた法学部法曹コースとの連携の件も修了生支援の件も視野に入っています。「入学前-在学中-修了後」の全体を見据えた取組みが構想されています。

 本研究科の在学生と修了生の双方に係わる今年の行事として挙げておきたいのは、高等司法研究科創立20周年事業です。2004年設立の本研究科は、今年二十歳になります。人間であれば成人式の年です。もちろん成人式は行いませんが、この20年で培われた人間同士の絆を再確認できるような行事ができればよいと思っています。そのためには研究科の人間だけでなく、修了生を中心に、本研究科と係わりを持つすべての人が集うことのできる場が必要でしょう。そのような場の構築のため、各方面に対して声がけを始めています。声がかかったらぜひご協力下さい。では、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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