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司法試験合格者体験談

2014年 合格者体験談

 本研究科では、学生委員会(学生のクラス代表で構成する組織)の企画・進行により、毎年9月に司法試験合格者体験報告会を開催しています。
 当日披露された司法試験合格者の体験談の概要をお届けします。

平成26年9月22日(月)開催 司法試験合格体験報告会

 

西川 達也 「私が司法試験に合格するまで」

1 はじめに
 合格報告会では、私が司法試験に合格するために行った勉強法についてお話しさせていただきました。以下、その概要を説明させていただきます。

2 勉強方針
 司法試験に合格するために判例・通説をベースにした勉強を行いました。教材はなるべく多くの受験生が用いているものを使用するようにしました。

3 スケジューリング
 今年の1月からは1日単位で勉強することを決めていました。私は飽き性だったので、1日の中に①基本書・演習本・百選の読み込み、②短答、③論文答案の作成の3つを必ず入れ、複数の科目に触れるようにしていました。

4 短答対策
 司法試験の過去問を解き、間違った問題を何度も解きなおしていました。過去問を解いた後、必ず判例六法の条文にマーキングして、後で条文素読することで知識の定着を図りました。

5 論文対策
 論文についても、短答と同様に司法試験の過去問を何度も解きました。私は、3年次の6月から友人と自主ゼミを組みました。当該ゼミでは、お互いの答案について論理の流れ(三段論法ができているか)、日本語がおかしくないか、といったことを中心に検討しました。答案を書く際には、答案構成につき「刑事は30分、他は40分」と決めて、途中答案になることを防ぐよう心がけました。答案を書いた後には、出題趣旨・採点実感を読み込みました。

6 課外活動
 私は、学生委員会やエクスターンシップなど、司法試験の勉強とは直接関係ない活動にかなり時間を割いてきました。しかし、これらの活動こそが司法試験に合格するための原動力になったと実感しています。

辻田 妃菜子 「辛い経験、それはチャンス」

 私は2年生の時から、思うように成績が伸びず、成績優秀者から勉強法を聴き、それを実践するも、変化はありませんでした。それどころか、苦手科目であった民事訴訟法の単位を落とし留年することになってしまいました。

 留年という経験は、私にとっては非常に辛いものでした。劣等感に苛まれる日も長く続きました。しかし、見方を変えれば、留年するということは、司法試験受験までの勉強時間が同学年の人に比べて1年間増えるということです。さらに勉強することができる時間を与えてもらったといえるのです。留年だけでなく、再履修になったとしても、それはチャンスなのです。そのような経験はできれば避けて通りたいものです。しかし、そのような経験にぶち当たってしまったとき、嘆くのではなく、それをプラスに捉えましょう。自分を大きく成長させる大きなチャンスなのですから。辛い経験を乗り越えれば、それはきっと、素晴らしい経験となり、自信となります。

 私は留年をして3年半学校に在籍し、4年間を司法試験勉強に費やしました。既修入学で一度で合格した方の倍の時間がかかっています。しかし、私にとっては司法試験合格への最短ルートだったのだと今は思っています。

 勉強のやり方や勉強にかかる時間はひとそれぞれです。私は人よりも自分にあった勉強法を発見するのに時間がかかったのだと思います。自分にあった勉強法を発見しそれを貫くことが司法試験合格への近道だと思います。そして人よりも時間がかかっても焦らないこと。自分にあった勉強法で自分のペースで勉強すれば、きっと合格が見えてくるはずです。

春田 尚純 「情報の一元化の手段と司法試験で問われる能力」

 司法試験において必要な知識量・情報量は、膨大です。基本書だけではなく、参考書、授業、ゼミ、答練等…放っておくと情報は分散しがちです。しかし、いずれの情報も重要なものを包含しているので、情報の一元化を図る必要があります。そのための方途として、私は徹底したサブノート作りを行いました。その作り方としては、定義・趣旨・要件・効果をまとめて、当該分野の「地図」を作り、どこにどの論点が位置づけられているのかを明示します。これと並行して、個別の論点についてのポイントを明示した論証を自分で全て作った論証集も作りました。この方法には、時間がかかるという欠点もありますが、情報の一元化を図れる・答案を書くときの時間短縮を図れる・自分の理解を可視化できる等、沢山の利点もあります。

 しかし、知識の整理・定着だけでは、まだ不足があります。合格には、①文章力、②構成力、③法的思考力、の3つが更に必要です。特に③法的思考力が重要です。これは、どのような問題に出会っても、イチから物事を考えられる力です。司法試験との関係では、典型事例などという形でよく見る問題が多いですが、実務ではそのような典型的な事例は少なく。むしろ未知の問題の方が多いと聞きます。そのような未知の問題に出会っても、きちんと筋道を立てて、論理的に1つ1つ紐解いて問題を解決する能力こそが、「法的思考力」です。抽象的な説明ですが、こればかりは経験して初めて分かるもので、抽象的にならざるを得ません。この点を意識して勉強にとりかかると、また違った景色が見えてくると思います。

横山 浩 「質と量。今がチャンス。」

 勉強方法は十人十色です。合格者の一人の勉強方法として発表させていただきます。まず、私は法科大学院入試での反省の下、この2年間は基本書での勉強、文章力の強化をテーマにしていました。具体的には、論証形式で講義の内容等をまとめていき、情報の一元化をしていくというものでした。法科大学院で使用する資料は膨大ですので、それを試験直前にブラッシュアップするために情報の一元化は必須だと思います。また、全国有数の法科大学院である大阪大学大学院高等司法研究科の先生による定期試験での相対評価の採点は自分の勉強方法の適性を評価する基準としていました。そのほか、長期休暇・短答式の勉強方法についてお話しました。

 次に、どんなに勉強方法という「質」がよくても「量」をこなさない仕方がないことから、量について工夫した点についてお話させていただきました。具体的には、1日の自習室にいる時間、スケジューリング、計画的に遊ぶこと、モチベーションの維持についてお話しました。学生である今だけ、法曹、研究者、会社員など幅広い分野の人が先輩で、その疑問に丁寧に答えてくださいます。その経験は、モチベーションの維持や卒業後のサマークラークで絶対に役立ちます。そして、そのような課外活動が京阪神で一番充実しているのが大阪大学大学院高等司法研究科です。ほんの少しでも興味があるのであれば、是非、その特権を活用し、講演会等に参加してみてください。

 学生である今が一番勉強できるときだと思います。是非、このチャンスを活かしてください。

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