司法試験を受験するにあたって私が個人的に重要視していたことは、①分析、②計画、③当日のコンディションでした。
試験問題の分析はもちろんですが自分の能力も分析すべきだと思います。試験問題を分析し、自分に足りない部分を補っていくことが試験勉強です。そして、自分の能力の分析とは、自分の成績と勉強方法を研究していかなければなりません。勉強方法は、他人の経験を鵜呑みにしてはならず、自分に合ったやり方を知り、必要な時間と残り時間を把握したうえで決定すべきです。
法科大学院入学後、司法試験まで2・3年しかありません。自分に残された時間は想像以上に短く、費用対効果をいつも考えていきましょう。このとき、長期と短期の計画をできる限り具体的に立てることが重要です。立てた計画をこなしていくというスタンスも悪くないように思います。
最後の最後は、ベストパフォーマンスを発揮できるかどうかにかかっていると思います。よく寝て、よく食べて、自分の体調を整えましょう。また、直前の模試を利用して、当日の行動を予習するといった周到な準備も大切です。
私の学力はロースクールで過ごした2年間で飛躍的に向上しました。その要因は、下記のとおりです。
第一に、予備校のテキストのみならず、基本書を用いることで、より深い理解に到達したことです。これによって、司法試験を解くにあたっても、設問の問題意識を、的確に把握できるようになり、全く見当はずれの答案を書くことが、ほとんどなくなりました。そして、ロースクールでの授業は自身の疑問点を解消し、基本書に書かれている内容をより深く理解する上で、役に立ちました。
第二に、自主ゼミを組んで、お互いの答案の、充実している点、不足している点を、指摘しあったことです。これによって、答案の質が飛躍的に向上しました。答案検討を行う際には、司法試験の出題趣旨、採点実感を重視しました。また、出題趣旨、採点実感に沿った完全解の答案を書けるように努力しました。合格点を目指すだけの勉強では、司法試験に合格できないと感じたためです。
第三に、周りの環境に恵まれ、勉強以外のことでストレスを感じることがほとんどなかったことです。両親や友人、ロースクールの同級生、先生方には、本当によく助けていただいたと、心より感謝しています。
私は、法学部卒業後に未修コースで入学し、3度目の受験で合格しました。
過去2度の受験で短答式は特に問題なかったのですが、総合順位は3000番台でした。この結果や再現答案などを踏まえ、自分の主たる課題は、知識の不足というよりも、制限時間内に答案を書くことであると考え、この課題を克服するための勉強を10月から始めました。
勉強の主たる内容は、過去問の検討です。新制度の過去問すべてを3~5回は繰り返し書いて、知識・構成・時間配分などを検討しました。ある程度繰り返すと問題を覚えてくるので、制限時間は、だんだん短く設定していました。科目によっては、他の人に答案添削をお願いしました。また、初見の問題や過去問で出題されていない分野の問題に対応するため、予備校の答練・模試を利用しました。
今年度の商法の試験では出来の悪さに思わず半泣きの状態になりました。奮起して残りの試験に全力を出せたのは、あれだけ書いたのだからという思いからでした。自分に必要な勉強を見定め、着実に実行すれば合格できます。自分を信じて頑張ってほしいと思います。